FOUR SEASONS RESORT BALI
あなたは海派?山派?バリ島のふたつのフォーシーズンズ
November 2019
ひと昔前、バリ島といえば日本人にとってハネムーンの定番であり、バリ島における日本人観光客数は堂々の1位だった。が、その傾向は徐々に弱まり、今では、オーストラリアや欧米、中国からの観光客がトップ3を占めている。とはいえ今でも、日本人から一定数の根強い人気があるのは言うまでもなく、特にリタイア後の人生の拠点として、バリ島を選択する人が増えているという。その理由はバリ島の気候や、日本に比べて安い物価などがあるだろうが、バリ島好きの筆者が考える理由はこうだ。
たとえば現在日本からのバリ島への直行便は、ガルーダインドネシア航空だけが就航しているが、他のエアラインに比べて圧倒的に手頃な価格設定のビジネスクラスがあること(サービスは最高だ)。しかも乗り換えることなく7時間ほどで行けて、白い砂浜のビーチがあり、異国情緒を感じられ、現地の人々はとても優しい。そして他のビーチリゾートといわれる場所と比べて、日本人観光客があまり殺到していないデスティネーションだから。ここまで揃っているのは、バリ島を置いて他にない気がする。さらに言うと、神々の住む島といわれるだけあってか、バリ島の人々は笑顔のステキな親切な人ばかりである。また、6月に訪れた時に感動したのは、以前は到着して間も無く洗礼を受けていた空港での“タクシー!?タクシー!?”声かけ合戦が、到着ゲートが整備されたおかげでだいぶ(筆者の肌感覚では10分の1くらい)緩和されていたことだ。
そんなバリ島では日本人が経営に携わっているホテルをはじめ、日本人の間でも有名なラグジュアリーリゾートは数多くある。が、今回はTHE RAKE読者に特にオススメの、ジンバランとサヤンのフォーシーズンズリゾートふたつを紹介したい。
まず、ふたつのプロパティが位置する場所から整理しよう。ジンバランは、愛知県と同じくらいの大きさであるバリ島の南西に位置する海岸沿いのエリアで、一方のサヤンは島の北側の山エリアに位置する。全く色の異なる立地であるふたつであるがゆえ、ジンバランで2〜3泊してから、サヤンでも2〜3泊するゲストも多いんだとか。お気に入りのリゾートが決まると、多くのゲストは1週間ほどひとつのホテルに滞在するという。
では、海岸に位置する「フォーシーズンズリゾート アット ジンバラン ベイ」から紹介しよう。同リゾートの誕生は1993年まで遡り、約2年半前に客室のフルリノベーションが完了した。以前は、バリの民家でよくみられるスタイルのリビングルームのみ屋外のタイプであったが、リノベーションを機にリビングルームがガラス窓で覆われたため、蚊にも悩まされず、クーラーの効いた室内でゆっくり過ごせるようになった。
ロビーを抜けると、ダイニングやプールへと続く階段が現れる。部屋まで歩いて帰りたい時には、この道を使う。
棚田を思わせる構造で各ヴィラが立ち並んでおり、そのなかでもオススメしたい部屋タイプは、海に一番近い場所に位置する「プレミア オーシャン ヴィラ」。プライベートプールのすぐ目の前には大海原が広がるため、地平線の向こうから昇る朝日を特等席で拝める。朝日を浴びて大きく深呼吸し、太陽のエネルギーを感じれば、素晴らしい1日の始まりとなるだろう。全ての客室が海に面しているとはいえ、ここまで手の届く距離に海を感じられ、波の音に癒される部屋は他にない。
「プレミア オーシャン ヴィラ」のリビング兼ベッドルーム。いずれの部屋も天蓋付き。
「プレミア オーシャン ヴィラ」のリビングルームを出ると、プライベートプールが現れる。
また、この部屋のひとつ上である最上ランクの「インペリアル3ベッドルームヴィラ」も、ぜひ選択肢に入れておきたい。なぜなら、プライベートキッチンとプライベートジム、そしてバス&シャワー付きのメイドルーム(お手伝いさん用の部屋)まで擁しているからだ。よりプライバシーの高い環境を求める諸兄には、こちらを選ぶことをオススメする。
この部屋は2階建て仕様になっており、エントランスが2階部分に位置している。リビングルームを受けると、芝のプライベートガーデンが広がっており、ここではダイニングやウェディングパーティも開くことが可能。1階部分にメインベッドルームやキッチン、プールやジムが配されているため、招待されたゲストの導線も完璧に考えられている。
2フロアからなる「インペリアル3ベッドルームヴィラ」。写真右下の大きなプールの左側は、子供用の浅い水深のもの。
「インペリアル3ベッドルームヴィラ」の1階部分。奥には広々としたプライベートキッチンが完備している。他の客室とは異なり、落ち着いた色使いのインテリアが魅力的。
余談ではあるが、いずれの客室にも設えられている玄関の扉について少々解説をしておきたい。バリ島では、非常に大切な意味を持っているこの扉。門を通ることにより、家に入る前に邪悪なものを取り除いてくれるという習わしによるものだ。それゆえ、すべての客室の入り口がこういった設えになっている。バリ島が実にスピリチュアルで、ロジカルな意味をもつ伝統が多くあることを感じられるうちのひとつである。
各客室に設けられている、バリ伝統の玄関。邪悪なものを取り除いてくれるとされている。
また、ジンバランのフォーシーズンズには、神社が約300もある。一番大きな神社では、司祭によるお祈りの儀式も行ってくれて、バリ島ならではの神秘的なひと時を過ごすことができる。お祈りが終わると、お土産として司祭自ら手首にミサンガをつけてくれる(何日か滞在していると気づくと思うが、スタッフもほぼみんなこのミサンガをつけている)。ぜひ一度体験していただきたい。