Saturday, September 26th, 2026

ロレックスが複雑機構を搭載した新作「パーペチュアル パデローネ」を発表

 ロレックスが9月15日(ヨーロッパ時間)、突如として新作「パーペチュアル パデローネ」を発表した(価格、発売時期は未定)。Watches & Wondersから半年近くを経てのサプライズである。その名は、1940年代末から1950年代初頭に製造された「Ref. 8171」に、当時のコレクターたちが与えた愛称に由来する。イタリア語で「大きなフライパン」を意味するこの通称は、38mmという当時としては大ぶりで平べったいケースから付けられたものだった。それを今回、ロレックス自身が正式なモデル名として採用したことも興味深い。

 新作のケース径は39mmと、1mmのサイズアップにとどめている。単に意匠を再現した復刻ではなく、オリジナルのプロポーションを尊重しながら、フルーテッドベゼルなど現行のパーペチュアル コレクションの意匠を融合させている。

 文字盤には12時位置に曜日と月、外周にポインターデイトを配置。6時位置にはブルーのエナメル製ムーンフェイズディスクを備え、満月と新月にはメテオライトを用いている。ヴィンテージを思わせる顔を描いた月は、現代のロレックスとしては大胆な表現といえるかもしれない。ケースは18Kエバーローズゴールドと950プラチナの2種類。エバーローズゴールドにはホワイト、プラチナにはアイスブルーのダイヤルの組み合わせだ。

 搭載する自社製キャリバー7190は、2025年発表の「ランドドゥエラー」に初めて採用されたキャリバー7135の進化形。5Hzの高振動に加え、シリコン製のダイナパルス エスケープメント、シロキシ・ヘアスプリング、セラミック製バランススタッフを採用する。さらに、新開発の「ハプロスシステム」によって30日と31日の月を判別。曜日、日付、月を午前0時に瞬時に切り替え、手動でのカレンダー調整を必要とするのは2月末の年1回だけ。ミドルケース側面に備えた4つのコレクターで、ムーブメントへの負荷を気にせずいつでも各表示を調整できる点も特徴だ。ロレックスにおいて、ムーンフェイズを含む複雑機構がひとつの時計に収まるのは、実に70年以上ぶりだという。

 ロレックスにとっての年次カレンダーはスカイドゥエラーに続く2例目だが、パデローネが目指す方向はまったく異なる。実用腕時計として発展してきたロレックスの最新ムーブメント技術を、同社のヴィンテージ史でも特にエレガントな複雑時計の姿に収めた。2023年に1908を発表して始まったパーペチュアル コレクションはこの新作をもって、単なるクラシックウォッチのシリーズではなく、ロレックスが自らの時計製造史を掘り起こしながら現代の技術で再構築する場として、その性格をより明確にしたといえる。