Anantara Dhigu Maldives Resort and Naladhu Private Island Maldives

【滞在記】楽園・モルディブは、リゾートはしごが吉

February 2025

モルディブ・南マーレ環礁に位置するマイナー・ホテルズの3つのリゾート。そのうち、「Anantara Dhigu Maldives Resort(アナンタラ・ディグ・モルディブ・リゾート)」と「Naladhu Private Island Maldives(ナラドゥ・プライベート・アイランド)」を、自他共に認める旅好き(&シャンパーニュ好き)のライター長谷川あやが訪れた。運営は同じながら、個性がまったく異なるこのふたつのリゾートの魅力と楽しみ方を紹介する。

 

 

text aya hasegawa

 

 

 

 

 時には日常から解放されて南国のラグジュアリーなリゾートで“何もしない”贅沢を満喫したい。そんな時はやっぱりモルディブ。日本から少し遠いけれど、そのぶんエクスクルーシブ感は半端なし! 「特別な場所に来た」感も強い。日本にだってキレイな海はあるけれど、インド洋の海が日本のそれとは異なる美しさをたたえていることも、非日常感を盛り上げる。

 

 

「アナンタラ・ディグ・モルディブ・リゾート」。終の棲家にしたい(笑)

 

 

 

 モルディブは、スリランカ南西部のインド洋に浮かぶ島々から成る26の環礁と約1200の島々からなる群島国。地元の人が暮らす約200のローカルアイランドのほか、約170島がリゾートアイランドだ。基本的に1島1リゾートで、リゾートごとに個性が異なる。──というかその個性こそがモルディブの売りだと筆者は考えている。どのリゾートにステイするかによって、“モルディブ”の印象はまったく違ってくるはずだ。

 

 

「アナンタラ・ヴェリ・モルディブ・リゾート」のプール。

 

 

 

 今回、筆者が訪れたのはタイを拠点とするMinor Hotels(マイナー・ホテルズ)が運営するリゾートだ。以前、バンコクのチャオプラヤー川沿いにある「アナンタラ・バンコク・リバーサイド・リゾート」に泊まり、緩やかな時間の流れと、その料理の美味しさがすっかり気に入ってしまった筆者、ぜひほかの国でも「アナンタラ」ブランドのホテル・リゾートを訪れたいと思っていたのだ!

 

 

「ナラドゥ・プライベート・アイランド」。「プライベート・アイランド」というネーミングに嘘偽りはなかった(笑)

 

 

 

 モルディブの南マーレ環礁には、マイナー・ホテルズが手がける3つのリゾートがある。「Anantara Dhigu Maldives Resort(アナンタラ・ディグ・モルディブ・リゾート)」(以下、「ディグ」)、「Anantara Veli Maldives Resort(アナンタラ・ヴェリ・モルディブ・リゾート)」(以下、「ヴェリ」)、そして「Naladhu Private Island Maldives(ナラドゥ・プライベート・アイランド)」(以下、「ナラドゥ」)だ。モルディブには人工的に造成された島も多いが、この3島のリゾートはいずれも自然に形成されたナチュラルアイランドで、それぞれボートで5分ほどの距離にある。今回、「ディグ」と「ナラドゥ」に2泊ずつしたのだが、運営は同じマイナー・ホテルズでもキャラクターは別物(笑)。当然ながら客層も異なり、モルディブというリゾートの縮図を見ているようだった。

 

 

「ナラドゥ・プライベート・アイランド」で宿泊した客室のバスとプール。

 

 

 

 それぞれの特徴を簡単に説明すると、「ディグ」はアクティビティが充実していて、アクティブにリゾートステイしたい人にぴったり。ファミリーにも向いている。2024年には、追加料金なしで利用できるキッズクラブが新設された。ファミリーはもちろん友人旅、一人旅にも良さそうだ。「ヴェリ」は18歳以上限定の大人のためのリゾート。そして、「ナラドゥ」は貴族にでもなったかのような体験ができる、きらっきらのプライベートリゾートだ。隠れたい人も、別に隠れる必要のない人も、ラグジュアリーな“おこもりステイ”を満喫できる。

 

「ディグ」と「ヴェリ」はボートで5分ほどの距離にあり、それぞれの島にあるレストランやプールなどの施設を利用することができる。ただし、「ヴェリ」の施設は、18歳以上のゲスト、またはディナーの予約をしているゲストとその家族のみが利用可能。また、「ヴェリ」と橋でつながっている「ナラドゥ」は宿泊者のみの聖域。「ナラドゥ」のゲストは「ディグ」と「ヴェリ」のレストランやスパを利用できるが、「ディグ」と「ヴェリ」のゲストは「ナラドゥ」に立ち入ることはできない。

 

 

船着き場で出迎えてくれたスタッフたち。ちょっぴり照れくさい(笑)

 

 

 

 今回、マレーシア航空で、モルディブに飛んだ。現在、日本からモルディブに直行便は飛んでおらず、シンガポール、スリランカ、マレーシアなどでトランジットするのが一般的だ。そこから「ティグ」までは、マーレ国際空港に隣接するボート乗り場から、ボートで30分ほど。船着き場で歌による歓迎を受けて(照れくさいけれど、うれしい)バギーで島内を案内してもらいながら客室へと向かう。白砂の砂浜に生き生きと茂る南国の木々、太陽の光を反射しその瞬間ごとに色を変える青い海──、「ザ・楽園」といった風景が次々と目に飛び込んできてテンションは爆上がりだ。

 

 

「ディグ」の水上コテージのバスタブ。とりたてて風呂好きというわけでもないのに何度も入ってみた(笑)

 

 

 

 ステイするのは水上ヴィラ。「ディグ」は、4カ月間にわたる大規模なリノベーションを慣行し、2024年6月にリニューアルオープンを果たした。レストラン、バーのほか、水上ヴィラを中心とした客室のリニューアルを行っており、部屋に入り、専用のプールを配したテラスや、海に面したバスルームを目にすると、「こりゃいいわ」なんて言葉が口をつく。負け惜しみでなく、おひとり様水上ヴィラ、上等だ。普段、家ではシャワーオンリーで、とりたててお風呂が好きというわけでもないのだが、この海に抱かれているようなバスタブ、入るしかない。そんなわけで、隙を見つけては入っていた(笑)。トイレの前の床がガラスになっていて、海の底を眺めながら用を足せるのも地味にうれしかった。

 

 

意外にも(?)仕事もはかどった。大きなデスクは使い勝手が良く、Wi-Fiの速度も申し分ない。滞在中、オンライン会議は、背景をぼかす設定を解除して参加しリア充をアピールしてみた。

 

 

 

 3つのリゾートでもっとも広い面積を有する「ディグ」はゲスト用の施設も充実している。スパでは施術を受けなくてもサウナや温浴施設の利用が可能。リニューアルされたばかりだというキッズクラブは、「子どもを預ける」のではなく、「自分が子どもに戻って利用したい」ほど。今後は子ども向けの料理教室も実施していく予定だという。

 

 

島内の移動は各客室の前に用意されている自転車を使うのが便利! もちろん、バギーを呼ぶこともできる。基本的には自転車で、雨の日やお酒を飲んだ後はバギーで移動した。

 

 

サメちゃんと泳ぐアクティビティは大興奮! 最後、サメちゃんに友愛の情を抱き始めている自分に気づいた。

 

 

 

 各種マリンアクティビティの申し込みができる「Aquafanatics」があるのも「ディグ」だ。初心者から上級者までレベルに合わせたプログラムを用意しており、今回、体験したのは「ナースシャークシュノーケリング」。エントランス付近に貼られているポスターを二度見した。ん? 文字どおり解釈すれば、サメと泳ぐってこと? ……やりたい!

 

「ディグ」の船着き場から、ボートで30分ほどの場所に連れていってもらうと、ボートの上からでもサメがうじゃうじゃいるのがわかる。このサメちゃん、ナースシャーク(コモリザメ)といって、人間には興味がないらしい。スタッフがボートから投げるマグロの切り身にはすごい勢いで食いついていたのでやや不安ではあったが、意を決して海に入ってみる。なるほど、マグロには夢中だが、人間には見向きもしない(それでいい)。そして、おとなしくてかわいいのだ。手出しは禁物だが、とても愛らしくて、すっかりナースシャークのファンになってしまった。透き通った海の中には、サメ以外にも、色とりどりの魚がたくさんいて、エキサイティングなシュノーケリングを満喫した。

 

 

「アナンタラ」は環境保護的活動をしている意識も高い系のリゾート。今回は体験できなかったが、リゾート周辺の膿に、育てたサンゴを植樹するアクティビティ「ホリスティック・アプローチ・トゥ・リーフ・プロテクション」を実施している。

 

 

 

「ディグ」滞在中は「ヴェリ」にも足を延ばした。“延ばした”といっても前述したようにボートでわずか5分! あっという間だ。「ヴェリ」は、徒歩15分ほどで一周できるコンパクトでコーズィーな島。ゲストを18歳以上に限定していることもあり、全体的に「ディグ」よりもしっとりした雰囲気だ。

 

 

本格的なタイ料理が楽しめる「バーン・フアラ」。毎日通いたいレベルの美味しさだった。

 

 

 

 料飲施設のクオリティが高い。「ディグ」と「ヴェリ」をあわせて、タイ料理、イタリア料理、モルディブやインド、スリランカなどの南アジア料理、和食など計7つのレストランがある。1アイランド1リゾートのモルディブでは、リゾートの外に食事に行くのが難しい。「その土地の美味しいものを食べること」が、旅の目的の大きな割合を占める筆者のような人間にとってはリゾート内のレストランの質は死活問題だったりするのだが、申し分ない。

 

 

「クミン」。「ヴェリ」の朝食会場でもある。

 

 

 

 今回、和食以外はすべて体験したが、どのレストランの料理もハイクオリティで大満足だった。「ヴェリ」にあるレストラン「クミン」はモルディブ料理をはじめインド料理やスリランカ料理など南アジア各地の料理を提供。スパイスを使った料理が好きな私にとってはパラダイスだった。サンゴの家という意味のタイ語が店名になっている、タイ料理レストラン「バーン・フアラ」では、オーセンティックなタイ料理がいただける。聞けば、スタッフ全員がタイ人なのだとか!

 

 しっとりとした雰囲気のなか、インド洋の海の恵みを心ゆくまで楽しめるレストランもあれば、海をオマージュしたオリジナルカクテルがいただけるバーもある。「今晩は何を食べようかな」と迷うのがまた楽しいひと時だった。

 

 

「ナラドゥ」のヴィラのエントランスには、こんな歓迎のサプライズが!

 

 

起きたらこんな景色が目に飛び込んできた!@「ナラドゥ」

 

 

 

 最後の2泊は、プライベートアイランドリゾートと呼ばれる「ナラドゥ・プライベート・アイランド・モルディブ」に滞在した。モルディブ語で「美しい島」を意味する「ナラドゥ」は、3つのアナンタラのなかでもっともグレードの高いリゾートだ。「ディグ」と「ヴェリ」も十分にラグジュアリーなのだが、敷地に入った瞬間、空気の流れも時間の流れも違うことに気づく。俗世界とは完全に隔絶していて、もはや自分がこの世に存在していないんじゃないかと不安になるほどだ。

 

 

「ナラドゥ」のビーチ沿いには、客室ごとにカバナが備えられている。

 

 

 

 徒歩で10分足らずで1周できる島内には、ゲストハウスは20棟のみ。全室プライベートプール付きで、19棟が300㎡。最も広い「Two Bedroom Beach Pool Residence」は600㎡を有する。筆者がステイしたのは「Ocean House with Pool and Private Beach Cabana」。筆者の人生史上、1、2を争うリュクスな部屋で、「チェックアウトまで一歩も外に出たくない」と本気で思った。実際、朝食を食べて、プールに入り、ちょっと仕事。ランチをして昼寝。またプールに入り、お風呂につかったら、あっという間にもう夕方だったりする。少しもったいなく感じたが、これでいいんだと思い直した(笑)。

 

 

「ナラドゥ」のダイニング「ザ・リビングルーム」。

 

 

「ザ・リビングルーム」で食べた、「モルディビアン・ブレックファースト」(左)と「アラビック・ブレックファースト」(右)。

 

 

 

 島内唯一のレストラン「ザ・リビングルーム」のコンセプトは、「No menu, No concept」。ゲストの希望をきいて調理してくれるオーダーメイド制だ。島内に気に入った場所を見つけたら、そこに食事を持ってきてもらうこともできる。英語も自己アピールも苦手な典型的な日本人(≒筆者)にはちょっとばかしハードルが高いが、メニューも用意されていて、メニューにある料理をアレンジしてもらうのもありだ。筆者はランチにはカニをたっぷり使ったサラダを、朝食には「ごはんが食べたい」「モルディブっぽいものがいいな」とお願いした。モルディブの国民食ともいえるマイルドなカレーはぜひ食べておきたい!

 

 

 

 

「これ、本当に自然の色なの?」とにわかには信じられないほどに青く透き通った海は、見飽きることはなく、5日間(4泊5日)、あっという間に時間が経ってしまった──。今でも時々、あれは実際に体験したこと? 夢だった? なんて考えてしまう。

 

 ネット環境がしっかり整っている安心な場所で、俗世界から離れて、ぼーっときれいな海を見て過ごす。そして、美味しい食事やお酒もちゃんとある。南マーレ環礁に、とっておきの楽園を見つけた!

 

 

Anantara Dhigu Maldives Resort

住所:P.O. Box 2098, Dhigufinolhu, South Malé  Atoll, Malé, Republic of Maldives

TEL.(+960)6644100

www.anantara.com/ja/dhigu-maldives

 

Naladhu Private Island Maldives

住所:P.O. Box 2098, Veligandu Huraa, South Male Atoll, Republic of Maldives

TEL.(+960)6644100

www.naladhu.com/ja

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