海へ

Thursday, May 27th, 2021

text shige oshiro

 

 

頭上を優雅に漂うマンタ(オニイトマキエイ)。石垣島周辺の海域は、マンタに高確率で遭遇できる世界でも有数のポイントだ。私が遭遇したことのあるマンタは体長4〜5メートル前後。大きいものでは7メートルをも超える大型の絶滅危惧種だ。©Aflo

 

 

 

 

 ダイビングを始めて、もうかれこれ二十数年経つだろうか。初めてダイビングをした石垣島の海の色に魅了されて以来、世界中の海を潜ってきた。1000本ぐらいまでは、ログブック(日記のようなもの)に記録をしていたが、何本潜ったかはもう定かではない。

 

 私にとって海は、父親の仕事も関係して幼い頃から身近な存在であり、良き遊び友達であった。今でも海を眺めているだけで、気持ちが解き放たれて、穏やかな気持ちになる。大袈裟かもしれないが、懐かしい我が家に帰ってきた感覚と似ている。

 

 ダイビングの話に戻そう。おすすめのダイビングスポットやスタイルをよく聞かれることがあるが、これがまた私にとって難問なのである。海は人間と同じで、それぞれが個性的で、顔も性格もまったく異なるからだ。例えば、ギリシャは見ているだけで吸い込まれそうになるくらいの深く濃い青の世界であるし、マレーシアのシパダンは迫りくるような魚影の鮮やかさ(濃さ)が抜きん出ているし、メキシコのラパスはまるで水族館にいるような圧巻の大型の魚類や哺乳類に遭遇する。ダイビングにもしご興味を持たれたならば、ぜひとも世界中の海で神秘の世界を見ていただきたい。

 

 ダイビングを楽しむ傍ら、ダイビングに初めてチャレンジする方や子どもたちのスノーケリング講習などのボランティア活動も行っている。なかでも、十数年前から取り組んでいる珊瑚の保護(珊瑚の苗の植え付け) 活動は、とてもゆっくりではあるが、徐々に成果が出てきている(種類や海洋条件にもよるが、珊瑚はおよそ1年で1cm程度の成長スピードといわれているだけに、まったく気の遠くなるような根気のいる活動なのだが……)。

 

 植えた子どもの珊瑚たちが大きく成長し、1年にたった一度だけの初夏の満月の夜を待ちこがれるように、珊瑚たちが一斉に産卵をする神秘に満ちた海中のダンスが見られる日を、私は心待ちにしている。

 

 守ること、調和していくこと、そして変わらないことの難しさを、海はこれからも私に一生教え続けてくれるだろう。

 

 

 

 

Letter from the President とは?

ザ・レイク・ジャパン代表取締役の大城が出合ってきたもののなかで、特に彼自身の心を大きく動かしたコト・モノを紹介する。