Two Visions of the Future at LEXUS
LEXUSが示す、ふたつのクルマの未来
October 2025
「感じる未来」と「操る未来」。LEXUSは、新型ESとRZを通じて、クルマの新しい可能性を提示した。ラグジュアリーエクスペリエンスとドライビングプレジャー、その両輪が次の時代をリードする。
text kentaro matsuo
過日、天王洲のウェアハウスにて『SENSES ― 五感で感じるLEXUS体験』と題したイベントが開催された。新型ESとRZの国内初披露を中心に、LEXUSが誇る先進テクノロジーを公開する場である。だが、それは単なる技術解説の域を超え、人とクルマの未来を想起させる、体験型のプレゼンテーションでもあった。LEXUSが描く“ふたつの未来”をここに紹介しよう。
1.五感で体験する「Sensory Concierge」
新型ESにて公開されたSensory Concierge(センサリー・コンシェルジュ)は、イルミネーション、マルチメディア映像、フレグランス、音響、シート制御などを統合し、乗る人の五感を刺激する新世代システムである。気分やシーンに応じて空間を最適化し、これまでにない上質な移動体験を提供する。モードは3種類用意され、目的や気分に合わせて選択が可能だ。
室内演出の中心となるのはライティングだ。最大50色ものカラーを備え、時間帯や心情に応じて変化する光は、まるで舞台照明のようにドライバーと乗員を包み込む。
さらに香りも重要な役割を担う。ダッシュボードにはカートリッジ式のディフューザーが組み込まれ、自動的に車内を芳香で満たすことができる。このために、夜明けを予感させるシトラスの「晨明(SHINMEI)」、深い森を思わせるスモーキーグリーンの「恵風(KEIFU)」など、5種類のオリジナルフレグランスが開発された。すべてに竹のエッセンスが取り入れられ、日本らしい自然観を香りで表現している。
これまでも車内用のフレグランスは存在していたが、クルマそのものが光と香りを組み合わせて演出するのは初の試みだ。LEXUSは自動車を単なる移動手段から、五感で味わう体験空間へと進化させようとしている。
2. BEVなのにMTの興奮「インタラクティブマニュアルドライブ」
新型RZのF SPORTに搭載予定の「インタラクティブマニュアルドライブ」は、次世代のドライビングフィールを提示する革新的な技術だ。BEVでありながら、まるでマニュアル車を操るかのような感覚を再現し、シフト操作の高揚感を音と映像で演出する。
アクセルを踏み込めば甲高いエグゾーストノートが車内を満たし、シフトアップでは音程が低く変化する。シフトダウン時には、ブリッピングの演出まで施され、まさに高性能エンジン車さながらの体験が味わえる。さらに専用のシフトガイドメーターがシフトポイントを視覚的に示し、ドライバーは直感的に車両の状態を把握しながら走りを楽しめる。実車ではサウンドだけでなく、トルク感の変化まで表現されるという。
またコックピットには、LEXUSが重視する「人とクルマの対話」を進化させるステアバイワイヤシステムを採用。未来的なステアリングホイールは左右約200°の範囲で操作可能で、大きく切り込む必要がなく、軽快かつ正確なハンドリングを実現する。
新型RZは、電動化時代におけるドライビングプレジャーを再定義する一台だ。BEVであっても「操る喜び」を追求するLEXUSの哲学が、このクルマには息づいている。
LEXUSが示すのは、五感を満たす体験と操る歓び。ふたつの未来は、これからのモビリティの可能性を鮮やかに描き出していた。













