EMBA KYOTO CHOPHOUSE, Four Seasons Hotel Kyoto
【京都】熟成肉ステーキに新鮮なシーフードや地産野菜まで。シェアして楽しむ「エンバ・キョウト・チョップハウス」
June 2024
京都・東山。清水寺まで徒歩で15分ほどの場所に位置するフォーシーズンズホテル京都のメインダイニングが、そのスタイルを大きく変えこの4月に全く新しいレストランとしてリニューアルオープンを果たした。熟成肉のステーキをはじめ、旬のシーフード料理や地産野菜のグリルを楽しめる、アルゼンチン出身シェフが手がける注目のレストラン「エンバ・キョウト・チョップハウス」とは。宿泊者のための最新情報も紹介する。
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和傘をモチーフにしたホテルエントランス。
京都の東山に位置するフォーシーズンズホテル京都は、2016年10月に開業して以来、多くのゲストに愛されてきた。現在、同ホテルの総支配人を務めるのはフランス出身のファニー・ギブレ氏。彼女は、開業以来初となる女性総支配人であり、その注目度は日に日に増している。
フランス出身で、母国語のほかに英語、スペイン語と日本語を操り、4人の子供の母でもある。大のスタジオジブリ作品ファンであり、誰よりも日本、そして神社仏閣好きで、集めた御朱印帳はすでに7冊を超えているという。
そんな日本愛に溢れる総支配人がいる同ホテルのシンボルが、平安時代からこの場所で人々を見守ってきた日本庭園「積翠園(しゃくすいえん)」だ。一部の客室からはこの雄大な庭園を見渡すことができ、春夏秋冬移り変わる華麗な姿で我々を楽しませてくれる。
総支配人のファニー・ギブレ氏。自他共に認める日本好きな彼女が総支配人を務める同館には、日本人ある我々でさえつい忘れてしまいがちな繊細で格式ある日本の文化がそこかしこに根付いている。
平家物語にも記された、約800年もの歴史を持つ名庭「積翠園(しゃくすいえん)」。池には鯉もいて、餌をあげることも可能。右手にある丘には絵馬掛所も用意されている。
今回ご紹介するホテルの新たなメインダイニング「エンバ・キョウト・チョップハウス」も、この「積翠園」を望む特等席のひとつである。広々としたテラス席や、床から天井まである大きな窓から、四季折々の美しい景色を望むことができる。
「エンバ・キョウト・チョップハウス」のテラス席。
ロビーフロアから「エンバ・キョウト・チョップハウス」の一部を見渡せる。非常に開放的な空間。
このレストランの特徴は、熟成肉のステーキや旬のシーフード、地元の新鮮野菜を楽しめるチョップハウス(ステーキハウス)スタイルにある。
店名にある“エンバ”の“エン”には、3つの「宴」「炎」「縁」がかけられており、色々な人が集って縁を繋ぐとともに、シェフやチームがゲストとの繋がりも生み出すような“バ(場)”でありたい、という思いが込められている。
ベジタリアンやペスカタリアンなど食の多様性にも対応できるメニューも充実しているため、様々な価値観を持つゲストが同じテーブルで心地よく共に食事を囲むことができる。複数人でシェアをして、ワイワイ賑やかに食事の時間を楽しめるようなダイニングなのだ。
料理長を務めるのは、世界的にも牛肉料理で有名なアルゼンチン出身のセバスチャン・バルクデス氏。料理好きの母親の影響もあり、17歳で料理の世界へと飛び込んだバルクデス氏は、世界各地の一流レストランでの経験を持つ人物だ。直近では、世界的にも有名なイタリアの肉職人「ダリオ・チェッキーニ」が手がけるステーキハウス「SLSバハマール」にて料理長を務めた経歴を持つ、いわば肉のスペシャリストである。
料理長のセバスチャン・バルクデス氏。
いくつかシグニチャーディッシュをご紹介したい。まず前菜のひとつとしておすすめの「シーフードプラッター」は、牡蠣や車海老、蟹やホタルイカ、ウニやホタテ、ロブスターまで非常に多彩なシーフードを楽しめる。その華やかな見た目も相まって、ディナーのスタートに最適だ。
「カリフラワーの炭火焼き」は、白胡麻をまぶして炭火で焼き上げたカリフラワーに、黒胡麻のソースとミントヨーグルトを添えた一品。香ばしい香りとカリカリの食感が楽しめる。
「エンバクラブケーキ」は、レモン風味のタルタルソースとのバランスが絶妙な一品。クラブケーキの中には、国産ズワイガニとエビ、インカポテトがぎっしりと詰まっている。添えられているマスの卵と紅芯大根、地元の農家で採れた香り高いハーブとの相性も抜群で、揚げ物なのに重たくない、白ワインやロゼと合わせたい一皿だ。
よく冷えた白ワインとともに楽しみたい「シーフードプラッター」(2名用¥22,000)。
「カリフラワーの炭火焼き」(¥3,800)。
カラフルな色味とカニの形をした墨色のチップスがフォトジェニックな「エンバクラブケーキ」(¥5,800)。
メインディッシュには、鹿児島県黒毛和牛や熊本県産あか牛など日本各地のブランド牛をはじめ、アメリカ産プライムサーロイン、オーストラリア産ラムチョップまで、世界各国の肉が揃うが、最初は迷わず国産牛の「熟成肉のTボーンステーキ」を選びたい。全12種のソース(ベアルネーズ、マッシュルーム、燻製マスタード、サルサヴェルデ、バーべキュー、赤ワイン、ガーリックコンフィ、ボーンマロウ、山椒、胡麻、わさびバター、ウィスキー山崎ソース)から好みの3種を選べるのも嬉しい。
シェフにこだわりポイントを聞いてみると、「鹿児島産の牛は脂肪分が少なくて、非常にバランスが取れています。輸送に時間のかかるアメリカ産の熟成肉はブルーチーズなどのような強い香りになりがちですが、鮮度のよい国産牛肉を使い、ゆっくり熟成させ、毎日状態をチェックすることで、よりやさしい香りに仕上げています」とのこと。料理に関して質問すると、非常に丁寧に説明してくれるバルクデス氏。もし気になることがあれば気軽に尋ねてみてほしい。
メインを注文するときは、サイドディッシュもお忘れなく。「海藻マッシュポテト」や「とうもろこしと豆腐のクレームブリュレ」、さらには「焦がしミモレットのマカロニアンドチーズ」などひと捻り効いた品が多彩に揃う。複数人で訪れて、少しずついろいろな種類を楽しんでいただきたい。
名物の「Tボーンステーキ」(シェア用1kg ¥32,000)。
ドリンク面では、ビバレッジディレクターの中野氏を筆頭としたチームが、ジャンルを問わない充実したラインナップを揃えている。たとえば、グラスでもさまざまなワインを楽しめるようにと、シャンパーニュ(テタンジェとルイナール)からロゼ、白や赤、スプマンテやデザートワインまで常時30種類以上用意されている。あのサッシカイアもグラスで楽しめるというから驚き。ボトルにおいても150種類以上用意されており、カラフェでも多彩なワインを選べる。殊にワインのラインナップの充実度においては関西屈指といえよう。ペアリングに関しては中野氏に相談するのがおすすめだ。
「エンバ・キョウト・チョップハウス」は、一流のラグジュアリーダイニングでありながら、スタッフたちと気軽にコミュニケーションを取れる親しみやすさも持ち合わせている。大切な仲間や家族との次なる集合場所に、是非ともこのダイニングをおすすめしたい。美しい庭園風景を楽しみながら、特別感のある炭火焼き料理を味わう、かけがえのない時間を過ごせるだろう。
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最後に、滞在を検討する方のために、フォーシーズンズホテル京都のおすすめ客室やアクティビティを少しご紹介する。
全180ある客室の中でも、THE RAKE的おすすめは断然レジデンシャルスイート。フル設備のキッチンやカトラリー、そしてバルコニーと全自動洗濯機を備えているため、中長期滞在でも快適だ。今年の8月に大阪に開業するフォーシーズンズホテルを含めても、国内ではここだけが唯一レジデンスタイプの客室を擁している。
今年に入ってからは、京都ならでは、いやこのホテルならではのアクティビティも非常に充実していることも特筆したい。たとえば日曜日には、“Sunday Wellness Activity”として、森林浴や東山の界隈でのモーニングウォークやスタジオでのモーニングヨガクラスが登場。日によっては、伝統的な数寄屋造りの建築様式を取り入れた、美しい日本庭園に佇むラウンジ「楓樹」での金継ぎ体験や建仁寺の僧侶による坐禅体験もできる。また、「GMカクテル」と題された、本記事序盤でご紹介した総支配人ファニー・ギブレ氏主催のカクテルパーティーが開催される月も。ぜひ事前にホテルに確認して、京都滞在をよりエンジョイしてほしい。
フォーシーズンズホテル京都は、訪れるたびに新しい発見と感動を与えてくれる場所だ。次の休暇には、ぜひこのホテルで特別な時間を過ごしてみてはいかがだろうか。
「1 ベッドルーム レジデンス ガーデンビュー」。ダイニングテーブルはもちろん、オーブンやカトラリー、調理器具など一通りのものが揃っている。ちなみに写真の部屋を含む同ホテルの全スイートには弊誌THE RAKE日本版が設置されているため、客室で楽しむことができる。
茶室「積翠亭」も隣接しているラウンジ「楓樹」。
フォーシーズンズホテル京都
京都市東山区妙法院前側町445-3
TEL.075-541-8288