Dunhill in Wes Anderson’s Latest Film
ウェス・アンダーソン監督の新作に〈ダンヒル〉の特注パイプが登場
September 2025
ウェス・アンダーソンの新作映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』に登場するのは、英国ブランド〈ダンヒル〉が特別に制作した特注パイプ。小さな白い点=ホワイトスポットが、その物語をより深く照らし出す。
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英国紳士の象徴として名高い〈ダンヒル〉のパイプが、ウェス・アンダーソン監督の最新作『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』(2025年)に姿を見せる。単なる小道具にとどまらず、物語の核心を象徴する存在として、ブランドの歴史と監督特有の幻想的な世界観を結びつける重要なキーアイテムだ。
映画は、アンダーソンならではの緻密な映像美とユーモラスな人間模様で彩られる。主人公ザ・ザ・コルダを俳優ベニチオ・デル・トロ、娘リーズルを女優ミア・スレアプレトンが演じ、さらにトム・ハンクス、ブライアン・クランストン、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチといった豪華キャストが脇を固める。アンダーソン監督とロマン・コッポラが構想したストーリーは、ユーモアと哀愁、そして「継承」という普遍的なテーマを軸に展開する。
1893年創業の英国ブランド〈ダンヒル〉は、そのクラフツマンシップと革新性で知られてきた。なかでもパイプはブランドの代名詞であり、熟練の職人技が結晶した逸品である。今回映画のために制作された特注パイプもまた、ダンヒルの美学を鮮やかに体現している。
そのデザインは、19世紀アメリカで流行したクラシックなコーンコブパイプ(トウモロコシの穂軸を削って作られたもの)から着想を得ている。手作業でカットし磨き上げられた色鮮やかな石が、18金ゴールドのフレームに一粒ずつ精緻にあしらわれ、ボウルを囲むように配置されている。そしてステムに輝くホワイトスポットが、このパイプがダンヒルの正統な作品であることを示している。
スクリーンに登場するこのパイプは、単なる嗜好品ではない。父と娘をつなぐ象徴として、物語の核心に深く関わっていく。アンダーソン作品において小道具は常に重要な役割を担ってきたが、ダンヒルのパイプはその最も鮮烈な例となるだろう。
このコラボレーションは、ラグジュアリーブランドと映画芸術が融合する好例である。歴史ある英国ブランドの象徴が、現代映画界屈指の映像作家によって新たな命を吹き込まれる。ダンヒルのパイプは、スクリーンの中で美しく輝くだけでなく、観る者に「伝統が未来へ受け継がれていく瞬間」を鮮烈に体感させてくれるのだ。
『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』
日本全国公開:2025年9月19日(金)予定
ダンヒルのパイプについて、より詳しく知りたい方はこちら










