AUDEMARS PIGUET NEW WATCHES 2023

オーデマ ピゲ、進化への挑戦

May 2023

text tetsuo shinoda
photography pak oksun (CUBE)
still photography shoichi kondo
styling akihiro shikata
grooming kaori sakihama (INFINITY)

スーツスタイルにマッチする本写真のブラックアリゲーターストラップのほか、オーナー自身で容易に交換可能なラバーストラップが付属する新作モデル。スポーティなルックスながら、シーンに合わせて対応できる汎用性が魅力だ。
時計「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」自動巻き、ブラックセラミックケース、43mm。¥7,480,000 Audemars Piguet スーツ ¥286,000 Ring Jacket Meister シャツ ¥24,200、タイ ¥16,500 both by Paul Stuart

2023年はロイヤル オーク オフショア誕生30周年! ジェラルド・ジェンタは、1972年に傑作「ロイヤル オーク」をデザインした。頑強なステンレススティール素材を使いつつも、ヘアラインとポリッシュの仕上げを巧みに組み合わせて立体感を高め、薄型かつスポーティなスタイルを見事に確立したのだ。

 となれば、彼が1993年にデビューした「ロイヤル オーク オフショア」を見るなり激怒し、オーデマ ピゲのブースに乗り込んできたという逸話も頷ける。ジェンタがデザインした八角形ベゼルや平面と斜面を生かしたケースは継承していたが、全体的に大きく厚くなり、ロイヤル オークの“薄型ケースのエレガンス”が弱まってしまった。しかもこのような野性味あふれるスポーティなデザインは、当時のトレンドと逆行していたのだ。

 しかしオーデマ ピゲは、確固たるビジョンを持っていた。それはロイヤル オークを若者層に向けてリデザインするという挑戦であり、そのためには最高傑作にメスを入れることもいとわなかった。そしてその目論見はあたり、ロイヤル オーク オフショアは大成功を収めることになる。

 そんなロイヤル オーク オフショアの衝撃的なデビューから、今年で30年を迎える。この時計が切り開いた、エクストリームスポーツウォッチのジャンルは、今ではすっかり定番となっている。しかし、オーデマ ピゲが進化への挑戦を止めることはない。

 今年の注目の新作は、ブラックセラミックとイエローゴールドを組み合わせることで、時計をアクセサリーとしても楽しむ現代にフィットする、艶っぽいモデル。ロイヤル オーク オフショアは、これからも時代をリードし続ける。オーデマ ピゲの行く後ろに、新たな道ができるのだ。

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフケースサイドとプッシュボタンを一体化させる43mmモデルの新作は、リュウズガードやケースとストラップをつなぐコマにイエローゴールドを採用。さらにダイヤルのミニッツトラックや針も同系色にして、黒と金の艶っぽい色合わせを完成させた。ムーブメントは一体型クロノグラフのCal.4401を搭載。約70時間のパワーリザーブを誇る高性能が自慢だ。自動巻き、ブラックセラミックケース、43mm。¥7,480,000 Audemars Piguet
ユーズドデニムジャケット ¥38,500 Levi’s(Used) Tシャツ ¥27,500 Fedeli サングラス ¥34,430 Ray-Ban

30周年記念イベント開催中!

顧客が所有する「ロイヤル オーク オフショア」と入手したストーリーを紹介する『ロイヤル オーク オフショア 30年の歩み』展を開催中。非常に貴重なモデルを含む、約20点が展示される。

『ロイヤル オーク オフショア 30年の歩み』
会場:東京都中央区銀座6-5-13 オーデマ ピゲ ブティック 銀座B1F
期間:2023年12月末まで
時間:12:00–19:00(18:00最終受付)
入場無料(事前予約優先、予約は以下URLより)
https://borninlebrassus.audemarspiguet.com/event05/

人気コレクションにSSケースが追加! オーデマ ピゲは今も、時計界に衝撃を与えるのが好きなようだ。2019年にデビューした「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は、ロイヤル オークによって完成した八角形という同社のアイコニックなデザインをミドルケースに取り入れ、それを丸形ケースで上下から挟み込むという複雑な構造になっている。しかもラグは中空型なので、ミドルケースの仕上げが細部までよくわかる。ベゼルが細いためドレスウォッチにも見えるが、ケース径は41mmあり、横から見るとボリューム感があってスポーティ。多彩な個性を持つ“CODE 11.59”は、シーンレスで使える今までにない時計なのだ。

 その最大の特徴であるケースの立体造形は、オーデマ ピゲが追求してきた美的表現のひとつでもある。同社はロイヤル オークを製作するために切削技術を高めてきたが、そういった蓄積が、CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲのディテールにも宿っている。

 そんな“CODE 11.59”だが、今までは比較的加工しやすいゴールド素材や自由な造形が得意なセラミック素材を使用してきた。しかしついに今年の新作で、ステンレススティール素材の採用に踏み切った。この素材は頑強で錆びないだけでなく、ヘアラインやポリッシュが美しく仕上がるというメリットもある。その一方、加工が難しい素材でもあるため、CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲの立体感を実現させるには相当苦労したようだ。担当者は「オーデマ ピゲ史上最も加工が困難なモデルである」と語っている。つまり単なる素材バリエーションの追加ではなく、ケース加工技術への挑戦であったのだ。

 完成したステンレススティールモデルは、センターセコンドのオートマティックと、クロノグラフの2種類で、それぞれにグリーンとナイトブルー クラウド50、スモークベージュの3つのダイヤルが用意される。なお、スモークベージュだけはミドルケースがセラミックになっており、シルバー×ブラックの配色や質感の違いによって、ケースの立体構造をさらに強調している。

 オーデマ ピゲは、いつだって高級時計の世界に革新と衝撃をもたらしてきた。そして次なる一撃は、CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲが巻き起こす。モデル名の“11.59”には、何かが始まる12時の直前という意味が込められている。まさにそれを実現している時計なのだ。

上:CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフダイヤルの装飾に新しい技法を取り入れており、型押し技法によって作られた凹凸は、中心にいくほど細かくなるようにデザインされている。搭載のムーブメントは、自社製のCal.4401。一体型の設計なので、ムーブメント厚は6.8mmで、ケース厚は12.6mm。自動巻き式クロノグラフとして考えると、実にバランスのよいプロポーションといえるだろう。自動巻き、SSケース、41mm。¥4,345,000 Audemars Piguet

下2点:CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティックセンターセコンドモデルは、Cal.4302を搭載。厚みは4.9mmで、ケース厚も10.7mmとスリムにまとめた。左のスモークベージュのモデルはセラミックとのコンビモデルで、右のグリーンのモデルはシックな雰囲気を醸し出している。ダイヤルと同系色のストラップにはカジュアル感があり、シーンを選ばない。見返し部分に入ったミニッツトラックの目盛りが細かくなったり、リュウズのデザインがシンプルになったりと、ディテールも着実に進化している。左:自動巻き、SS×セラミックケース、41mm。¥3,465,000 右:自動巻き、SSケース、41mm。¥3,135,000 Audemars Piguet

オーデマ ピゲ ジャパンTEL.03-6830-0000
https://borninlebrassus.audemarspiguet.com