自由気ままにタンデムを
Wednesday, September 28th, 2022
text SHIGE OSHIRO
私は、毎年新しいことをひとつ以上はしようと決めている。一昨年は書道に、昨年はアクアスロンにチャレンジした。そして今年は、大型バイクの免許を取得しようと思い立ったのである。前々から、“いつかは”と思っていたため、18歳のときに普通自動車の免許を取得したのと同じ教習所に通うことだけは決めていた。当時の無邪気だった自分を懐かしみつつ、半世紀を生きた今の自分にじっくり向き合いたいと思っていたからだ。数十年ぶりに訪れた教習所は、バック・トゥ・ザ・フューチャーさながらに、当時と全く変わっていなかった。そんな驚きと同時に、ただひたすらに懐かしくもあり、初々しかった自分をちょっとだけ思い返したのである。
変わったことといえば私の年齢と体力、そして教官たちがすっかり歳下になっていたことだ。半世紀を生きた私への、びっくりするほどの丁寧な対応に、思わず面食らってしまったのである(当時は皆、おっかない鬼教官だった記憶しかない……)。
そんなことを思いつつ、あとは免許取得に全力を尽くすのみ。一本橋やスラロームなど教習が進むにつれ、視力や平衡感覚に微妙な衰えを感じ、もっと若いときに取得しておけばよかったなと若干の後悔の念に駆られた(笑)。とはいえ、なんだかんだ有意義で楽しい経験だったので、教習所の話はいつかブログでも始めて、そこに詳しく書こうとも思うが、とりあえず無事に免許を取ることができた。免許取得を友人たちに報告したところ、ハーレー、ドゥカティ、トライアンフ、BMW、モト・グッツィ……なにを買うのか?と方々から聞かれたのだが、友人たちの予想に反して、まずはどうしても乗り回してみたかったベスパを購入したのである(そもそもベスパだと小型・普通二輪免許でもよいのだが)。
ベスパといえば、そう、パブロフの犬ばりの条件反射で、オードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックの不朽の名作『ローマの休日』がすぐさま脳裏に浮かぶのは私だけではないだろう。オードリー演じるアン王女と、グレゴリー演じるアメリカ人新聞記者のジョー・ブラッドレーがローマ市内をベスパで走り回るシーンは、何度見ても私の憧れだ。アン王女の無邪気で純粋で、とびきりチャーミングなところ、そしてひとりの女性として恋をする姿や、王女として生きると決意した瞬間の気高さに、見るたびに心を揺さぶられてしまう。『ローマの休日』は、やはり永遠の憧れの作品である。オードリーの作中のセリフで、エンディングのところ以外に忘れられないものがある。
“I could do some of the things I ’ve always wanted to. Oh, you can’t imagine. I’d do just whatever I liked all day long.”
私もいつか最愛の人を後ろに乗せて、愛する人の温もりを感じながら、まずは海岸線をゆっくりとふたりだけの会話を楽しみながら走りたい。その前にはもちろん、お決まりのジェラートタイムも忘れずに(笑)。
Letter from the President とは?
ザ・レイク・ジャパン代表取締役の大城が出合ってきたもののなかで、特に彼自身の心を大きく動かしたコト・モノを紹介する。