HOW TO WEAR WHITE TAILORING
ホワイト・テーラリングの着こなし方
May 2022
大胆かつ華麗。
白のテーラリングは、失敗する可能性も大きい危険なサルトリアル・テクニックである。
しかし、上手に着こなせば、これ以上はないファッショナブルな装いとなる。
by CHRISTIAN BARKER
映画『華麗なるギャツビー』(1974年)で白いスリーピース・スーツを着て主人公ニック・キャラウェイを演じるロバート・レッドフォードとサム・ウォーターストン。
真冬のニューヨーク、作家マーク・トウェインは晩年によく袖を通すことになったホワイト・テーラリングを指してこう説明した。
「私のように71歳という高齢になると、暗い色の服を見続けると気が滅入ってしまうことがある。明るい色の服は目に優しく、精神を活性化させる。もちろん、私のために皆に強制することはできないので、次善の策として自分で着ることにしているのだ」
小説家トム・ウルフは、彼のトレードマークである鮮やかな白いスーツを着る理由について、トウェインの言葉を好んで引用している。
「この世で一番避けたいのは目立つことだが、注目はされたいのだ」
白いスーツは確かにその目的を達成してくれるが、この強力なサルトリアル・アイテムは適切に扱わないと悪い意味で目立ってしまう。そこでTHE RAKEは、偉大なアメリカの作家が「服装における楽しい色の組み合わせ」と呼んだ、ホワイト・テーラリングを成功させる方法を、5つのポイントにしてご紹介する。
1)微妙な色との組み合わせ
頭からつま先まで完全に白で統一された服装は、あなたを救世主か何かのように見せてしまう。まるでハリウッドの“天国”のセットから抜け出してきたかのようだ。ホワイト・スーツには、厳選されたカラーのアクセサリーやシャツなどを合わせて、トーンダウンさせるのがベターだ。
トロピカルな雰囲気を出すには、華やかなピンクや淡いブルー、レモンイエロー、ライムグリーンなどがおすすめだ。ライトグレイのタイを合わせれば、シャープな印象になる。オリーブグリーンは、ちょっとミリタリーなテイストを加味する。白はとてもクリーンな色なので、少し汚し気味にしたり、キャンディ・カラーをアクセントにしたりするとよいだろう。
2)極端なコントラストを避ける
映画の中で、最も有名なホワイト・スーツの着用者に、『スカーフェイス』(1983年)のトニー・モンタナ(アル・パチーノ)と『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年)のトニー・マネロ(ジョン・トラボルタ)がいる。このふたりのトニーは、ホワイト・スーツのスタイリングで、何をしたらダメなのかを示す素晴らしい悪例だ。
モンタナは、ピンストライプのダブルブレステッド・スーツに、血のように赤いシルクの開襟シャツとおそろいのポケットチーフを合わせている。これは極端なキャラクターの、極端すぎる装いだ。一方マネロは、ポリエステル製であろう白のスリーピースに、黒いシルク(というより合成サテン)のシャツを合わせ、プラットフォームシューズを履いている。これまた、なんとも極端すぎるコントラストである。ファッショニスタのトム・スタッブスのような上級者は、こういったルックを成功させるかもしれないが、一般男性には非常に危険な方法だ。
3)海をイメージする
ホワイト・スーツが最も似合う場所は海だろう。だから、赤、白、青、あるいはネイビーといったマリンを思わせる色との組み合わせが美しい。白いジャケットに青と白のバスクシャツ、ネイビーのトラウザーズに赤いモカシン(または赤いトラウザーズにネイビーのモカシン)を合わせてみてはいかがだろうか。あるいは、ホワイト・スーツに青と白のシャツ、ネイビーのソリッドタイ(シルクの織物がよい)をコーディネイトするのもいいだろう。
4)靴は賢く選ぶ
シャツと同様、ホワイト・スーツに合わせる靴も、黒は避けた方が無難だ。サンドやブラウンのスエード、ホワイト、クリーム、タン・レザーがいいだろう(グッチのビットローファーやサントーニのタッセルローファーなど)。よりトロピカルな色調にする場合は、自然界にある色に注目しよう。例えば、グリーン、オレンジ、コーラル、スカイブルーなどだ。
モカシン、ボートシューズ、ドライビングシューズ、スニーカー、エスパドリーユ、スリッポンなど、カジュアルなスタイルの靴がいい。ホワイト・スーツはビジネススーツではないので、ビジネス用の靴は避けたい。会議室ではなく、あくまで船上をイメージしてほしい。
5)パナマハット
ホワイト・スーツを着るときは、上質なパナマ帽でアンサンブルを引き締めるのがおすすめだ。パナマハットとの組み合わせは、リヴィエラ・スタイルの頂点に立つものといえる。