HOW TO ENJOY MITSUI OCEAN FUJI
最新クルーズ船「三井オーシャンフジ」の楽しみ方
March 2025
2024年12月にデビューした「三井オーシャンフジ」は、全229室すべてがスイートルームという贅沢仕様で、新時代の船旅を提案する注目の一隻だ。美食に一流のエンターテインメント、極上のスパ体験──。ひとたび乗船すれば、すべての時間が特別なものとなる。
text yukina tokida
近年、クルーズ旅は幅広い世代に楽しまれるようになっている。カジュアルに楽しめる船からラグジュアリーな船まで個性豊かで多彩な船が揃っているため、老若男女を問わず多くの人々がその気軽な旅を楽しんでいるのだ。
今回は「にっぽん丸」を手がける商船三井クルーズから12月にデビューしたばかりの「三井オーシャンフジ」に乗船する機会を得たので、船の魅力とともに乗船の際のポイントをいくつか紹介する。
三井オーシャンフジの特徴
「三井オーシャンフジ」は、全長約200m、総トン数約3万2000トンと、外国に多い20万トン級の大型船に比べるとコンパクトな船体が特徴。そのため、航路によっては関門海峡を通ることや、横浜のベイブリッジの下を通過することもできる。
また、客室数は全229で、すべてがスイート仕様。どの部屋からも海を望むことができ、広々としたバスタブやダブルボウルの洗面台も完備している。客室は全部で7タイプあり、約40㎡以上の広さを確保した上位5タイプの客室には、専属のバトラーサービスなどの 特典がついてくる。しかも、船尾や船首に位置していたり、スパへ直結していたり、海を見渡しながらプライベートなバスタイムを満喫できる客室まで多彩に揃っているため、好みの一部屋に巡り合えるはずだ。
「シグネチャースイート」(87㎡)のリビングルーム。こちらは船首に位置している客室だ。
最上グレードの客室「MITSUI OCEAN スイート」(82.4㎡)の、ガラス張りのサンルーム。
船内で楽しむエンターテインメント
クルーズをとことん満喫するために、まず乗船日には船内見学ツアーや、スパツアーに参加したい。これに参加すれば、船内の施設やサービスを把握できる。特にスパツアーでは、「スパ&ウェルネス木霊」で提供されているサービス内容を詳しく知ることができるだけでなく、無料体験会への申し込みも可能だ。
気になるイベント、スパやトレーニングメニューがあるなら、ツアーに参加したタイミングで各所に用意されているリストに自身の名前を記入して、事前予約を完了させよう。先着順になるプログラムもあるため、気になるものがある場合には、乗船日に済ませておくのがおすすめだ。
ふたつのワールプールとプールを備えた「プール湖畔」。この場所以外に、船首などにも備えられている。
サウナや温熱ベッドがある「スパ&ウェルネス木霊」のサーマルエリア。
スパエリアを手がけているのは、One Spa World社。歯のホワイトニングやメンズグルーミング、ネイルケアなどのメニューも充実している。多彩なスパトリートメントも用意されており、サーマルエリアにはスチームルームとサウナも備わっている。一日券またはクルーズ全日で使用できるチケットが用意されているため、こちらも初日に購入するのがおすすめだ。
船内新聞は要チェック
その日にどういったイベントが予定されているかなど各施設の営業時間等がすべて記載されているのが、「PORT&STARBOARD」という名の船内新聞。乗船日にはすでに客室に届けられていると思うが、通常夕刻〜夜になると客室外のホルダーへ届く。
翌日のイベントやライブ、各エリアの営業時間、入港時間、日の出・日の入り、スペシャルな食事メニューまで、この1枚でチェックできる。多くのゲストは、この紙に書かれている情報を元に次の日の計画を立てている。
参考までに、今回乗船した際の「三井オーシャンフジ」のスケジュールのハイライトは次のような感じだった。
まず初日には出港パーティやダンスパーティにはじまり、夜11時半までイベントがぎっしり。次の日は船長主催のウェルカムパーティや社交ダンス、さらに翌日は寄席やディスコナイト、4日目にはマジックショーやバラエティショー、そして最終日にはかの有名な加藤登紀子さんによるライブも。プライベート感溢れる、限られたゲストのためのパフォーマンスは、地上で体験するよりも印象深いものになるだろう。
ドレスアップも船旅の魅力
この船内新聞において要確認したいことのひとつが、次の日のドレスコード。「三井オーシャンフジ」の場合は、基本的には「カジュアル」だが、ウェルカムパーティなどでは「セミフォーマル」が設定されることもある。そのため、スーツケースの中に一着はドレスアップ用の着替えも用意しておくのがおすすめだ。
なお、カジュアルとはいえ、ラグジュアリー船のカテゴリーに位置付けられている「三井オーシャンフジ」では短パンやサンダル、ダメージジーンズなどは避けたい。男性の場合は襟付きのトップスにトラウザーズを合わせるのが無難だ。
至高の美食体験
旅の楽しみである食事のレベルの高さも、「三井オーシャンフジ」の魅力のひとつ。それもそのはずこの船は、「食のにっぽん丸」として愛されている豪華客船「にっぽん丸」を手掛けてきた商船三井クルーズが運営しているからだ。
長年にっぽん丸で腕を振るった中山勝利氏が総料理長に就任したこの船には、終日利用できるカフェ&ラウンジ「MITSUI OCEAN スクエア」のほか、朝昼夜と和または洋食のセットメニューやコースメニューで提供される「ザ・レストラン 富士」、ピザやハンバーガーなどを楽しめる屋外レストラン&バー「プールサイドレストラン&バー 湖畔」、テラス席も備えた多国籍料理のビュッフェダイニング「テラスレストラン 八葉」、そして有料・予約制のスペシャルダイニング「北斎 FINE DINING」と個性豊かな4つのダイニングがあり、中山氏による統括の元、各ダイニングで提供される料理の質の高さが保たれている。
終日軽食が提供されている「MITSUI OCEAN スクエア」。仕事場としても最適だ。
テラス席も備えたビュッフェダイニング「テラスレストラン 八葉」。優しい潮風がここちよい。
しかもこの船がさらに特別なのは、「ザ・レストラン 富士」のメインメニューの一部と「北斎 FINE DINING」を、日本が誇るフレンチの巨匠、三國清三氏が監修していること。
いずれもディナーにおいて、「ザ・レストラン 富士」では先述したように日替わりのコースメニューで和食・洋食を堪能することができ、「北斎 FINE DINING」では、プリフィックスメニューを楽しめるうえ、前菜とメインは好きなだけ注文できるという贅沢さが魅力だ。料理のおいしさをより引き立てるワインもソムリエが提案してくれる。航海中ぜひ一度は「北斎 FINE DINING」の利用をおすすめしたい。
上2枚:三國シェフ監修のプリフィックスメニューを楽しめるスペシャルダイニング「北斎 FINE DINING」。メイン料理のひとつとして選べる「和牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ風」。
フレンチだけでなく、日本食も抜群に美味しく、気軽に利用できる「テラスレストラン 八葉」のビュッフェで提供される天ぷらもサクサクで実に美味しかった。
船内には3つのバーもあり、気分に合わせて選べるのが魅力。ライブミュージックが流れる「オーシャンクラブ&バー」、大きな窓が囲む「オブザーベーションバー 36」など、それぞれ違った雰囲気を楽しめる。
中央にダンスフロアがある「オーシャンクラブ&バー」。左奥にはバーカウンターも。ライブ演奏で心ゆくまでダンスをしたい。
船首を大きな窓が覆う「オブザーベーションバー 36」。10種類以上もあるシグニチャーカクテルのうち、「富士サンセット」はぜひ夕日を眺めながらご賞味いただきたいウォッカベースの爽やかな一杯だ。
寄港地での楽しみ方
寄港地では、地元の人々と協働で特別に考案されたツアーに参加するのがおすすめ。初めて降り立つ場所はもちろん、旅なれた場所でも有名な観光スポットを効率よく回れるツアーが用意されているのだ。
例えば今回の航路で寄港した別府では、温泉マイスターの資格を持つガイドによる街歩きや竹瓦温泉、さらには地元で知らない人はいない名店などをおよそ2時間半かけてゆっくりと案内してくれるツアーが用意されていた。歴史を紐解きながら、個人ではなかなか巡ることができないような裏道を通り、ちょっと寄り道もしてくれたりして、ディープな地元の情報にも触れられた。
今回の寄港地のひとつだった別府。降りてすぐのエリアに待機しているバスでツアーへ出発する。寄港地観光ツアーは事前の予約が必要なため、気になる場合には乗船前もしくは乗船日にチェックしたい。
また下関では、ふく懐石と門司港レトロを楽しむコースや、長府城下町散策と下関市立歴史博物館館長よる特別展示案内コースなど、多彩な内容でラインナップしていた。個人での旅行ではなかなか体験できないような、この船のゲストのためだけに考案されたツアーコースは、どれも人気ですぐに埋まってしまっていたコースも数多くみられた。
もちろん、港から市街地へはシャトルバス(有料または無料)も運行しているため、自分たちが気になる店やレストランを好みのスケジュールで訪れるのもいい。ただその際は、くれぐれも出港時間には間に合うような帰船をお忘れなく。
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次の日は何をしようか、何を食べようか、どんなショーを見ようか、はたまたスパで癒されようか、寄港地ではどこを訪れようか……多彩なエンターテインメントに溢れ、新しい街で目覚めるその旅路は、かつての遠足のようなワクワク感さえ与えてくれる。
諸兄もクルーズの魅力を知れば知るほど、クルーズ旅にしかない深い魅力に気が付かされるだろう。これだからやはりクルーズはやめられない。
三井オーシャンクルーズ
TEL.0120-791-211
www.mitsuioceancruises.com/fuji/