THE SHUTTER SCENE by MILAD ABEDI

ストックホルムのフォトグラファー、ミラード・アベディの視点に学ぶ装い

October 2021

最近、メキメキと頭角を現しているフォトグラファーがストックホルムをベースに活躍するミラード・アベディ氏だ。
そう、このページでクローズアップしているように、自身も素晴らしいウェルドレッサーである。
コロナ禍になる以前は世界を舞台に活躍していたが、今、彼のシャッターで気になるのは、非常にホットなスウェーデンだ。

Milad Abedi / ミラード・アベディイラン生まれ、ストックホルム在住のフォトグラファー(3ページ参照)アンドレアス・ウェイノス氏はアベディ氏を「彼がもつ真のパーソナルスタイルは年々強くなっています。伝統的なルールに縛られず、彼はクラシックなメンズウェアに自分なりの解釈を見出しています」と評価。

THE SHUTTER SCENE 07
クラシックな英国柄の
ソフトツイードにデニムシャツ

Patrik Löf / パトリック・レーヴ1975年、ストックホルム生まれ。2012年、ジョン ロブやエンツォ ボナフェ、サン クリスピンなどを扱うメンズのプレミアムシューストア「Skoaktiebolaget」をオープン。2018年には同店の共同経営者であるダニエル・トォン氏とシューズブランド「Löf&Tung」も始動。

レーヴ氏はフィレンツェ在住の日本人サルト、宮平康太郎氏のサルトリア コルコスで長年仕立てている。こちらのアイリッシュソフトツイードもコルコスで仕立てたもの。温かみのあるブラウンに対してシモーネ アッバルキのデニムシャツの鮮やかなブルーが引き立っており、同じくサルトリア コルコスのグレイ無地トラウザーズを合わせて実にサラッと着こなしている。

 ストックホルムのSkoaktiebolaget(スコーアクティエボラージェット)は大きな盛り上がりを見せている北欧のクラシックシーンの核となっている店だ。同店のファウンダーであるパトリック・レーヴ氏はスウェーデンきってのウェルドレッサーであり、特に愛してやまないというツイードジャケットの装いは見事である。

 写真で着用しているジャケットはサルトリア コルコスで仕立てたもので、素材はソフトアイリッシュツイード。それにブルーデニムシャツを合わせてアーバンな方向へと振ることで、実にサラリと余裕のある雰囲気を生み出している。ツイードがもつ粗野な雰囲気は残しながらも程よい軽やかさとしなやかさを備えたソフトアイリッシュツイードは盲点になっている素材のひとつで、実はシティユースとの相性も大変いい。素材感が粗野なぶん自然な無造作感を生み出せるし、着るのに気を遣わなくていいぶん、カシミアジャケットよりもよりリラックス感がついてくる。時代にぴったりな素材としてオススメしたい。

THE SHUTTER SCENE 08
ミニマリズムの究極
研ぎ澄まされたStòffaの美しさを着る

Andreas Weinås / アンドレアス・ウェイノス1980年、ヨーテボリ生まれ。フリーのエディター&ライターとして『King Magazine』と『Perfect Guide』に携わるほか、クリエイティブ コンサルタントやモデルとして多くのブランドとキャンペーンを制作。ポッドキャスト「Gentlemanualen」の共同設立者。

氏のここ数シーズンのお気に入りワードローブがこちら。サンド~トープ系の優しい色使いと、洗練された素材使い。着用しているリネンジップブルゾンがストッファの定番「002」ジャケットだ。日本からもオンラインでオーダーできる(https://stoffa.co)ので、ぜひチェックしてほしい。ちなみにシャツはエイドス、サンドリネンのトラウザーズはロータ、スエードスニーカーはCPQ。

 最も著名なエディターであるスウェーデンのアンドレアス・ウェイノス氏はテーラードもカジュアルも一貫してシンプルで控えめなエレガンスを好む。コントラストを抑えて調和のとれた氏の色合わせは、そういった装いを好むスウェーデン人の中でもとりわけ洗練されている。

 そんな氏を虜にしているブランドが、ニューヨークにショールームを構えるStòffa(ストッファ)だ。上質な素材使いと研ぎ澄まされたカッティング、洗練されたトーンのパレットによるコレクションはただただ美しく、非常に高品質だ。

「2016年にデザイナー兼ディレクターのAgyeshに初めて会って以来、私はスタイルと哲学の両面でストッファのファンになりました。彼らの長期的な戦略と思慮深い服へのアプローチは、私の最大のインスピレーション源のひとつです」

 ミニマルな美しさを愛するスウェーデン人の、その最もエレガントなウェイノス氏までをも虜にするストッファの名を覚えておいて絶対に損はないはずだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 41

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