March 2022

DORMEUIL 180th ANNIVERSARY FABRICS

名門ドーメルの180周年記念ファブリック
出色のPALME D’OR

ドーメルの創業180周年を記念して誕生した限定ファブリック「パルムドール」が凄まじくいい。
次に仕立てる生地は、100%の自信をもってこれをオススメしたい。
text yuko fujita
still photography jun udagawa
interview photography natsuko okada
styling akihiro shikata

“パルムドール”とは何か

スーパー160’s 4プライ×
スーパー180’s 4プライの極上ファブリック
「15.7」に使用されているスーパー160’sの原毛を4プライにした経糸と、ドーメルの最高級ウール生地として君臨している「アンバサダー」に使用されているスーパー180‘sの原毛を4プライにした緯糸を織り上げた(アンバサダーは経糸・緯糸とも2プライ)、180周年記念の限定スペシャルファブリック。チャコールグレイとネイビーの2色展開で、240g/m。大変しなやかかつコシがあり、上質な糸が生む自然な艶があり、THE RAKEが猛烈に推したい素晴らしい生地である。

山浦勇樹氏(左) 日本橋三越本店1983年生まれ。2006年に伊勢丹入社。イセタンメンズのクロージング部門を統括したのち、2021年より日本橋三越本店本館2階 オーダーサロンのバイヤー兼店長に。氏の手腕により同サロンはオーダーの聖地に育ちつつある。「パルムドール」の仕かけ人でもある。

鈴木貴博氏(右)ドーメル・ジャポン1972年生まれ。生地畑一筋で22年。2005年にドーメル・ジャポンが設立された際の立ち上げメンバーであり、業界内ではドーメルマンの異名を誇る。生地に関しては糸の組成からフィニッシングに至るまでを熟知している。2021年1月、取締役社長に就任。

THE RAKE あれ、鈴木さんが今日着てらっしゃるジャケットは、ビッグボスが日本ハムの監督就任記者会見で着ていたスーツと同じ生地ですよね?

鈴木 そうなんです。実はビッグボスがあの会見で着ていたスーツはドーメルの生地で仕立てられたものでして、シャレで同じ生地で仕立ててみました(笑)。あの会見以来、この生地への問い合わせが殺到しているのですが、「アマデウス アクション ジャケッティング」という生地バンチに入っておりますので、三越伊勢丹さんでも仕立てられます。

THE RAKE おお! では本題に(笑)。2018年に「15.7 4プライ」を発表したあたりから、ドーメルへの興味が新しいかたちで俄然増しているのですが、今回はその延長から生まれた新作生地「パルムドール」についてお話を伺いたく思います。衝撃的に素晴らしい生地ですね!

鈴木 三越伊勢丹さんとのスペシャル企画でスーパー160’sに相当する「15.7 4プライ(120番手×4本)」を開発したのを機に、同じ糸の6プライ、8プライも企画し、2021年の春夏は15.7にキッドモヘアを組み合わせた「15.7 4プライ ブリオ」という生地を作ったのですが、どれも大変ご好評をいただきました。今回は創業180周年ということで、ドーメルのラグジュアリーのトップクオリティ生地として長年君臨している「アンバサダー」に使用されているスーパー180’sと同じ原毛を使用し、通常の2プライではなく贅沢4プライ(140番手×4本)にして緯糸に用い、経糸に「15.7 4プライ」を用いて作ったんです。それが「パルムドール」です。

山浦 「15.7 4プライ」を触っていただいたお客様から「いい素材だね」と直感で言っていただけているのがとても嬉しくて、今回もそんな生地を作りたいというのがありました。どんなに目の肥えたお客様であっても触った瞬間に素晴らしい生地だとわかっていただけて、さらに驚いてもらえる、そのくらいインパクトを残せることが大切だと思ったんです。

THE RAKE ここ1、2年、テーラーさんと話すと、皆さん15.7の4プライを絶賛されていて、新しいドーメルの流れができたように思うんです。全体で見てもお客様の嗜好も変化して柔らかい生地を好まれるようになってきた感じがします。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 45
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