VITALE BARBERIS CANOCICO

ヴィターレ・バルベリス・カノニコが今春オススメする
3つの最旬ファブリック

April 2022

photography jun udagawa
styling akihiro shikata

VBC 最旬ファブリック02:
“VINTAGE” Wool & Linen
後染めの濃淡が美しいウール&リネン

(左)TIE YOUR TIEタイ・ユア・タイの創始者であるフランコ・ミヌッチ氏のファンは今なお多いが、こちらはそのミヌッチ氏が太鼓判を押すモデル。肩幅を広くとって緩やかなカーブを描いたショルダーライン、副資材を極力省いたことによるとても柔らかな肩回り。前身頃のフロントダーツが省略され、細腹がなくすっきり見えるフィレンツェの仕立てを踏襲している。裾のラウンドカットもフィレンツェ的だ。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。¥231,000〜(オーダー価格)Tie Your Tie、シャツ¥97,900 Antica Camiceria Lombardi/both by Ⓐ タイ¥30,800 Seven Fold/ⒶⒷ

(右)RICHARD ANDERSON名門ハンツマンのヘッドカッターを経て独立したサヴィル・ロウのリチャード・アンダーソン氏は、独立してから20年が過ぎたが、その腕の素晴らしさから、非常に高い人気を誇っている。ピークトラペルの1Bスーツという、ある意味では非常に個性的なモデルも、アンダーソン氏にとっては最もスタンダードなモデルであり、この形を世に広めたのは彼といっても過言ではない。シャープで力強い肩からのグラマラスなラインが美しい。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥198,000〜(オーダー価格)Richard Anderson/ⒶⒷ ニットポロ property of stylist

 シーズンの素材を楽しむことはテーラード製品を着る醍醐味のひとつである。春夏ならそれはリネンであり、モヘアであり、コットンである。そこにヒネリを加えるなら、ウールリネンという選択も最高だ。何故なら、同素材はリネン特有の清涼感とウールが生むドレープ感を備え、リネン100%ほどの強いシワを生むことなく、それでいて表情は豊かで且つ程よいフォーマル感があるからだ。

 VBCの「ヴィンテージ」レンジは、アーカイブの生地をもとに、それを現代的に表現した生地コレクションとしてカテゴライズされており、こちらのヘリンボーン織りの「ウール&リネン」はまさにそれを地でいくようなスーツ・ジャケット用の後染め生地だ。ウールは濃く染まり、リネンは淡く染まるため、ベーシックなネイビーひとつにしても、濃淡が生み出す独特の奥行きがある色合いに仕上がっている。クラシックでありながら決してフツウではなく、VBCらしいスパイスがピリッととてもいい塩梅で効いていて、ある意味モダンですらある。

 先ほどの21マイクロン ウール&コットンもそうだが、VBCの生地の提案力は突出していて、我々を常に新鮮な気持ちへと導き、テーラードの世界への情熱を搔き立ててくれる。着込むほどにリネンの色がジワリジワリと褪せていき、これまたさらに味わい深い表情を見せてくれるだろう。服を育てる、オーダーの醍醐味を体感できる生地である。

お問い合わせ先
Ⓐ日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311(大代表)
Ⓑ伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111(大代表)

本記事は2022年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 44

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