HERMÈS GINZA ORDER SALON FOR SARTORIALISTS
洒落者が集う、エルメスのオーダーメイド
July 2024
銀座メゾンエルメスのB1Fのメンズフロアには、オーダーサロンがある。メンズ・クロージングのオーダーメイドは、宝石のようなシャツを擁し、フランス流のシックな装いを好む洒落者たちを惹きつけてやまない。
photography natsuko okada
銀座メゾンエルメスB1に位置するオーダーも承るサロン。生地見本を見ると、紺やグレーの無地などシックなカラーが多く目につく。接客担当の方によると、落ち着いた生地を選ばれる方が圧倒的に多いという。またシルエットもシンプルでシックなため、着る方を選ばないところがエルメスのオーダーメイドの魅力である。
エルメスには「アトリエ・オリゾン」があり、バッグからプライベートジェットの内装まで、顧客のリクエストに応じて、さまざまなオーダーを受けている。
もちろんメンズのオーダーメイド・クロージングのコレクションも充実している。ジャケット、トラウザーズ、そしてシャツを仕立てることができる。ただし、現在このサービスを行っているのは、パリのフォーブル・サントノーレ店など、ごく限られた店舗のみである。日本では銀座メゾンエルメス、大丸心斎橋店など、一部の店舗で取り扱いがある。
ジャケットのサンプル。右から、「ヴァンキャトル」、「ベストエルメス」、「セリエ」。
馬のアートとともに並べられた生地見本など。
テーラード・アイテムは、メンズウェア部門のアーティスティック・ディレクター、ヴェロニク・ニシャニアンのデザインをベースとしている。ジャケットにはスリムで現代的な「ヴァンキャトル」、肩幅、胸囲にゆとりのあるクラシックな「ベストエルメス」、ボックス型の「セリエ」と三つのシルエットが用意されている。どれも英国やイタリアの服とはひと味違う、フランスらしい控えめな意匠となっている。これらに好きな生地を載せ、ぴったり合ったサイズで仕立てることができる。
シャツは、いわゆるフルオーダーとなっている。ヌード寸法を測り、ひとりひとりに合わせた型紙=パターンを起こす。フランスのパリ郊外パンタンに専用工房が置かれており、昔ながらの製法が頑なに守られている。
仮縫いもある。フランスからトワル(試し縫い用の生成布)で作った仮縫い用のシャツが送られてくる。これを試着し、修正事項を添えて、もう一度パリへ送り返すと、ようやく本番が仕上がる。何よりこのシャツには、ハンドメイドならではの、他では得難い「温もり」が感じられる。
エルメスのオーダールームには、フランスならではの洒脱な世界が広がっている。ここに集っているのは、本物の洒落者たちなのである。
シャツ用イニシャル刺繍のサンプル。
生地はドーメル、スキャバル、ホーランド&シェリーといった超一流ミルから選択可能。エルメスのオリジナル・バンチも。
シャツの襟型。幅や長さを細かく指定できる。
シャツ生地はトーマス・メイソン、アルモ、アルビニなどからチョイスすることが可能である。