ヌンツィオ氏の優雅なティータイム

Nunzio Alfredo D’Angieri ／ ヌンツィオ・アルフレッド・ダンジェリ伊ピエモンテ生まれ。銀行家のファミリーに育ちアメリカで学生時代を過ごす。弁護士、銀行家、石油業、投資家、実業家などさまざまな顔を持つ。元ベリーズイタリア大使。現ベリーズ欧州問題担当相。車、時計、靴、ハーレーなどの収集家、かつ洒落者としても知られる。

　チャールズ皇太子とポロに興じ、ソフィア・コッポラの映画には俳優として出演。時計2000本、靴2000足、ネクタイ3000本からガラクタのようなおもちゃに至るまでさまざまなものをコレクション。伊語、英語、仏語、アラブ語、ポルトガル語の5カ国語を流暢に操り、ウィークデイはベリーズ、ロンドン、パリ、そして週末は伊ピエモンテ州の自宅へと飛び回る。ヌンツィオ・アルフレッド・ダンジェリ氏のアクティビティの一部を羅列するとこんな感じだ。この謎のジェントルマンの正体はベリーズの元伊大使、同国の現欧州担当相。銀行家、投資家でもあり、『フォーブス』誌の世界の資産家トップ600の一人にも選ばれた人物だ。

「私は何にでも自分のこだわりがあります。時計のベルトは基本的に白のみ（贈られたものはそれに限りませんが）。シャツは基本的にクレリックシャツのみで、作ったシャツには年号を入れますが、作った年には着ません。靴は、新品は履かずに人に1年くらい履かせてから使います。香水は自分の調香師が作ってくれたもの、シャンペンはとあるメーカーで自分のオリジナルを造っています。あ、それから私はイタリア人ですが、コーヒーは飲まず、飲むのは紅茶。これもこだわりです（笑）」

　身に着けるものがすべてス・ミズーラで、コレクションしているロールス・ロイスのうち、お気に入りのシルバー・レイスは内装をエルメス仕様にしたり、時計はカルティエに一点モノのモデルを作ってもらったり。好きなものは決まっていて、例えばクルマはベントレーかロールスのみ、靴はジョン ロブかエドワード・グリーンのみ、という具合だ。

「私は古いモノが大好きだし、自分の好きなものを捨てるのが忍びなくてこんな膨大なコレクションになってしまったのです」

真の好きなものに囲まれる生活というのは、この上ない贅沢だ。それがみな上質のモノならなおさらのこと。

手に持っているのはお気に入りのカルティエの一点モノ。友人アニェッリが作ったパテックのモデルを真似て作ってもらったこの時計は、後にカルティエ社自身が買い取りたいと言ってきたが断ったそう。

ロールス・ロイスは左から2012年製ファントム、1959年製シルバー・クラウド、1957年製シルバー・レイス。他に1969年製シルバーシャドウ・ドロップヘッドなども。ベントレーも23台所有。

靴のコレクションは2000足。エドワード・グリーンとジョン ロブしか履かないとか。同じモデルが色や素材違いでずらりと並んでいる。

時計のコレクションは約2000本。サダム・フセインやベルルスコーニからの贈り物も。白いベルトへのこだわりはクレリックシャツの襟の色にあわせているのだそうだ。

このロールス・ロイス・シルバー・レイスはスウェーデン前女王が使用していたもの。内装は革張りから調度品まですべてエルメス仕様。

右は長男テアヴァ、左は次男ステファン。自慢の息子たちがヌンツィオ氏の事業を継いでいる。