Baxter CEO PAOLO BESTETTI ーinterviewー

伝統が生み出す最高皮革をソファに

Friday, July 19th, 2019

上質な牡牛の革のみを用いるレザーソファブランド『バクスター』。

他とは一線を画す圧倒的なオリジナリティで、その地位を確立しているこのブランドの魅力に迫る。

 

photography takayuki fujimoto

 

 

Paolo Bestetti  パオロ・ベステッティ

1966年ミラノ生まれ。大学卒業後、父の家具会社を経て、叔父が創業したバクスターを創業から約2年を経た頃に引き継ぎ、現在に至るまでCEOを務める。プライベートではワイン好きが高じて、2013年から叔父とワイン作りを始めたと言い、「幸運にも最初の年から、とても美味しいワインができたんだよ」と笑顔で教えてくれた。

 

 

 1989年にイタリアで誕生したファニチャーブランド『Baxter(バクスター)』。最高品質の牡牛の革のみを贅沢に用いたソファが、彼らの代表作であり最大の強みだ。今でも昔ながらの伝統的な鞣し方法を用いることにより、素材本来の品質を追求し続けている。

 

 たゆまぬ追求の末に生み出される“思わず触れたくなる”そのレザーは、エグゼクティブを虜にするだけでなく、スイスやロンドンをはじめとする欧州の数々の高級ホテルでも採用されているほど。ひとたび腰かければ、上質さゆえの魅力に、誰もが酔いしれてしまうのだ。

 

 これほどの素材を用いたソファが誕生したきっかけは、一体どのようなものだったのだろう。CEOを務めるパオロ・ベステッティ氏に伺った。

 

「大学を卒業してから、父の経営していた家具関連の会社を手伝っていたのですが、5年ほど経った頃、叔父がレザーに特化したブランドを始めるにあたって、私に声をかけてくれたのです。彼がこよなく愛するタンナーへ頻繁に連れていってくれるようになったのですが、通っているうちにそこの昔ながらの技法で鞣されたレザーの美しさに、私もすっかり心を奪われていました。しかし当時は、そういったレザーは靴や鞄に使用するだけで、誰も家具には使用していなかった。そこで私たちが、この美しき自然素材を家具として世に送り出してみせようと、叔父主導のもとバクスターを創業しました。それまでの常識からあまりにも逸脱していたため、皆に気が狂っていると言われましたけどね(笑)」

 

パオラ・ナヴォーネ氏によってモダンにアレンジされた同社のアイコン的存在のチェスターフィールドソファ。『チェスタームーン』W2550×D1070×H670×SH360mm ¥3,560,000 ~ Baxter(バクスター ジャパンTEL. 03-5413-3274)

 

 

バクスターにとってのデザイン

 当初からこだわり続けている素材だけでなく、デザイン性の高さでも定評のある同社にとって、素材とデザインはどんな関係にあるのだろう。

 

「レザーという多彩な素材ありきの、デザインであるべきだと考えています」

 

 その真意はこうだ。

 

「ソファのデザインは、ある意味、普遍的であるべきです。だから毎年、コレクションを大幅に変更するのではなく、その時代のムードやライフスタイルに合った色や素材を提案し、デザインを“アップデート”させています。弊社にマーケティングチームがないのは、市場に需要があるかないかが重要ではないから。素材の良さを最大限に生かし、バクスターの哲学が宿ったソファを作り出すことが我々の使命だと思っています」

 

 毎年、業界を牽引する多彩なデザイナーを起用し、バクスターらしさが宿る数々のソファを発表してきた同社だが、なかでも数年前のパオラ・ナヴォーネとの出会いは運命だったという。

 

「彼女は、我々の理念と同様に、素材を見てからデザインを考えてくれる。また、職人が30年以上かけて培った技術の中から、デザインに生かすことのできる重要な要素を見つけ出してくれる。彼女はバクスターをデザインに根付いた会社に変容してくれました。我々のソファを、単なる家具という枠組みを飛び越え、ひとつのアート作品としても楽しめるものにしてくれたのです」

 

 

大判の一枚革でふわりと包んだかのような一台。縫い目が見当たらない美しい意匠である。『フォールド』W2500×D1100×H630×SH400mm ¥2,250,000 ~Baxter(バクスター ジャパンTEL. 03-5413-3274)

 

 

 東京の南青山に新たにオープンしたショールームについても話してくれた。

 

「もともと映画館だったところに建てたミラノのショールームに、とても似ているんです。地下にある、皆に発見されづらいところ。見つけてくれた人に、ささやかな驚きを与えたいのです」

 

 バクスターの魅力が詰まったこの“隠れ家”にひとたび足を踏み入れれば、あなたも陶酔へと誘われることだろう。

 

 

Baxter Tokyo

2016年12月にオープンしたショールーム。階段を下りると、7つのセクションにバクスターの多彩な魅力を閉じ込めたモダンな空間が出現する。

東京都港区南青山4-18-16 フォレストヒルズ WESTWING B1F

TEL.03-5413-8913

営業時間:11:00 ~19:30  (定休日:水曜日)

http://baxter-japan.jp