TAILOR CAID “Sack Suit”

THE BESPOKE MASTERPIECE 005:
テーラーケイドのⅠ型スーツ

June 2022

100年たっても古びない
オーセンティックの輝き

アメリカン・トラディショナルをベースとしつつも、仕立て方は純然たるケイド・オリジナル。ボタンのスタンスやラペルの返り位置といった細部の設計にも山本氏が長年の経験で導き出した“黄金比”が存在し、“この体型ならボタンスタンスは何㎝”といった具合で学術的に求めているそう。納期は約2カ月〜。価格は要問い合わせ。

「ケーリー・グラントをはじめとする、歴代のウェルドレッサーたちの装いを見てください。何十年も前なのに、全然古く感じないでしょう? 本物のオーソドックスは時代を超越するのです。I型スーツには100年間、メンズウェアの世界を生き残ってきた歴史があります。いわば、リーバイスの501やブルックス ブラザーズのBDシャツと同じなのです」

 誰もが思わず聞き入ってしまうトークの内容と同様、山本氏が仕立てる服には唯一無二のロマンがある。その象徴といえるI型スーツは、往年の映画や古い書籍を丹念に読み解き、何度もブラッシュアップを重ねて完成度を高めてきた大傑作だ。

「平凡なものを、丁寧に作る。これが私の流儀なのです。そして、服に漂う“リズム”も大切にしています。見ているうちに高揚を感じる一着。それは服の背景にカルチャーがないと生み出せません。この服に、最後の味付けをするのはお客様自身です。100年の歴史をもつ定番スーツを着込んで経年変化させて、ご自身だけのマスターピースとしてください」

トラウザーズには共生地によるベルトを付けるのがケイド・スタイル。フランク・シナトラからインスピレーションを得たものだそうで、往年の映画や俳優に深く通じる山本氏ならではのアイデアだ。

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モロイ&サンズのツイードソルト&ペッパーとよばれる、白黒モノトーンのホームスパンも山本氏のお気に入り。カラーネップが入らないものは意外と珍しいのだそう。390g/m

Yuhei Yamamoto / 山本祐平2002年にテーラーケイドを設立。確固たるハウススタイルと自身のカリスマ性で不動の人気を誇るテーラー。アーモリーのニューヨーク店でもトランクショーを行い、本場ニューヨーカーたちも熱狂させている。

テーラーケイド東京都渋谷区宇田川町42-15 中島ビル2F
TEL.03-6685-1101
営業時間 11:00〜20:00(日曜・祝日〜18:00) ※完全アポイント制
木曜、第2・4日曜定休

THE RAKE JAPAN EDITION issue 44

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