BMW M2 Coupé
“魔性のエンジン”を味わい尽くすために
June 2017
text kentaro matsuo
アグレッシブなエクステリア・デザイン。BMWのデザインは、「美しく、しかも退屈しない」という理想的なフェーズを迎えている。
“バイエルンの青い空”とは、数多いBMWへの賞賛の一つだが、その言葉に相応しい、どこまでも「スコーンと抜けた」一台が、今回試乗したBMW M2 Coupéである。 BMWの本格スポーツカーとして、会心の作であるのは間違いない。
まず嬉しいのは、そのサイズだ。昨今スポーツカーのサイズがどんどん拡大されているなかで、全長4475mmは、コンパクトカーの範疇だ。全幅は1855mまで拡大されているが、それでも、スポーツカーらしい“タイト感”に溢れている。乗った瞬間から、体にフィットしたオーダースーツを着たような心地よさがある。
エクステリアは、迫力のあるフロントエプロンや張り出したフェンダーで、迫力満点。このクルマが、只者でないことをアピールしている。ノーマルの2シリーズとは、似て非なるものである。
大きく張り出したリアフェンダーが、このクルマがピュアスポーツカーであることを物語っている。
BMWのエクステリア・デザインは、いま最盛期を迎えていると思う。かつて超アヴァンギャルドなデザイナー、クリス・バングルがチーフを務めていた時期のBMWは、すべてにおいて“トゥーマッチ”であった。しかし、天才バングルの残した遺産の数々は、ほどよい形で咀嚼、継承され、現在のBMWのデザインは、「美しく、しかも退屈ではない」という理想的なフェーズを迎えている。
対してインテリアは、やや素っ気ないもの。カーボン製のパーツが多用されており、パーツの質感も高いが、すべてがブラックアウトされており、第一印象としては、少し地味だと感じる。