ESSENTIALS OF THE MASTERS: CLAUDIO MARENZI

世界の一流が愛するもの
クラウディオ・マレンツィ

Saturday, July 10th, 2021

ヘルノを世界的ブランドに成長させた敏腕2代目であり、伊ファッション界のさまざまな要職を兼任する重要人物。

そのサクセスストーリーを支えるユニークな調度品たちとは?

 

 

text miki tanaka

photography alessandro ottaviani

 

 

 

CLAUDIO MARENZI

クラウディオ・マレンツィ

イタリア・レーザ出身。ヘルノ社長兼CEO。1948 年に創立し、今年70周年を迎えた同ブランドの2代目として大きく事業を拡大。現在、ピッティ・イマジネ協会代表、コンフィンダストリア モーダ代表、クラシコイタリア協会代表を兼任するファッション界の重鎮でもある。

 

スーツはお気に入りのテーラー、ジャンニ・チェレギンのス・ミズーラ、シャツはトゥッリ。左には、ピッティ期間中に行われたヘルノ70 周年記念イベントの際に展示された、マッチ箱のコレクションが。

 

 

Q1. 一番好きなジャケットはどんなモデルですか?

 ジャケットとスーツはジャンニ・チェレギンというテーラーによるス・ミズーラのものを愛用しています。友人を介して知り合ったのですが、細めのフィット感やポインテッドラペルの感じなど、彼の革新的な作りが気に入り、30年来ずっとオーダーしています。生地は自分で選んで持ち込んで作ってもらうことがほとんどで、色は基本的にネイビー、茶、白のバリエーション(生成りやクリーム色等)ばかりです。

 

スーツはお気に入りのテーラー、ジャンニ・チェレギンによるス・ミズーラのみ。チェレギンは元々ヴェネト州出身だが、現在はクラウディオ・マレンツィ氏の地元からさほど遠くないところに工房を構えていて交流も深い。

 

 

Q2. 一番好きなシャツは?

 トゥッリのス・ミズーラのシャツを愛用しており、特にカンクリーニの生地が好きです。バックにプリーツの入った細めのラインで、襟はセミワイドスプレッド、袖口はカッタウェイが私の定番です。

 

 

Q3. 一番好きなタイは?

 なんといってもマリネッラでしょう。オーナーのマウリツィオとは長年の友人でもあり、ナポリに出張する際には、早朝から開いているマリネッラの店に行ってネクタイを買うのが習慣のようになっています。特に好きなのは紺地に小紋のネクタイです。

 

 

Q4.カジュアルアイテムのお気に入りは何ですか?

 ヘルノのラミナーです。これはテクノロジー、機能性、イノベーションとエレガンスが結合した、まさにヘルノのエッセンスともいえる自信作です。テクノ素材を使った撥水加工で、防水性、防寒性、透湿性を兼ね備えており、さらにダウン部分は取り外し可能。機能性を備えていながら、スーツなどフォーマルなアイテムにも合わせられるので個人的にも愛用しています。

 

 

Q5.  一番好きな靴は?

 私は基本的にチャーチの「ライダー」しか履きません。甲が高い私の足にはこのモデルがぴったりなのです。これを古くなるにつれて用途を変えていくのです。まず新品はビジネスシーンでスーツなどに合わせて履き、1年ぐらいしてやや古くなってきたら週末用の靴として3年ぐらい履き、もっと古くなったら庭仕事用の靴に。最後にはひもを取って、かかとをつぶしてスリッパにします。ここまで使った後も全部コレクションとして箱に入れてとっておきます。今や50足くらいありますよ。

 

靴はチャーチの「ライダー」しか履かないというかなりのこだわりぶり。用途を変えながら完全に履きつぶすが、その後も箱に入れてきちんとコレクション。

 

 

Q6. どんな鞄を愛用されていますか?

 ヘルノは80年代後半に「ドレッシング ウェル」というアングロアメリカンテイストのトータルルックのラインを作っていたのですが、その当時のバッグを1989年以来ずっと使っています。コートの生地とレザーでできたバッグで、物がたっぷり入るので、1泊2日の出張などでもこれで十分。常に持ち歩いていますが、どこに行っても周りから好評です。また製品化しないのかって?それはあり得るかもしれませんね(笑)。

 

ヘルノが過去に生産していたバッグを長年愛用。1泊2日の出張なら対応可能な使い勝手の良さが自慢で、どこにでも持って行くというかなりのお気に入り。

 

 

 

Q7 愛用の腕時計を教えてください

 一番大事にしている腕時計は、父から譲られた50年代のヴァシュロン・コンスタンタンです。これは父が仕事で成功を収めた際に自分への御褒美として買って以来、いつも身に着けていた時計で、私が会社を継いだ当時に私に譲ってくれたものです。父に守られているような気がするので、仕事でここ一番というときはラッキーチャームとしてこの時計をしています。

 

先代から、会社と同時期に譲り受けたヴァシュロン・コンスタンタンの金時計は、幸運を呼んでくれる勝負時計でもある。

 

 

 

Q8. その他ファッションアイテムで愛用しているものは? 

 私は帽子のコレクターで、100個以上は持っています。コーディネイトに遊びを入れるためのアイテムなので、あえて変わったデザインのものを集めています。実は帽子をコレクションするようになったのは日本に仕事で行って影響を受けたからなのですよ。日本の男性は帽子を上手に使いこなしているし、素敵な帽子屋さんもたくさんあります。日本には帽子文化が根付いていると思います。

 

さまざまなもののコレクターであるクラウディオ・マレンツィ氏のコレクションのひとつが帽子。奇抜なデザインなものも多いが、コーディネイトに遊びを入れるアイテムとして実際に使っているもの。日本で影響を受けて帽子集めを始めたそうだ。

 

 

 

Q9. 愛車を教えてください

 普段乗っているのは、ポルシェ911 タルガ4S 。ポルシェは昔から好きなクルマですが、このモデルが一番好きです。父もポルシェが好きだったのですが、父がよく「年度末に支払いを全部終えた後、ポルシェを買うお金が懐に残ったら立派なものだ」と言っていたので、私は年度末収支で5000万ユーロ超えたらポルシェを買おうと決めていました。2013年はギリギリのところで足らず、2014年にその額を達成したので、決算を締めた翌日にこのクルマを買いに行きました(笑)。それ以外にも父から譲り受けた1962年製のアルファロメオのジュリエッタ スパイダーを持っています。

 

「懐に借金しないで買えるお金が残るようになってからポルシェを買え」という先代の言いつけ通り、年度末決算で目標額をクリアしたと同時に買ったというポルシェ911 タルガ4S。

 

 

 

Q10. お気に入りのフレグランスは?

「ロイヤル ムスク」のオーデコロンを愛用しています。バミューダ諸島で生まれた香水でフレッシュな香りが気に入っています。

 

 

Q11. 一番好きなレストランはどこですか?

 ミラノの「ランゴステリア」。ヘルノのミラノショールームの近くにあって、オープン当時からひいきにしてきました。その後人気が出て店舗数も増えましたが、親切なサービスは変わらず、料理も高いレベルをキープしています。マリンテイストと都会的な雰囲気がミックスされたインテリアも好きです。魚料理で有名な店なので、よく注文するのは生の魚介類の前菜盛り合わせや、シーフードフライ、魚の塩釜焼などです。

 

お気に入りのレストランはミラノの「ランゴステリア」。特にファッション業界の人たちから支持されているミラノ随一の人気レストラン。新鮮な魚介を使ったシーフードが自慢。https://langosteria.com/

 

 

 

Q12. お気に入りのインテリアは何ですか?

  好きなインテリアブランドはバクスターです。伝統的な職人技の生きたクオリティが高い製品にモダンなデザインがミックスされているところが、ヘルノと似ていると思います。色や素材のバランスも素晴らしいと思います。中でも好きなアイテムはレザーソファです。

 

 

Q13. お気に入りの葉巻はありますか? 

 以前はシガーを吸っていましたが、今は日本のピースを吸っています。日本に仕事で行くようになってから、タバコを始めてしまいました。最初はネイビー地にオリーブをくわえた鳩のパッケージングが気に入ったのですが、今では甘い香りと純粋なタバコの味も好きです。もちろんイタリアでは手に入らないので、ヘルノ・ジャパン社の方々が買ってきてくれたり、来日した際にたくさん買ってきます。3日でひと箱程度のペースでしか吸わないのでそれで十分です。

 

日本の代表的なタバコのひとつ、ピースがお気に入り。ニコチンもタールも高いのであまり本数は吸わないそうだが、その甘い香りや味が好きで来日の際にわざわざ持ち帰ったり人に頼んで調達しているそう。

 

 

 

Q14. お気に入りのお酒はありますか? 

 スウェーデン産のジン「ヘルノ」がお気に入りです。最初は自分のブランドと同じ名前なので興味本位で飲んでみたのですが、美味しかったのでファンになりました。イタリアでは珍しいジンなのでなかなか手に入らない貴重なお酒です。

 

お酒でお気に入りなのはスウェーデンのヘルネサンドという町の郊外で生まれた「ヘルノ・ジン」。新進気鋭の蒸留所ながら香りが良くインパクトのあるジンで人気上昇中。

 

 

 

Q15. 今までで一番良かったと思うホテルは? 

 イタリアならフィレンツェのJ.K.プレイス。まるでプライベートの邸宅に滞在しているような、ゴージャスだけどこれ見よがしでないもてなしがいいですね。日本のホテルオークラも好きで、30年来ずっとここに泊まってきました。ユニークなのは富士山を延々と映し、BGMに和風ラウンジミュージックを流しているジェットラグ用のプログラムがあって、到着した日の私にとってはなくてはならないものです(笑)。

 

お気に入りのホテルのひとつがフィレンツェの「J.K.プレイス」。私邸のように温かみのある作りで、ひと部屋ごとに異なるインテリアが施されている。www.jkplace.com

 

 

Q16. 別荘はお持ちですか?

 マクニャーガの美しい自然に囲まれた山の頂上に別荘があります。1763年に建てられた石と木でできた家で、幼い頃からここで家族とバカンスを過ごしてきました。この家にいる時は主にスキーをするのですが、その自らのスキー体験がラミナーを開発する時のアイデアとして生きています。

 

 

Q17. ボートを持っていたらどんな船か教えてください

 世界で一番美しい木のボートといわれる、「リーバ アクアラマ スペシャル」を持っています。これも父から受け継いだ船ですが、幼い頃からの思い出がたくさん詰まっていて私にとってはとても愛着のある船です。

 

 

Q18. ベストな音楽は?

 好きなのはカントリー。特にジョニ・ミッチェルやトム・ウェイツがお気に入りです。中でも好きなアルバムは、前者は「ブルー」、後者は「ブルー・ヴァレンタイン」です。

 

 

Q19. ベストな映画は?

 イタリア人監督、ガブリエレ・サルバトレスの作品「エーゲ海の天使( 原題Mediterraneo)」。時代背景が戦争直後のヘルノが生まれた当時の話なのですが、その中で希望を与えられるようなストーリーであること、またちょうどヨットでセーリング中にこの映画のロケ中だったところに行き当たったこともあり、私にとってのベスト1となっています。

 

 

Q20. 好きな本は?

 ピエロ・キアラ著「LA STANZA DEL VESCOVO(司教の部屋)」。地元であるマジョーレ湖を舞台にした作品で、いつも鞄の中に入れて持ち歩いている長年の愛読書です。ヘルノの70周年の記念ディナーではこの本のページをメニューに使いました。

 

 

Q21. 今一番夢中になっているコトは? 

 仕事ですね。今年はヘルノの70周年、日本での事業展開50周年なのでその記念行事にもかなり力を入れて動いています。アニバーサリー年ということで、それに対する喜びや刺激とともに、続けていくことの大事さをしみじみと感じています。また長年の趣味であるコンテンポラリーアートの収集は常に私がエネルギーを傾けているものです。

 

コンテンポラリーアートに造詣が深く、アート作品のコレクションには長年情熱を傾けてきたクラウディオ・マレンツィ氏。それらは自宅だけでなく、本社の至る所にも飾られている。写真は来客用スペースにある、ジャンニ・カラヴァッジョ作の「Aspettando La Nuova Vita」。

 

 

 

Q22. 今一番欲しいものは?

とにかく時間が欲しいです。本を読んだり自分のために使える自由な時間が欲しい……でも、それ以前に仕事をこなすための時間さえ足りないですね(苦笑)。

 

 

本社のクラウディオ・マレンツィ氏のオフィススペースに飾られている、マッシモ・カウフマンの作品「Puer Aeternus」の前で。

 

本記事は2018年9月22日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue24