IL QUADRIFOGLIO
イタリア的自由な創造力をもつ男
February 2015
きっぷのいい男だ。話していて大変心地いいし、お客さんに好感をもたれる好青年である。いい意味で職人然としていない彼のオープンな雰囲気は、お堅い職人のイメージを見事に裏切ってくれる。
久内氏もまた、鈴木幸次氏と同じフィレンツェのロベルト・ウゴリーニのもとで4年間修業を積んだ。2011年に帰国し、神戸に友人たちと共同で構えた(正確にはイタリアに行く前に構えた)工房で、翌年からビスポーク1本で勝負している。
イタリアの血が流れている男の共通点なのか、24時間いつでもどこでもすべてが楽しそうだ。自慢は美人の奥様と、愛車のドゥカティ。ツーリングで仕事モードをリセットすると、さまざまなアイデアが湧いてくるという。
そんな氏の靴だが、上の写真を見てのとおり、発想までもがイキイキとしている。グラマラスなフォルムを、イタリアで買い付けてきたユニークな革が彩る。音楽教師である母親のバッハの楽譜をレーザーで刻印した革、なんてのもある。
肝心の腕のほうは、「1年を振り返るたびに腕が上がっているのが、嬉しくて仕方がない」と自身で分析するように、猛烈な勢いで実力をメキメキとつけている。そんな成長著しい彼と、腰を据えて今から付き合っていくのも粋な楽しみ方だ。やはりビスポークは作り手に共感し、好きな人の靴を履いているほうが楽しいし、満足感だって高くなるわけだから。
本記事は2015年1月24日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 02
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