ASK THE RAKE: TO ALL THE MARTINIS I’VE LOVED BEFORE
マティーニについてのこだわり
March 2021
今回の“Ask The Rake”シリーズでは、大衆文化の中で最もアイコニックなカクテルであるマティーニについて考える。
THE RAKEのマイク・ヒューズが、お気に入りのカクテルを紹介する。
by mike hughes
アレッサンドロ・パラッツィ、デュークス ロンドンにて。
マティーニに関する国際的な法律があるわけでもないし、厳格なマティーニ・ポリスがいるわけでもないが、V字型のグラスで提供されるもののすべてが“マティーニ”と称されることに、少なからず苛立ちを覚える。
エスプレッソ・マティーニもそうだし、ポーンスター・マティーニもそうだ。これからはそれぞれ“ウォッカ・エスプレッソ”と“パッションフルーツ・アボミネーション”と呼ぶことを提案したい。
冗談はさておき、今回はジン、ベルモット、そしてさまざまなガーニッシュ(飾り)で作られる古典的なマティーニにのみ焦点を当てたい。残念ながら、私はウォッカ・マティーニがあまり好きではない。しかし、ウォッカ、ジン、キナ・リレをシェイクしたヴェスパー・マティーニなら断ることはできない。(誰もがジェームズ・ボンドになりたいのだ)。
ヴェスパー・マティーニといえば、私はロックダウンが終わるのが、本当に待ち遠しくてならない。なぜなら、デュークス ロンドン ホテルのデュークス バーで、マティーニを3杯注文することを夢見ているからだ。
ただし、「マティーニは1人2杯まで」という不文律を守るアレッサンドロ・パラッツィ氏の怒りを買うことは、十分承知しているのだが(このルールは、アレッサンドロが過去に多くのルール違反者を、店から追い出さざるを得なくなったことで作られたと確信している)。
ここのマティーニは超ドライで刺激的だ。ベルモットはグラスをすすぐだけで、カーペットの上に捨てられてしまう。(このバーの火災保険については考えないでおこう)。
アレッサンドロは、凍らせたジンをそのままグラスに注ぐ“ダイレクト・マティーニ式”を好んでいる。希釈を避けるため、氷を入れてかき混ぜることはしない。ガーニッシュはアマルフィ産のレモンピールで、ドリンクの表面とグラスの縁にあしらわれている。
デュークス バーのファンとして知られるのは、ハリウッドの映画監督・俳優、ポール・フェイグ氏だ。 ポール氏はマティーニを愛するあまり、自らのオリジナル・ジンまで作ってしまった。自分自身で原料を丹念に仕込んだ、“アーティングストール・ブリリアント・ロンドン・ドライ・ジン”をリリースしたのだ。
11種類のボタニカル・フレーバーが、完璧にブレンドされている。これはマティーニに最適なジンで、バランスのとれたエレガントな味わいだ。アーティングストールは、今年英国で発売される予定で、私はそれを手に入れることを楽しみにしている。ネグローニを作るのにも最適なジンだが、それについてはまた別の機会に・・。
伝統的なガーニッシュではないが、以前、マティーニにスプーン1杯のキャビアをあしらったものを飲んだことがある。 派手で、仰々しくて、まったく必要がないともいえたが、私はそれがとても気に入ってしまった。
飲み終わったグラスを傾けると、酒に浸されたチョウザメの卵が口の中に入ってきて、バターと塩気を帯びた喜びのシャワーが口中で爆発し、思わずもう1杯飲みたくなった。
ASPREY
Crystal and Sterling Silver Stag Head Decanter $ 4,295 |
ASPREY
Cobalt and Sterling Silver Coasters $ 1,230 |
最近ではあまり見られなくなったが、パールオニオンをガーニッシュとしてあしらったギブソン・マティーニと呼ばれるカクテルがある。マティーニを食前酒として定着させるきっかけとなったカクテルだ。
ロンドン、オールド・ストリートにある“ザ・ギブソン・バー”は、ギブソンに再び脚光をあてようとしている店で、店名もこのカクテルにちなんでいる。
ここでは“エイジド・ギブソン”が供されている。バルサミコ酢の古樽で熟成させたベルモットを使い、トリュフとアップルビネガーに漬けたオニオンを添えて、まるでケトルチップスのポテトのような最高のフレーバーを楽しめる。
ASPREY
Sterling Silver Stag Bottle Stop $ 1,230 |
MESS OF BLUES
Petrol Blue Cocktail Hour Silk Square $ 120 |
さて、ダーティ・マティーニが本当に好きな人はいるのだろうか。それとも「ダーティ・マティーニ」と言いたいだけなのだろうか。ガーニッシュとしてのオリーブは悪くない。グリーン・オリーブではなくブラック・オリーブを使うと、刺激的なうま味を感じることができる。アンチョビを詰めたオリーブがグラスの底に沈んでいるのを見たこともある。
マティーニのガーニッシュとしてオリーブを使う場合、1つか3つにしよう。オリーブを2つ入れるのは縁起が悪いし、見た目的にも奇数のほうがいい。パーティに参加するなら、オリーブは3つにしておこう。おつまみにもなるし、どうせカナッペは、すぐには出てこないのだ。