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鴨志田流着こなし術Vol.26:今季楽しみたいVゾーンコーディネイト

March 2026

鴨志田氏が今季推すのは、スモーキーなシャツとタイ、グレーや茶味のあるスーツでまとめたニュアンスVゾーン。80年代的な華やかな配色で遊ぶタイドアップもオススメだ。

 

 

text yuko fujita

photography setsuo sugiyama

 

 


モヘアの艶を活かすグレイッシュ配色(左)
「見事な張り感と上品な光沢を備えたモヘアウールスーツにグレイッシュなラベンダーのシャツ、グレートーンのストライプタイによる、ニュアンスカラーでまとめた装いです。ビジネスシーンでも派手になりすぎず、控えめでひと味違うエレガンスが生まれます」。スーツ¥143,000 Sovereign / United Arrows Roppongi Hills アヴィーノのシャツ、ポール スチュアートのタイ、シモノ ゴダールのチーフ すべてproperty of Yasuto Kamoshita

 

グレーフランネルにベージュシャツの柔らかい正統(左・鴨志田氏)
フォックス ブラザーズのフランネルを用いてサルトリアルコルトで仕立てたダブルのスーツにソブリンのベージュシャツ、アット ヴァンヌッチのニットタイ、ヴィンテージのチーフ、リヴォルタのスリッポンという合わせ。「最近仕立て上がったばかりのオーセンティックなグレーフランネルスーツに今まであまり合わせたことのなかったベージュのシャツの装いが自分には新鮮です。白のシャツよりも印象が和らいで、それだけで新鮮ですよね」。すべて property of Yasuto Kamoshita

 

全身ニュアンスカラーはチーフも馴染ませる(右左)
「ダークブラウンのリネンウールスーツに、ベージュがかったグレイッシュなポプリンのシャツ、そこに控えめなストライプのネクタイを合わせました。とにかくニュアンスカラーでまとめるのが気分です。このような色合わせのときに白のポケットチーフを合わせると浮いてしまうので、チーフはスーツやタイの色と馴染ませるのがコツですね」。スーツ¥209,000、シャツ¥29,700、タイ¥19,800 all by Paul Stuart シャルベのチーフ property of Yasuto Kamoshita

 

くすみベージュにスモーキーピンクの新鮮味(右右)
「グレイッシュなベージュのくすんだ色合いのスーツに、スモーキーピンクのシャツを合わせたのですが、クラシックなスーツの装いもそれだけでかなり新しさが感じられるんじゃないかと思います。同じトーンのネクタイをコーディネイションするのがポイントです」。スーツ¥198,000 Sovereign、タイ¥41,800 Atto Vannucci / both by United Arrows Roppongi Hills ポール・スチュアートのシャツ、ヴィンテージのチーフ ともに property of Yasuto Kamoshita

 

 

 

 今季のスーツの装いにおける鴨志田氏のイチ押しは、ニュアンスカラーでまとめたVゾーンだ。

 

「スモーキーカラーのドレスシャツとタイに、グレイッシュもしくは茶味のニュアンスがあるスーツをコーディネイションするのが気分です。ただ、ニュアンスカラーのドレスシャツは探すとまだまだ選択肢が少なく、私が手がけたポール・スチュアートや、これまで仕立てたシャツを中心に選んでいます。白やサックスブルーのシャツからニュアンスカラーに変えて、コーディネイションの色のコントラストをパキッとさせないところにこの装いの鮮度があるんです」と鴨志田氏。

 

 一方で、シャツとタイの色合わせで遊んだ、目を引くタイドアップのスタイリングも今の気分だという。

 

「80年代ってそういった華のある色使いのスーツのコーディネイションが遊びとしてあったんですよね。ここには上質なスーツの正統な装いから崩してアップデートしたコーディネイションの楽しみがあります。そちらもオススメです」

 

 


モノトーンに柄で効かせるフレンチトラッドの余韻
「モノトーンの装いにエルメスのスカーフプリントのタイを合わせ、色は抑えつつもスーツのハウンズトゥースのらしさがより際立たせた、印象的なスタイリングです。私にはフレンチトラッド的な懐かしさを感じる装いです。シャツは本来、ボタンダウンかタブカラーなんですけどね」。スーツ¥143,000 Paul Stuart シャツ¥27,940 United Arrows / United Arrows Roppongi Hills エルメスのヴィンテージタイ、ヴィンテージのチーフともに property of Yasuto Kamoshita

 

 


振り切った色も3色で品よく収める
ミラノのムゼッラ デンベックで仕立てたベージュのウールギャバジンスーツ、ポール・スチュアートのタブカラーシャツ、ホリデー&ブラウンのタイ、ヴィンテージのチーフを合わせ、サルトリア仕立てのスーツを目の引く装いで表現。「思いっきり振り切った色を楽しむ遊びの装いも今またとても気になっているんです。その場合、色使いは3色までに抑えるのがポイントです」。タイ¥23,100Holliday & Brown /Ainexx スーツ、シャツ、チーフ すべてproperty of Yasuto Kamoshita

 

 


オーセンティックへのビビッドタイの一撃
「ネイビーのバンカーストライプスーツに濃いブルーのドレスシャツ、春らしいビビッドなブルーのプリントタイを合わせた、ジャーミンストリートの薫りを感じるコーディネイションです。オーセンティックで上質なスーツだからこそ崩しても絵になる装いを、積極的に楽しむのもいいと思います」。スーツ¥119,900、シャツ18,920 both by United Arrows / United Arrows Roppongi Hills タイ¥23,100Holliday & Brown / Ainexx ヴィンテージのチーフ property of Yasuto Kamoshita

 

 


シャルベの鮮やかさを黒のタイで締める
オリーブグリーンのウールソラーロスーツ、シャルベのコットンリネンシャツ、ロバート フレイザーの黒のウールシルクタイに、ハラコ素材のジョン ロブ「ロペス」をコーディネート。「鮮やかなグリーンのシャルベのシャツはデニムに合わせて夏場に1枚で着ることが多かったのですが、黒のタイを合わせるのもいいなって。ポップというか、目を引くタイドアップの装いも気分なんです。80年代は遊びとしてあった着こなしを懐かしんで再現した感じです」。すべてproperty of Yasuto Kamoshita

 

 

鴨志田康人/Yasuto Kamoshita
1957年生まれ。ビームスを経て1989年、ユナイテッドアローズの設立に参画し、2018年よりクリエイティブ アドバイザーを務めている。2008年、自身のブランド「カモシタ」を始動。ポール・スチュアート、フェリージの日本におけるディレクター、バンコクのセレクトショップThe Decorumのハウスレーベルのディレクターとしても活躍している。

 

 

『THE RAKE 日本版』Issue68より抜粋