SARTORIA YAMACCI “Unconstructed Jacket”

THE BESPOKE MASTERPIECE 006:
サルトリア ヤマッチの芯なしジャケット

June 2022

襟以外は芯地ゼロ。
なのに、この立体感

サルトリア ヤマッチでは通常の芯地入りジャケットよりも多くのオーダーが入っているという芯なしジャケット。軽快さを追求して裏地も省いているため、縫い代なども綺麗に見えるよう手間をかけて処理している。ナポリの伝統にならった1つボタンの袖口も印象的だ。納期は約4カ月〜。¥418,000〜

 ここまで芯地を省いたビスポークジャケットというのは本当に珍しい。芯を入れているのは上襟とラペル部分のみ。つまり身頃部分は完全な芯なしというわけである。それでいて、見た目はまぎれもなくサルトリア仕立てのジャケットなのだから驚きだ。

「各所の肉づきや姿勢などを見極めて、そこにぴったり沿うように型紙を組めば、実は身頃に芯地を使わなくてもサルトリアのフォルムを作れるのです。特に重要なのは肩回りで、ここが決まれば、あとは生地自体の張力を生かして立体感を生み出すことができます」と小山氏は秘訣を明かすが、その実現には卓越したメジャーリング能力とパターンメイキング力が不可欠である。

 もちろん作風も非常に魅力的。筋金入りのナポリ仕立てファンとして業界でも有名な小山氏の服からは、濃厚なナポリテイストが香り立つ。この土着的な仕立てに強く惹かれる人は多いはずだ。ぜひ今後も、ぶれないスタイルを貫いてほしいものである。

マニカ・カミーチャに雨降らし袖という、ナポリの土着的魅力を強く打ち出した作風。精密になりすぎて味わいを損なわないよう、パニコやフェリーチェ ヴィゾーネの服を定期的に見返しながら大味さをキープするよう努めているという。

この生地もおすすめ

ドラッパーズのツイード「BRIT POP!」と名づけられたツイードコレクションより。英国製の生地だが、華やかな色みにイタリアブランドらしさが薫る。330g/m。

Takeshi Koyama / 小山 毅1970年生まれ。アントニオ パニコやルビナッチの日本直営店などを経て、独学でサルトの技を身につける。2010年にサルトリア ヤマッチを創立。近年では新たな試みとしてカジュアルウェアのビスポークも手がけている。

サルトリア ヤマッチ東京都港区南青山6-12-11 YUKEN南青山301
TEL.03-6427-6196
営業時間 11:00〜20:00 ※完全アポイント制
不定休
Instagram @sartoria_yamacci

本記事は2022年1月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 44

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