ESSENTIALS OF THE MASTERS: LUCA RODA
世界の一流が愛するもの:
ルカ・ロダ
July 2021
クラシックでありつつ遊びと個性に溢れたデザインで、「ロダ」を世界的なブランドにしたデザイナー、ルカ・ロダ氏。
決してマスにはなびかない独特なデザイン同様、私物もこだわり抜いたものばかり。
text miki tanaka
photography alessandro ottaviani
LUCA RODA/ルカ・ロダ
イタリア・ブレーシャ出身。「ロダ」オーナー&デザイナー。95年にノード社を設立し、ネクタイブランドとして同ブランドを創業し、現在ではトータルルックのブランドに成長させた。自分のブランドだけでなく、クリエイティブディレクターとして、他ブランドのデザインにも携わっている。
スーツはダブルのみで、クラシックなスーツが好きだが、色や生地は万人受けしそうなものは決して選ばないというロダ氏。このスーツも他のスーツと同様、ナポリのトリンケーゼという仕立て屋によるもの。スーツは基本的にス・ミズーラのみ。
Q1. 一番好きなスーツはどんなモデルですか?
私はジャケパンスタイルよりスーツのほうが断然好きで、特にダブルのスーツを好んで着ます。ネイビー、グレイなどの一般的な色はほとんど(グレイに至っては全く)着ないで、グリーン、デニム、赤などちょっと変わった色のスーツが好きですね。スーツのほとんどはトリンケーゼというナポリの仕立て屋のオーダーメイド。1着スーツを減らしてもいいから既製品より仕立てで作りたいですね。
Q2. 一番好きなシャツは?
シャツはクラシックなタイプで、白が95%、デニムが5%。バカンスではたまにプリントシャツを着ることもありますが。一番好きなのは、バグッタの前身頃にプリーツの入った白のシャツです。
左:(Q2)シャツの95%を占める白シャツ。バグッタのシャツがお気に入りで、これは最近特に気に入っているフロント部分にプリーツが施されたモデル/右:(Q3.)ネクタイはロダ。90% がブルー系。ほとんどが柄物。
Q3. 一番好きなタイは?
この質問への答えはやはり自社ブランド「ロダ」と言うしかないでしょうね。そのうち90%は柄の入ったネイビー系のネクタイです。ノットを小さくするのが好きなので、幅は7cmがほとんど。最近は特にニットタイを愛用しています。
Q4. 一番好きな靴は?
クラシックなら、チャーチのシャンガイの6年前ぐらいのスペシャルエディション。イブニングに使うなら、ジミーチュウの、ネイビーのベロアにスタッズの付いたタッセル付きのオペラシューズ。
お気に入りの2 足。左はチャーチのシャンガイ。6年ほど前に買ったスペシャルエディション。右はジミー チュウのオペラシューズ。マイアミで購入。
Q5. どんな鞄を愛用されていますか?
自分のタトゥーと同じデザインをカスタマイズでペインティングしたルイ・ヴィトンのボストンバッグと、自分でデザインして職人に作ってもらった、オーストリッチのネイビーのバッグを愛用しています。
お気に入りの鞄たち。左は自分がデザインして馴染みの職人が作ったオーストリッチのバッグ。右はルイ・ヴィトンのボストンに自分のタトゥーと同じペインティングを施したもの。
Q6. 愛用の腕時計を教えてください
パテックフィリップのワールドタイム。パテックは最高級時計として常に憧れがあったのと、旅が多い私には、世界中の時間が見られる時計が欲しかったので。もうひとつはロレックスのデイトナ。こちらはどちらかというと普段使い。
左は将来的に息子に譲るつもりのパテック フィリップのワールドタイム。右は最近買ったロレックス・デイトナ。
Q7. カジュアルアイテムのお気に入りは何ですか?
カジュアルスタイルではチノパンかジーンズ。ジーンズは特にヤコブコーエンのアカデミーの白パンを愛用しています。これらのボトムに軽めのアンコンのダブルジャケットを合わせることが多いです。裏地にガイコツの刺繍のあるフィールドジャケットも気に入っています。カスタマイズするのが好きで、これも自分で裏地を替えたものです。
左:ボトムはヤコブコーエンのアカデミーがお気に入り/右:アウターは自分で裏地をカスタマイズしたフィールドジャケットを愛用。
Q8. 他にファッションで特に愛用しているモノは?
モロッコの民族衣装のマント。モロッコに行った際、現地の人たちが着ているのを見て、自分も欲しくなって買いました。ラクダの毛で出来たロングマントで、防寒性は抜群。すっぽり纏ったり、一部を羽織ったりしてバリエーションで楽しんでいます。スーツにも意外に合うので、夜に出かけるときの外套代わりに使っています。もうひとつは“ルカ・ロダの七つの大罪”をモチーフにしたブレスレット。私の弱み=ハーレー、ゴルフ、自分のブランド、ブルレスク(女性)、ジントニック、3人の子供、キューピッド(妻)をモチーフにしてオリジナルで作ってもらったもので、常に身に着けています。
ブレスのモチーフは名付けて“ルカ・ロダの七つの大罪”。氏が愛する(誘惑に負ける)7つのモノ、ハーレー、ゴルフ、自分のブランド、ブルレスク(女性)、ジントニック、3人の子供(のイニシャル)、キューピッド(自分と妻のイニシャル)が。
トリンケーゼのダブルのジャケットにヤコブコーエンのジーンズ、ロダの巻物。そして普段使いにしているモロッコの民族衣装のマントを合わせて。自宅のリビングの入り口に飾られたミケーレ・ヴィラッローニ作の銅像「ゼブラ」とともに。
Q9. 愛車を教えてください
黒のポルシェのカイエンに乗っています。3人の子供たちを乗せるためのファミリー向けなので、安全性が高く、信頼できる車であることが一番なのです。もちろんデザイン的にも気に入っています。
Q10. お気に入りのフレグランスは?
モロッコのマラケシュで買ったアラブのエッセンス。香水はアラブのモノが最高だと思っています。またはロイヤルラグビー。スパイシーでパンチのある香りが好きです。
左:アラブの香水やエッセンスが大好きだと言うロダ氏。この香水は名前も読めないのだが、モロッコで気に入って購入したとか。右:スパイシーな香りが好きで長年愛用している「ロイヤルラグビー」。
Q11. 一番好きなレストランはどこですか?
誰と行くのかにもよるのですが、子供を連れて行くならカジュアルなスシのお店「テマキーニョ」。ブラジル日系人の開発したスシなので、本来の日本食とは違うのですが、子供たちは大好きです。シックなディナーなら「クラッコ」が好きです。オーナーシェフのカルロ・クラッコとは20年来の友達で、シェフズテーブルに案内してくれます。彼の創造性溢れる創作料理は素晴らしいです。
イタリアで最も有名なシェフのひとり、カルロ・クラッコによるミシュラン1つ星の名店「クラッコ」。シェフとは地元が近くて20年来の友人。www.ristorantecracco.it/
Q12. 好きな家具は何ですか?
インテリアは40~50年代のヴィンテージ家具に、例えばシュナーベルなどの現代アートをミックスするのが好きです。ミニマルなデザインの中にちょっとひねりを入れています。でもインテリアは妻のほうがずっと詳しいんですけどね(笑)。
Q13. お気に入りの葉巻はありますか?
昔はコイーバを吸っていましたが、今はほとんど吸いません。
Q14. お気に入りのお酒はありますか?
30年来ジンが大好きで、「ザバーマスター」や「ジンマーレ」をよく飲みます。夜に家で飲むことが多いですね。またはシャンパン。私が好きなのを知っている人から50歳の誕生日に「ローラン・ペリエ」の9Lボトルをいただきました。
左:好きなお酒はジン。イタリア産のジン、ボナヴェントゥーラ・マスキオの「THE BARMASTER GIN」はお気に入りのひとつ。 右:50歳の誕生日にプレゼントされた「Laurent Perrier」の9L入りマグナムボトル。似顔絵も入った特別なボトルなので飲み終えた後も大事にしている。
Q15. 今までで一番良かったと思うホテルは?
モロッコ、マラケシュの「アマンジェナ」。その景色は信じられないくらい美しく、モロッコの自然を生かしながら最高級のホテルに仕上げてあり、見事です。
モロッコ、マラケシュにあるアフリカ大陸初のAMANグループのホテル「AMANJENA」。アラブ情緒溢れる雰囲気と最高のもてなしでセレブにも人気。 www.aman.com/ja-jp/resorts/amanjena
Q16. 別荘はお持ちですか?
私の出身地であるガルダ湖が見える場所にバカンス用に使う家を持っています。素敵な庭があり、夏のバカンスの間は家族たちは2~3カ月をここで過ごしています。
北イタリア有数のリゾート地、ガルダ湖畔にある別荘。これは別荘からの景色で、本人曰く「360度とは言わないけれど250度ぐらいは湖が見渡せます」とのこと。
Q17. 一番好きなリゾートはどこですか?
モーリシャスにある、シャングリ・ラグループの「ラ・トゥエスロック」。妻と大昔に行って以来気に入り、子供たちが生まれてからも3回行きました。
モーリシャス諸島にある「Shangri-La’s Le Touessrok Resort & Spa 」。全室オーシャンビューの極上の空間。ロダ氏の好きなゴルフも楽しめる。 www.shangri-la.com/jp/mauritius/shangrila/
Q18. ベストな音楽は?
リズム&ブルース、ソウルなどブラックミュージックが好きです。スヌープ・ドッグ、トム・ブラウン、コモドレスなど。一曲選ぶならR.ケリーの「I Believe I Can Fly」ですね。自分の葬式にはこの曲をかけて欲しいですね。葬式は自分の好きなようにやってほしいですから。
Q19. 好きなエアラインは?
安全性や信頼度の面ではルフトハンザ、サービスがよいのはエミレーツ。これらは清潔でテクノロジーが素晴らしく、サービスがよく、たくさんの都市へのフライトがあるのが魅力的ですね。
Q20. ベストな映画は?
好きな映画はその時期によって変わるので今好きなテレビ番組を挙げると「ナルコス」と「ビリオンズ」。前者はNetflix、後者はSkyの番組で、両方とも事件もののシリーズです。
Q21. 好きな本は?
好きなテレビ番組と同様で、事件ものが好きなので、今読んでいるのも「スーパーノート」というシークレットサービスのシリーズものです。写真集で好きなのは「グランドツアー」という、ゲーテが旅したイタリア各所について、さまざまなアーカイブから集めたモノクロ写真の本です。また「コデックス・セラフィニアヌス」というイラスト本も好きで、これは不可解な絵に存在しない言語で注釈がつけられているナンセンスな本なのですが、新しい世界が開けた気分になります。
左:ゲーテが訪れたイタリアの名所の写真をアーカイブから集めた写真集「Grand Tour」/右:アーティスト、ルイージ・セラフィーニによって描かれた奇書「CODEX SERAPHINIANUS」。シュールなイラストに現存しない言語で注釈をつけた百科事典のような装丁のユニークな画集。
Q22. 今一番欲しいモノは?
自由に使える時間がもっと欲しいです。お金で買えるものなら買いたいくらい。若くて時間がたくさんあった頃には時間の重要さがわからなかった、ということをしみじみと考えさせられます。
Q23. お洒落だと思う人は?
イタリアの名優、マルチェロ・マストロヤンニ。何を着てもエレガントで非常に魅力的な人でした。そしてそれは他とは違った個性的な魅力だったと思います。
20世紀を代表するイタリアの名優、マルチェロ・マストロヤンニ。センスと遊びのある着こなしでも知られる。
Q24. 今一番夢中になっているコトは?
テニス。2年前に昔やっていたテニスを久々に再開し、今はまた夢中になっています。
本記事は2018年1月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue20