HOW TO WEAR SNEAKERS WITH TAILORING

テーラリングにスニーカーを合わせる方法

March 2022

そのマッチングは天国のような結婚か、それとも離婚裁判となるか。

スニーカーとスーツを組み合わせるトレンドについて、THE RAKEが考察する。

 

by THE RAKE

 

 

 

 19世紀初頭に普及して以来、スーツは永遠にサルトリア・スタイルの模範であり、一度もその基本的デザインが変更されたことはない。あちこちに小さな改良が加えられてはいるが、概してスーツは2世紀近く変わっていないのである。それは、スーツが男性の身体を美しく見せるという、単純な理由による。

 

 今日、私たちはまた新たなサルトリア的パラダイムシフトの真っ只中にいる。オックスフォードやダービー、モンクストラップといったクラシックな靴に代わって、スニーカーがテーラード・アンサンブルの足元として登場しているのだ。

 

 これはクラシックへの冒涜か進化か? とはいえスーツにはさまざまな靴を受け入れるだけの懐の深さがあると感じている。今やスニーカーは私たちの生活に欠かせないものとなっており(再販市場だけでも10億ドル規模である)、カジュアルウェアだけに限定するのは、機会を逸しているように思える。

 

 もちろん、洗練され磨き抜かれたオックスフォード・シューズは素晴らしい。しかし、今日の紳士服市場においてカジュアルウェアの台頭を否定することはできない。そんな中、スニーカーはドレスダウンの選択肢として、思いもかけないところへと進出してきた。認めるかどうかは別として、時にはルールブックを破ってみるのも一興だろう。そこで今回は、スーツとスニーカーの“不浄の婚姻”を、それぞれ異なる方法で見事に成し遂げた紳士たちをご紹介しよう。

 

 下の写真を見れば、テーラリングとは、一般に考えられている以上に多様であっていいことがわかる。左の紳士はクラシックなセパレートに、バーガンディのタッセルローファーを合わせている。これはこれで、基本に忠実な素晴らしいコーディネイトだ。一方、右にいる彼の友人は、皮肉にもニューバランスのアイコニックなスニーカー、別名“ダッドスニーカー”をチョイスしている。どのような服装であれ、必ず異論があるものだが、この紳士のロジックは理解できる。クロップド丈のカーキ色のチノパンに、少しクシャクシャしたリネン混のジャケットとデニムシャツを合わせ、そこにくすんだグレイのスニーカーがアクセントを加えて気負いのない雰囲気を醸し出している。

 

 

 

 

 上の写真は、ユナイテッドアローズのディレクター、小木基史氏とその友人である。ワイドなチノパンツとブレザーというセパレートスタイルで、トレンドを上手に取り入れた着こなしを披露している。ルーズフィットでリラックスしたスタイルには、スニーカーは最適なオプションだ。もしこれがラギッドなコンバットブーツなどだったら、少し時代錯誤に見えただろう。

 

 下の写真は、ネクタイメーカー、アイネックスの並木孝之氏である。クラシックなコンバースのスニーカーを、ガンクラブチェックのスーツにスマートに合わせている。ターンアップすることでより現代的な丈とし、コンバースの白と黒をシャツとネクタイで拾って全体を引き締めたコーディネイトだ。

 

 

 

 

 パステルピンクのスーツは、どんなコーディネイトをしても主張が強いものだが、上の写真の例では、シンプルな白いTシャツにクラシックな白のスニーカーを合わせて、そのアクを抑えている。ダブルモンクのような存在感のある靴を、派手なスーツに合わせるのは、妻と愛人を同じパーティに招待しているようなものだ。

 

 下の写真の男性は、ハリントンジャケットを羽織っているので、厳密にはスーツとは言えないが、ネイビーのピンストライプにアディダスのジムスニーカーがよく似合っている。白のスニーカーと白のTシャツのシンプルなコーディネイトが、全身を引き締めている。もしこれが、オーソドックスなツーピーススーツであれば、スニーカーもややクラシックなタイプを選びたいところだ。