BREGUET “Classique Double Tourbillon 5345”

創始の地を思い描いて

November 2020

 

 

 

 時計フェアの多くが開催されなかった異例の2020年。各社からそれぞれのタイミングで新作が発表される形になったが、ブレゲから今秋、ついに今年のハイライトとなる意欲作が発表された。

 

 2006年に初めて発表されて以来、ブレゲのトゥールビヨンの主力である「クラシック ダブルトゥールビヨン」の最新作だ。

 

 見ての通りダイヤルは取り払われ、ダブルトゥールビヨンのムーブメントが露わになっている。このムーブメントプレート全体が12時間で1回転する仕組み。ふたつのトゥールビヨン(1分間で1回転する)を結ぶブリッジの半分がブルーに塗られており、これが時針として機能する。また、プレート上にはふたつの香箱があり、その上を精巧に仕上げられたブレゲの“B”マークが覆う。驚くべき表示スタイルの複雑時計である。

 

 インスピレーションの源は、アブラアン-ルイ・ブレゲが1775年に時計工房を開いた、始まりの地“ケ・ド・ロルロージュ”。ケースバック側にはその地にある建物のファサードがエングレービングされている。

 

 レンガや窓枠の質感まで細密に描かれ、建物の窓ガラス越しに歯車が見えるなど、ブレゲの熟達したクラフトマンシップが詰まっている。表裏ともにブランドのアイデンティティと原点に立ち返った、芸術作品ともいえる傑作だ。

 

 

 

超複雑なムーブメントをドーム型の風防により鑑賞できるようにすることで、この時計を占有するひとつのモニュメントとして成立させた。一方でケースバック側には、初代ブレゲがトゥールビヨンを発明した創始の地を描く。ストラップはストーン加工を施したラバーを採用し、これまでにないユニークなルックスに仕上がっている。差し色となる裏面のカラーは、写真のブルーのほか、オレンジ、レッド、ブラックの4色から選ぶことができる。限定モデルではないが、限られた愛好家のみが手にすることのできる特別なタイムピースだ。「クラシック ダブルトゥールビヨン 5345“ ケ・ド・ロルロージュ”」手巻き、Ptケース、46mm。¥68,500,000(※2020年11月現在の価格) Breguet(ブレゲ ブティック銀座 Tel.03-6254-7211)