from Shanghai to Tokyo at The Peninsula Tokyo
ザ・ペニンシュラ東京で開催中。上海との美食コラボ『from Shanghai to Tokyo』へ
Saturday, June 7th, 2025
いま、ザ・ペニンシュラ東京の中国料理「ヘイフンテラス」では、ザ・ペニンシュラ上海のミシュラン一つ星レストラン「イーロンコート」の味を期間限定で楽しめます。両シェフの技と感性が融合したこのコースは、まさにここでしか体験できない一皿の連続でした。さっそく、その魅力をレポートします。
ザ・ペニンシュラ東京の中国料理「ヘイフンテラス」の料理長小室雄亮(こむろゆうすけ)氏(左)と、ザ・ペニンシュラ上海の中国料理「イーロンコート」の料理長ジャッキー・ジャン氏(右)。
世界12都市に展開するラグジュアリーホテル、ザ・ペニンシュラホテルズ。なかでも東京では、日本にいながら各地のホテルの魅力を味わえるよう、さまざまなイベントが開催されています。
今回ご紹介する中国料理「ヘイフンテラス」の特別コースもそのひとつ。5月12日からスタートし、6月30日までの期間限定で提供中です。中国料理ファンはもちろん、美食を愛する方にもぜひ体験していただきたい内容でした。
今回のコラボレーションでは、ザ・ペニンシュラ東京の中国料理「ヘイフンテラス」の料理長小室雄亮(こむろゆうすけ)氏と、ザ・ペニンシュラ上海の中国料理「イーロンコート」の料理長ジャッキー・ジャン氏がタッグを組み、お互いの自慢の料理を盛り込んだランチコースとディナーコースを誕生させました。
アラカルトも用意されていますが、ふたりのシェフが緻密に順番と味わいを設計したコース料理こそ、今回のコラボレーションの真髄です。実際に体験したディナーコースの中から、いくつか料理をご紹介したいと思います。
まずは、ジャン氏のシグニチャー「杭州青花椒のグリルと皮蛋(ピータン)」。開催前はアラカルトのみの提供予定でしたが、そのおいしさに感動したスタッフの強い希望によりコースのアミューズに加わったという一品です。ピータンと香ばしい青花椒を煮こごり風のゼリーで寄せ、ピリリとした青唐辛子を添えることで、濃厚な黄身の甘さと絶妙なバランスを生み出しています。ピータンが苦手な方でも楽しめる味わいでした。
「杭州青花椒のグリルと皮蛋(ピータン)」(アラカルト)。コース料理では、1ピースがアミューズとして提供される。
続いて登場するジャン氏による前菜3種の盛り合わせは、このイベントのためだけに考案されたものです。
まず左は、たけのこを模した「キノコの湯葉包み焼き」。マッシュルームと豆苗を湯葉で巻き、生胡桃を“土”に見立てて周りに敷いた、春に芽吹くキノコを表した見た目も楽しい一皿でした。中央は、アボカドとカニを春巻きの皮で包み、香ばしい胡桃をまとわせた「蟹肉とアボカドの冷菜 シュレンキキャビアのせ」。上にトッピングされたキャビアの塩気がアボカドのクリーミーさと絶妙にマッチしており、皮のパリッとした食感も印象的でした。右は、山形産A5ランクのリブロースを使ったチャーシュー。広東料理では豚肉が定番ですが、日本ならではの上質な牛肉を生かすべく、あえて牛を選んだとのこと。とろけるような脂とやわらかな肉質が記憶に残る一品でした。
そして、パパイヤを器にしたスープ。こちらは、小室氏のシグニチャーディッシュの一品です。具材には豚スペアリブ、クコの実、乾燥つぶ貝を使用。紹興酒や金華ハムとともに約3時間蒸したスープをいったん濾し、仕上げに具材と共にパパイヤの器で再度蒸し上げるという、手間ひまかけたひと皿です。砂糖も塩も加えず、素材の旨みと甘みだけで構成されたスープは、心がほどけるような澄んだ味わいでした。パパイヤの身をスプーンで削りながらいただくことで、自然な甘みをプラスできる、楽しさもある一皿でした。
豚バラ肉の醤油煮込みは、運ばれてきた時からそのぷるぷるで柔らかで美しいビジュアルに感嘆の声が上がるでしょう。こちらはジャン氏が手がけた料理で、3種のネギを煮込んだ香味油にネギ生姜出汁と紹興酒を合わせ、じっくり24時間かけて仕上げた逸品。通常は白米と合わせるところを、今回は揚げ米とともに軽やかにいただくスタイルでした。柔らかなお肉と、お米のサクサク感の絶妙な食感はもちろん、そしてその旨みが詰まったソースを余すことなく楽しめる工夫に、料理人の心意気を感じずにはいられませんでした。
小室氏が手がけた「国産伊勢海老の駿河湾産桜海老ソース煮込み伊府麺」は、桜エビの濃厚な旨味が主役。伊勢海老を贅沢にあしらい、ミキサーにかけた干しエビや桜エビを合わせたチキンスープで煮込まれた麺は、香りも味も豊かで、箸が止まりませんでした。ちなみに、XO醬は、駿河湾産の生の桜エビと干しエビ、金華ハムを合わせた特製のもの。その芸術的なこだわりにも感動してしまいます。
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デザートは2種類。杏仁とミルク、生クリームを合わせ、桜パウダーでピンクに仕上げたソースをかけた小室氏の「杏仁豆腐」は、優しい味わいでした。燕の巣のトッピングも贅沢感を添えてくれます。そしてジャン氏によるデザートは、伝統的な広東菓子「塩漬け卵黄入りパイ」。キャンディのような遊び心あるプレゼンテーションが可愛らしいですよね。しっとりしていて、心地よい甘味でした。
両シェフは、試作を重ね、味のバランスやコースの流れを丁寧に調整したそうです。ジャン氏は「日本らしさを散りばめたかった。日本の湯葉は中国のものより味わいがしっかりしていて調整が難しかったけれど、それが面白かった」と語っていました。
この記事を書きながら、またお腹が空いてきてしまいました。誰かが心を込めて作ってくれた料理を味わうことほど、贅沢な体験はないのではないでしょうか。この特別なコラボレーションを楽しめる今この瞬間を、どうぞお見逃しなく。
ザ・ペニンシュラ東京2階 中国料理「ヘイフンテラス」
TEL. 03-6270-2888
www.peninsula.com/ja/tokyo/hotel-fine-dining/hei-fung-terrace-chinese-restaurant
筆者 トッキー(時田幸奈)/ Yukina Tokida
THE RAKE日本版のシニアエディター兼ウェブディレクター。

















