CORTHAY “Cannes”

仏の耽美派、その新しいステップ

December 2016

text kentaro matsuo

 このところ、欧州の老舗と言われるシューメーカーが、相次いでライト感覚のスリップオンをリリースしている。それらの靴に共通するのは、柔らかいアッパーと返りのよいソールを持ち、素足で気軽に履けるところである。いずれもカッチリとした従来の定番品に比べると、ずいぶんと軽やかな印象を受ける。

 この度、「美しい靴を作らせたら、右に出るものはいない」といわれるフランスの耽美派=コルテからも、この流れを受けた新しいシリーズが登場した。“カンヌ”と名付けられたローファーがそれだ。南仏のリゾートでの生活、つまり”ビーチ・フロントとパーティの両方に対応できる靴”がテーマとなっている。確かに、カジュアルさとフォーマルさを併せ持つ、絶妙のデザイン・バランスだ。コルテの頭文字Cを模したストラップの金具が、よきアクセントとなっている。

 最大の特徴は、ブレイク(マッケイ)製法を採用していることだ。これによって、ソフトな履き心地とスマートなシェイプを得ている。こういった繊細な靴には、やはりマッケイが似合っている(ちなみに欧州ではブレイク、日米ではマッケイと呼ぶことが多い)。また価格が抑えめとなっているのも嬉しい。
カンヌは今まで、ハンドソーンとグッドイヤーにこだわって来たコルテの、新しいステップといえる。

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“ビーチ・フロントでもパーティでも履ける靴”をコンセプトに開発されたコルテの新作。ブルー、ピンク、バーガンディなど、カラー・バリエーション多し。明るめのスエード系が、特に魅力的だ。色違いのパイピングやストラップのCを模したメタルパーツなど、ディテールにもこだわりが。カーフ¥120,000 (税抜)、スエード¥115,000 (税抜)

Corthay (メゾン コルテ青山Tel.03-3400-5060)
www.corthay.com