Andrea Boragno Interview
日本のテクノロジーとイタリアのアート
高級素材“アルカンターラ”を使った
カプセル・コレクション発表
October 2020
―会社としてサステナビリティに力を入れているとお聞きしましたが?
「サステナビリティへの取り組みは、他のイタリアの多くの企業が始める前に、いち早くスタートさせました。当社は、2009年からカーボン・ニュートラルを試みています。カーボン・ニュートラルというのは、何かを生産する際に、排出する二酸化炭素をゼロにするという概念です。しかしこれは、ポリエステルの生産においては非常に難しい。そこでわれわれは、アジア、インド、南米、アフリカなどの発展途上国において、化石燃料の代替となる風力や水力による発電事業を助けることにしました。これによって、全体的にはカーボン・ニュートラルが達成できると考えています」
―日本においても、サステナビリティの啓蒙活動をなさっているとか?
「日経新聞と一緒に企画を進め、早稲田大学において、サステナビリティについての大きなシンポジウムを開きました。同様の試みを、スイスのバーゼル大学やイタリアのヴェネチア大学でも行っています。さまざまな企業とも、サステナビリティについての話し合いを進めています。今後は素材のリサイクルにも力を入れていきたいですね。サステナビリティについては、サプライヤーにも社会的責任を果たすよう求めていますし、ステークホルダーからも求められています。今後この方向性が変わることはないと思います」
―日本とのご関係が深いようですが、日本という国に対して、どう思われますか?
「私はイタリアで生まれ育ち、5年間アメリカで働いた後、日本の企業で働くことになりましたが、その文化や習慣は相当に違うと感じました。しかし大切なのは、その違いを理解し、受け入れるということです。でも、イタリア人と日本人は、似ている点もあるとも思いました。それはお互いに“クラフツマンシップ”を大切にするところです。特に中小企業の持つ技術に存在価値を見出すのは、そっくりだと思います」
実はボラーニョ氏は、日本の珍味、“アンコウの肝”が大好きなのだという。初めて口にしたときは驚いたらしいが、そのうちハマったらしい。インタビュー中、何度も「アンキモー!」と連呼していた。そんな氏は、まったく違う価値観に触れるということが、グローバリゼーションに繋がるのだと力説していた。
日本のテクノロジーと、イタリアのアーティステイックな感性を併せ持つアルカンターラは、機能的で、美しく、サステナビリティの基準を満たす素材だ。ファッション・マテリアルとしても大いなる可能性を秘めている。その事実は、今回のランバンとのコラボレーション・プロジェクトでも明らかだ。
アルカンターラのファッション・アイテムを、ぜひ1着ワードローブに加えてみてはいかがだろうか?