ビームスのインスタ・フォロワー数第1位
西口修平さん
Friday, August 10th, 2018
西口修平さん
BEAMS F ディレクター
text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa
ビームスFのディレクター、西口修平さんのご登場です。バイイング、商品構成、そしてオリジナルの企画と、Fのすべてを司っているのが西口さんです。
原宿のビームス Fといえば、栗野宏文さんや中村達也さんなど、今や大御所となった面々が、かつて店長を務めていた名店です。オープンしたのは1978年、今年で開店40周年を迎えました。
かく言う私もFには学生時代から通っており、特別な思い入れがあります。昔は、本格的なクラシックが揃っている店って、あまりなかったのです。恐る恐る洋服を見ていたら、栗野さんに話しかけられたときは緊張したなぁ・・
今でも何か“困ったこと”があると、駆け込むのは決まってここです。
自分の結婚式のときには、Fのディレクターズ・スーツを着ましたし、先日もバリ島での友人の挙式のために、頭からつま先まで一式揃えました。昔から通っている店って、何か安心するのですよ。
「50〜60代の、昔からのファンの方々も来店されます。その中で、若い人も取り込んで行かなければなりません。そのサジ加減が難しい」
リネンのスーツは、デ・ペトリロ。
シャンブレーのシャツは自社のオーダー品。
ネクタイは、ヴィンテージのラルフ・ローレン。
「ヴィンテージが好きで、裏原や高円寺の古着屋にもよく足を運びます」
チーフは、ミラノのエラル55にて。
時計はやはりヴィンテージのグリュエン。1940年代のものです。
バングルは、ナバホ族が作ったものと、サハラのトゥアレグ族が拵えたもの。
「トゥアレグ族は、決して金色のアクセサリーを作らないのです。しかしゴールドのトゥアレグ・ジュエリーを作りたくて、金メッキを施してみました」
発売前の新製品を試すのも、ディレクターの仕事です。
指輪は昔のカレッジ・リングとヴィクトリアン・リング。
メガネはヴィンテージのアメリカン・オプティカル。
シューズは、デッドストックだった英国のグレンソン。
「私のスタイルは、ブリティッシュ・アメリカンといったもの。ラルフ・ローレンやブルックス・ブラザーズなどのアメリカ東海岸のスタイルが基本です。それに英国やイタリアなどの要素をいかにミックスして行くかがテーマです」
西口さんは、インスタグラムの達人でもあります。2018年7月現在、7.6万人のフォロワーがいて、これはビームススタッフのなかで一番の数字だそう。フォロワーを増やすコツは何ですか? と聞くと、
「見る人が何に興味を持っているかを考えて、フィードを乱さないことでしょうか?」と。
確かに彼の投稿する写真は、自らの着こなしのみで、統一感があります。アイデアに富んだコーディネイトの数々は、見ていて実に参考になる。私もインスタをやっていますが、フィード乱れまくりですからねぇ・・
「フォロワーの半数以上が外国人です。韓国、アメリカ、イタリア、台湾などなど。よく海外でも声をかけられますね。先日ミラノのブライアン&バリー(トレンドセッターの巨大セレクトショップ)でも、スタッフに『シューヘイ! お前をフォローしているぞ!』と言われました(笑)」
さて西口さんには、もうひとつ達人の肩書きがあります。それは意外なことに、“虫取り”です。
「小さい頃から、生き物が大好きでした。カブトムシやクワガタはもちろん、魚やカエル、ヘビなども大丈夫です。今でも8歳になる娘を連れて、よく虫取りに出かけます。代々木公園あたりにも、カブトムシは絶対にいますよ。まずは甘い匂いのする木を探すのです。そして捕まえるときは、絶対に引っ張ってはいけません。カブトのツメ先は鍵型になっているので、腕がもげてしまう。そっと掌の上に乗るのを待つのです・・」
虫の話になると、止まらなくなります。
「トノサマバッタをよく見たことがありますか? そのカラーリングは本当にカッコいい。グリーンとブラウンのグラデーションで、膝下だけがレッド。これは人間のファッションにも取り入れられます・・」
本当ですか?
「自然の配色がいいということです。今日の私のコーディネイトも、茶色と緑でしょう。自然の色を着ると、自然に見えるものです」
なるほど、そう言われると、その通りのような気がします。
「虫取りには、ボルサリーノを被って出かけることもあります」
どのような場所でもお洒落を欠かさないというスタンスが、世界中のフォロワーの心を掴むのでしょう。
今度虫取りに連れて行って下さいね!