CORNELIAN TAURUS BY DAISUKE IWANAGA
THE RAKEの誌面から
火がついたクロコ・バッグ
February 2021
THE RAKEが取り上げたことがきっかけとなって、大ヒットにつながったバッグをご紹介しよう。コーネリアン タウラス バイ ダイスケ イワナガの4ハンドル・クロコダイル・バッグである。
コーネリアン タウラスは、神戸を拠点にするデザイナー、岩永大介氏が手掛けるレザー・ブランドで、素材調達から、カット、縫製、流通に至るまで、すべてファミリーで運営しているという、日本では珍しい存在だ。
岩永氏は、姫路が誇る馬革専門タンナー、新喜皮革で学んだ経験を持ち、革の扱いはお手のもの。そのクオリティが評判となり、いまでは日本のみならず、世界中のショップで取り扱われている。
初出は2018年1月号(2017年11月24日発売)に掲載された、イタリア・トリノ出身のデザイナー、ジェンピエロ・ボディーノ氏の記事である。ボディーノ氏は、元リシュモン・グループのデザイン・ディレクターなどを務めたデザイン界の重鎮で、そのスタイルやモノ選びには、独特の感性に貫かれていた。
そんな彼がお気に入りのバッグとして紹介したのが、コーネリアン タウラスのクロコダイル・バッグだった。文中には“モデル違いで3ついっきに購入し、用途によって使い分け”とある。パリのセレクトショップ、レクレルールで購ったものらしい。扱いは決して大きくはなかったが、雑誌発売後、記事を見た日本人から問い合わせが殺到し、数百万円の売り上げにつながったという(見ている人は、見ているものだ)。
今回改めて検証してみると、たしかに魅力的なバッグなのだ。
まず使われているクロコダイルが大きい。横45✕縦35cmというジャンボ・サイズの1枚革が使われている。背開きにしたクロコの腹側部分を左右対称に配し、上級素材ならではのきれいに並んだ符模様が、他にはない迫力を感じさせる。クロコにもかかわらず、ボディは非常にソフトだ。床に置くと、自重でくたりと曲がるほどで、これは丁寧に薄くそいだ素材が使われているからだろう。
バッグとしてさまざまな表情を持っているところもいい。ハンドル4本とストラップが付属しており、普通にストラップをつければショルダーバッグに、ストラップを片側だけに装着し、片側のハンドルを通して戻せばワンショルダーに、ストラップを取り外せばボストンバッグのようなフォルムになる。その日のコーディネイトや気分によって、バッグの形を変えられるのだ。
ディテールも面白い。ハンドルには、日本刀の柄を参考にしたという精緻な革巻きが施されている。使われている真鍮金具は、潜水具がモチーフとなっている。これは岩永氏の父上が、元・潜水夫だったからだという。
THE RAKEの編集者としては、あくまでも記事中の“筆力で”ヒットとなったと信じたいところだが、どうやら商品自体の魅力が傑出していたようだ。コスト・パフォーマンスにも、優れている。これだけ大きなクロコダイルの1枚革を使って、この値段はどう考えても安い。
サイズ:W45✕H35✕D15cm
素材:クロコダイル
カラー:各色あり(写真はブラウン)
¥680,000 Cornelian Taurus by Daisuke Iwanaga