HOW to WEAR, HOW to ENJOY!
鴨志田流着こなし術 Vol.19:手がける2つのブランドに見る秋冬の装い、それぞれの新提案
October 2023
鴨志田氏が手がけている「カモシタ」と「ポール・スチュアート」の2ブランドの新作とともに、氏が打ち出す今季の世界観を見る!
text yuko fujita
photography setsuo sugiyama
CAMOSHITA
今季はいつになくドレス寄りのコレクションとなっている。提案したいのは、スーツを着る楽しさだ。ドレスとカジュアルの絶妙なミックス、氏の今のムードを反映した色の配分は、カモシタブランドの真骨頂だ。
左:「ダブルブレステッドでありながらノッチドラペルになっている一着です。肩線が丸みを帯びていて、自分の中では80年代のフレンチトラッド的な気分なんですけど、ボリューム感をもたせているので、若い方にもオススメです。ドレスダウンもしやすいですし、タイドアップしても素敵な、楽しんで着られるスーツです」
ジャケット¥66,000、トラウザーズ¥26,400 both by Camoshita、シューズ¥40,700 Polpetta for United Arrows / all by United Arrows Roppongi Hills シャルベのシャツ、ヴィンテージのチーフ property of Yasuto Kamoshita
中央:「カシミアのアルスターコートをドレス目線ではなくカジュアルに着る提案をしたくて作った1着です。身幅に関してはジャケットとほぼ同じ寸法になっているので、コートとしてはタイトめです。もちろんテーラードにも合わせられますが、ニットやロゴTシャツ、ボトムスはデニムなどの上からサラリと羽織ってカジュアルに着るのが新しい気分かなと」
コート¥176,000 Camoshita、マフラー¥9,680 United Arrows、パンツ¥36,300 Cellar Door / all by United Arrows Roppongi Hills
右:「私の定番の形であるワイドラペルの4Bダブルブレステッドスーツです。オリーブとマスタードのコンビネーションによるハウンズトゥースの色合いを含め、スーツを着る楽しさが伝わっていると嬉しいです。これまではブラウン寄りのグリーンを提案していましたが、今は“よりグリーンを感じさせるグリーン”が気になっています。Vゾーンの色合わせも新鮮です」
スーツ¥154,000、シャツ¥22,000、タイ¥15,400 all by Camoshita チーフ¥5,500 Molteni / all by United Arrows Roppongi Hills
PAUL STUART
アメリカで生まれ育った歴史あるブランドであること、ポール・スチュアートらしいアングロアメリカンのテイストを大切に、ちょっぴりモダンな要素を。今季は土臭い色合いのツイードが、逆に新鮮に!
左:「洗練されているものがそんなに洗練されて見えない、今はそんな時代なのかなと思っておりまして、自分の中ではむしろ土着的なもののほうが新鮮に感じます。デニムジーンズを合わせてたコーディネーションなんかは土臭い雰囲気のツイードジャケットだからこそデニムが似合うと思いますし、そういう崩し方ができる楽しさがありますよね。いうなれば、1960~70年代のミック・ジャガー的なね(笑)」
ジャケット¥143,000 Paul Stuart チーフ¥7,150 Arcuri / United Arrows Roppongi Hills オーチバルのカットソー、リーバイス701、ポール・スチュアートのブーツ property of Yasuto Kamoshita
中央:「他のアメリカンブランドと比較するとポール・スチュアートってアドヴァンスド・クラシックとでもいうのかな。クラシックでありながら保守的になりすぎることなく、程よい鮮度があって、ウィットに富んだスタイリングを昔から得意としているなって、ずっと感じていました。こちらはある意味正統的な装いですが、ラヴァットのウールのこんな色彩のスーツを楽しめたら、装いは楽しくなりますよね」
ジャケット¥220,000、タイ¥16,500 both by Paul Stuart チーフ¥4,180 United Arrows / United Arrows Roppongi Hills シャルベのシャツ property of Yasuto Kamoshita
左:「ラベンダーとイエローとの組み合わせって、昔から愛され続けているんですけど、英国の中でも文化的というか貴族趣味的というか、デヴィッド・ホックニーとかアンダーソン&シェパード ハバーダッシャリー的世界観に通じるものがあるんですよね。今、そこが新鮮かなって。それと、シェットランドヤーンを使って国内のミルで織り上げたノーカラーのツイードジャケットが、とてもいい雰囲気なんです」
ジャケット¥132,000 、ジョッパーズパンツ¥36,300 both by Paul Stuart タートルネックニット¥19,910、ストール¥22,000 both by United Arrows、チーフ¥7,150 Arcuri / all by United Arrows Roppongi Hills
<プロフィール>
鴨志田康人/Yasuto Kamoshita
1957年生まれ。ビームスを経て1989年、ユナイテッドアローズの設立に参画。クリエイティブ ディレクターを経て2018年よりクリエイティブ アドバイザーに就任。2008年に自身のブランド「カモシタ」をスタート。2019年からはポール・スチュアートの日本のディレクターも務めている。
THE RAKE JAPAN EDITION issue54