270 YEARS OF THE QUEST
ヴァシュロン・コンスタンタンはなぜ時計製造を270年も続けられているのか?
January 2025
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レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーションヴァシュロン・コンスタンタンには、世界の王侯貴族たちからのオーダーを受け、手作業でビスポークのタイムピースを作ってきた歴史がある。この文化を継承する「キャビノティエ」部門によって2024年に発表された“世界で最も複雑な時計”がこちら。メゾン260周年である2015年に発表されたRef.57260(開発に8年)の完成間近に、オーダー主であるアメリカ人時計愛好家、W.R. バークレー氏から“次への挑戦”として注文されたもので、11年もの歳月をかけて開発された。自社製ムーブメントCal.3752により、チャイミング機構やトゥールビヨン、そして世界初の中国暦パーペチュアルカレンダーなどを含めた63もの複雑機能を搭載する。Ref.57260と合わせると、同じ3人の時計師が20年近くもの年月、顧客の要望に対し最善を尽くしてきたことになる。手巻き、18KWGケース、直径98mm×厚さ50.55mm。ユニークピース。Vacheron Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755)
“キャビノティエ”と呼ばれる熟練時計師が活躍していた18世紀のジュネーブ。ジャン=マルク・ヴァシュロンもそのひとりで、1755年にジュネーブに開いた工房からメゾンの歴史が始まった。
3代目ジャック= バルテルミー・ヴァシュロンが、ビジネスパートナーとしてフランソワ・コンスタンタンを招き入れ、1819年にヴァシュロン&コンスタンタン社がスタート。フランソワ・コンスタンタンの「できる限り最善を尽くす、そう試みることは少なくとも可能である」というメッセージは、今日のメゾンのモットーである。
この「最善を尽くす」という理念を最も端的に表現しているのが、オーダーメイドウォッチ部門として2006年に開設された「アトリエ・キャビノティエ」と、そこで生まれた世界で最も複雑な時計「レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション」だ。
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これだけ複雑な時計でありながら、ジュネーブの伝統的な時計技術を継承していることを証明する公的認証「ジュネーブ・シール」も取得しており、微細なパーツもすべて手作業で最終仕上げを施している。時計製造の限界を超える挑戦から生まれたこの時計は、ヴァシュロン・コンスタンタンの探求心を証明するものだ。
この時計は3人の熟練時計師が11年もの歳月をかけて製作し、63の複雑機構を搭載。2877個のパーツで構成されるCal.3752を組み立てるだけでも12カ月以上もの時間を費やしたという。
なぜヴァシュロン・コンスタンタンは、時計製造における前人未踏の領域に挑み続けるのか? それはジュネーブの時計製造文化の継承者としての誇りと責任、そして何より、時計技術に対する果てなき探求心があるからだ。「できる限り最善を尽くす」という信念がある限り、彼らの歩みはこれからも止まることはない。
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高精度ムーンフェイズ表示の下の小窓には、干支の絵柄が表示される。
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世界初の中国暦パーペチュアルカレンダー。真太陽時と太陽暦(農業用)、太陰暦(民事用)を組み合わせた複雑機構だ。
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球体アーミラリ・トゥールビヨンを搭載。
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グレゴリオ暦パーペチュアルカレンダーも搭載されている。
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Cal.3752は、クロノグラフや天文表示、チャイミング機構など、それぞれに役割を分けた6つのプレートによって構成されている。その複雑な構造は、まさに機械式時計の究極形といえる。