SARTORIA RAFFANIELLO
新世代サルトの雄・サルトリア ラファニエロの既製ラインが常識破りのクオリティ!
April 2022
既成概念を打ち破るほどの完成度だ。
photography jun udagawa
styling akihiro shikata
デニム調の表情が
モダンなダブルニュージーランドメリノを原料とするロロ・ピアーナの名作シリーズ「ジランダー」で仕立てた一着。デニムのような味わいのある色みに加えて独特のシャリ感も備え、非常に美しい仕立て上がりを見せる。都会的でありながら温かみも感じさせるスーツだ。
スーツ ¥165,000 Raffaniello
シャツ¥39,600、タイ¥26,400 both by Ring Jacket Napoli
Noriyuki Higashi / 東 徳行1979年生まれ。芸術大学卒業後、リングヂャケットに7年勤務。その後ナポリのアントニオ・パスカリエッロに師事し、帰国後「サルト ドメニカ」としてスーツ作りを始める。2017年、師匠から授かった「ラファニエロ」の名で独立開業。大阪を拠点としつつ、東京にもサロンを構え、定期的にオーダー会を開催している。
10万円台のスーツを見て、これほど“欲しい!”と思ったのは久々だ。大阪の新世代テーラーを代表する存在として大人気を博すサルトリア ラファニエロの作風が、この価格帯としては信じられないほど見事に再現されている。
低めのゴージにやや広めのラペル、しっかりノボった上襟からなだらかに落ちるショルダーライン。緩やかな曲線を連続させ、柔らかな立体美を印象づけるカッティング。そういったナポリ仕立ての魅力を備えつつ、都会的なクリーンさも併せ持つ佇まい。パスカリエッロから学んだナポリ仕立てを独自の美意識でソフィスティケートさせた、ミニマルでいて味わい深い仕立てである。
毛芯から作り込んだ本格RTW既製ラファニエロの秘密は、ビスポークテーラーならではのパターンメイキングと芯地使いにある。型紙はもちろん東氏が手がけたものだが、特筆すべきは芯地もオリジナルのものを使用している点。これにより、東氏がビスポークでこだわる胸の立体的な丸みを表現できるのだ。そのうえで、芯据えなど見えない部分をファクトリーで丹念に作り込み、稀に見るクオリティの高さを実現している。
ハンドメイドによるビスポークとは違い、こちらはファクトリー製。テーラリング業界の誰もが知る日本最高峰の工場だが、ここまでのサルトリアルムードを表現できるのは東氏自身の手腕によるところも大きい。というのも氏は、同世代の日本人テーラーとしては異例なほど長い既製服現場での修業歴をもつ。
「ナポリに渡る前はリングヂャケットに7年在籍していましたから、ファクトリーができること・できないことの区別はよく理解できているつもりです。一方で仕立て服のキャリアもそれなりに重ねてきて、今なら双方の経験値を生かして私が理想とする既製服を作れるのではと思うに至りました」と東氏は話す。
既製服作りはデザイナーやパタンナーの意図を理解し、製作現場を監督してそれを体現するモデリストの仕事が最重要といわれる。ラファニエロの場合は東氏が最高のデザイナー・パタンナー・モデリストとして機能するため、理想的な完成度を実現できるのだ。普段仕立て服を愛好する人にこそ着てほしい一着である。
左:スーツだけでなくジャケットもバリエーション豊かにラインナップ。こちらはコットンリネンで仕立てた一着で、なんと製品洗いをかけて表情を出している。ビスポークテーラーのアプローチとしては非常に斬新だ。¥93,500 Raffaniello
右:大のロロ・ピアーナ好きである東氏のコレクションだけあり、同社の生地を採用したアイテムも多数揃う。こちらはウール・シルク・リネン三者混の「サマータイム」。鮮やかなブルーに美しい光沢が華を添える。¥110,000 Raffaniello
ラファニエロの既製コレクションは同社のオンラインショップにて購入可能。ここで紹介したアイテムのほかにも、個性豊かな春夏新作が多数並ぶ。ぜひチェックを。
サルトリア ラファニエロTEL.06-4256-4210
Emil:info@raffaniello-jp.com
本記事は2022年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 45