THE ELEGANCE OF SIMPLE THINGS

至高の生地と柔らかな色彩が生む
KITONのラグジュアリー

March 2022

仕立てはどこまでも美しく軽やかで、色彩は淡く、優しい。そして、至高の生地。
シンプルな装いで楽しみたい、キートンのエレガンス。
text yuko fujita
photography pak ok sun
styling akihiro shikata
grooming toyo(bello)

リネン42%、カシミア33%、ウール25%の三者混サマーツイードジャケット。サラッとして通気性がよく、大変ソフトなタッチの生地で、仕立てもこれ以上なく軽やかだ。ベージュを基調とした優しく柔らかな色彩、上質なニットによる、洗練されたエレガンス。
ジャケット¥715,000、カシミアシルクニット¥238,700、ホワイトデニム¥165,000 all by Kiton/Strasburgo Customer Center(ストラスブルゴ カスタマーセンター TEL.0120-383-563) 時計 property of stylist

 仕立ての聖地ナポリの熟練職人の手仕事と最高級のエクスクルーシブファブリックを用い、どこまでもソフトに、どこまでも軽やかに仕立てられたキートンの服は、優雅さという点において、ラグジュアリーブランドの中でも傑出している。

 ブランドの歴史は、1969年に故チーロ・パオーネが、偉大なるナポリのサルトリア文化を後世に残し、世界へ広めるべく、凄腕の仕立て職人たちを集め、手縫いの既製服を作るところから始まった。

柔らかな色彩、
極上のタッチと仕立て
ウール42%、シルク22%、リネン17%、カシミア16%、ナイロン3%による5者混素材は優雅さを極めた極上のタッチ。ナポリのラグジュアリーブランドならではの美しいブルーのトーンが格別のエレガンスを生み出し、軽やかな仕立ては極上素材のニットと見事にマッチ。
ジャケット¥715,000、シルクカシミアリネンニット¥215,600、パンツ¥126,500 all by Kiton/Strasburgo Customer Center(ストラスブルゴ カスタマーセンター TEL.0120-383-563)

 工場制手工業ともいうべきテーラード製品の生産ラインを構築したことは、キートンの輝かしい功績だ。ナポリ郊外アルツァーノの本社にある工場は、今日、広大なひとつの空間に約350名のサルトを擁するまでに成長を遂げている。

 ここでは一番手前の裁断から始まって作業の進捗とともに奥へと進んでいくのだが、驚くべきはそれぞれのパートごとに10名前後のチームが組まれ、そのほとんどが職人の手で仕立てられている点だ。キートンのエレガンスの根底には常にナポリの職人の卓越した手仕事があり、そこに他ブランドとの決定的な違いがある。それは、他のブランドがどれだけこだわった服を作ろうとしても、決して到達し得ないレベルの仕立てである。

 それをさらなる高みへと導くのが、どこまでもラグジュアリーなファブリックだ。スーパー200’sを超えるスーパーファインメリノウール、カシミア、ヴィキューナ等を贅沢に使用した非常にソフトな最高級の生地は、そのほとんどがエクスクルーシブ。イタリアでもトップクラスの生地メーカーを傘下に置いているキートンだからこそ成し得る業である。

絶妙なトーンのリネンで
表現したエレガンス
限りなく白に近いライトグレイのアイリッシュリネンジャケットは、その絶妙な淡いトーンの加減が、キートンならではだ。同じく本社の工房内で仕立てられるシャツもまた上質で、キートンにはサラリとシンプルな装いで、十二分にエレガンスを生み出せるだけの
パワーがある。
ジャケット¥495,000、シャツ¥71,500、デニムパンツ¥187,000、クロコダイルベルト¥242,000 all by Kiton/Strasburgo Customer Center(ストラスブルゴ カスタマーセンター TEL.0120-383-563) 時計 property of stylist

 さて、そんなキートンの2022年春夏のコレクションを眺めると、ジャケットに関しては副資材がほとんど使われておらず、その着心地は、ジャケットを着ているというよりはシャツを羽織っているような抜群の軽やかさである。極上素材のニットやTシャツの上から着てもそれだけでブランドの優雅な世界観が伝わってくるほか、仕立ての美しさと極上の素材が生む柔らかな雰囲気と軽やかさが、袖を通した者を虜にする。

 これぞ、世界の超一流を知る男たちを魅了してやまないナポリのラグジュアリーブランド、キートンの底力だ。

本記事は2022年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 45

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