THE SMALL LUXURY HOTEL, SOWAKA

八坂神社のほど近くに誕生した大人のためのモダンなホテル

May 2018

 新しいホテルが次々と誕生する京都に、まったく新しいモダンなホテル「そわか(SOWAKA)」が誕生した。ホテルが位置するのは、八坂神社南門のすぐ近く。全23室だけのスモールラグジュアリーホテルだ。

 

 「そわか(SOWAKA)」は、100年以上続いた数奇屋建築の元老舗料亭をリノベーションした本館と新たに併設された新館からなる。全客室が異なる間取りであり、ノスタルジックだけれども、どこか新しさを感じさせる空間が広がる。

 

 

暖簾をくぐると、石畳の道が玄関まで続く。しっとりとした静けさが異空間へと誘ってくれる。

 

 

ロビーエリア。畳張りの広々としたこの空間で、チェックイン&チェックアウトをする。

 

 

 

 特筆すべきは、すべての客室のどこかに、京都が誇る職人技や京都のモノが用いられているということ。襖や畳、庭や漆、ガラスなど、細部におけるこだわりには、目を見張るものがある。また希望すれば、それらを手がけた職人を紹介してくれるという、宿泊以上の体験もできるのだ。

 

 たとえば107号室の壁は「名栗」と呼ばれる京都の伝統技術が用いられたもの。その工程には手間がかけられており、一度木材を客室に運び入れサイズやバランスを確認したあと工場に持ち帰り、名栗専門の職人がひとつひとつ手斧で削ることでようやく完成する。

 

 同じく本館のスイートルームの柱の断面には、年輪を隠すための一工夫が施されており、同心円状ではなく平行の木目に仕上げられている。職人の心意気が感じられる。

 

 また、他のホテルではスイートルームにしか採用されていないような「イワタ」による京都三条産の高級ベッドを全客室に採用。コイル不使用であり、馬やラクダといった天然の毛を用いて作られたそれは、快適な寝心地を約束してくれる。

 

 

107名栗壁。壁からヘッドボード、そしてベッドフレームまで続く名栗の壁。木材の温もりがやさしい。¥67,000〜(一泊一室料金/税・サ別)。

 

 

 

 部屋に施された粋な計らいにも注目したい。一般的に、角柱が使われていると、その部屋は一番格式の高い部屋ということになり、その次に丸柱、竹柱の順に続いていく。だか「そわか(SOWAKA)」では、客室の雰囲気が堅くなりすぎないように、あえて円柱や竹柱を用いているんだとか。

 

 掛け軸を置くことで調和が取れる場合も大いにあるが、海外のゲストたちにもくつろいでいただけるようにあえて掛け軸を置かないなど、あまり昔の方法にがんじがらめにならないようにしているという。京都が誇る数奇屋建築の美しさを堪能できるとともに、日本らしい心遣いが随所に感じられるホテルなのである。

 

 なお、いずれの客室にもテレビは設けられておらず、タブレットが完備。日常の煩雑さから距離を置くことができるのも、「そわか(SOWAKA)」の魅力のひとつといえよう。

 

 

108ガーデンビュースイート。あえて竹柱や丸柱を用いることによって堅苦しい雰囲気にせず、ゲストがくつろげる空間を作り出している。¥120,000〜(一泊一室料金/税・サ別)。

 

 

 

 館内には、バーとレストランも常設。レストランは10年連続ミシュラン3ツ星を獲得した実績を持つ東京・西麻布の「ラ・ボンバンス」が京都に初となる店舗をここにオープンした。宿泊客のみが堪能できる朝食をはじめ、ランチやディナーは、一般のゲストにも提供されている。

 

 同レストランでは、京都の素材をふんだんに取り入れた、和食の概念を超越した多彩な創作和食を楽しめる。東京でも人気の高いフォアグラ茶碗蒸し「三冠王」においても、旬の食材を使用し京都ならではのアレンジが施されて提供されるという。京都に和食のお店を出すことに対して、料理長はこう語る。

 

「このような形でいいのかな?と思われるような和食を提供していきたい。そうするとゆくゆくは、こんな和食もいいよね、と皆様に受け入れていただけるのではないかと思っています」

 

 野望に満ちたこんな言葉を聞くと、ますます今後が楽しみだ。

 

 

一枚板のカウンターが美しい「ラ・ボンバンス祇園」。ランチ、ディナーが提供される。宿泊客には朝食(和/洋)がついてくる。

 

 

 

 一方のバーは、5席のカウンターで構成されたプライベートな空間。元々は、名匠が手がけた座敷だったという事実に納得できる、趣深い一室だ。

 

 日本のお酒を主としながらも、ラインナップはさまざま。なかでもオススメは抹茶と生クリーム、京都産のGINを使ったカクテル「SOWAKA」だ。ぜひ一度ご堪能いただきたい。

 

 

5席だけのバーカウンター。プライベートな大人の空間で、京都の夜に酔いしれたい。

 

 

 

 建築美を堪能できる館内だけでなく、同ホテルで人気を博しているのが、通常は入ることのできない、京都ならではの名所を観光できるプランの数々。過去にはゴールデンウィークの期間限定で、本来非公開の南禅寺の對龍山荘(たいりゅうさんそう)を、館長に案内してもらう『對龍山荘特別公開付き宿泊プラン』も実施していた。

 

 いつもと一味違う体験を求めているのであれば、今後もこのような特別プランにはぜひ一度参加したいものである。京都に赴く機会があれば、そわか(SOWAKA)に宿泊してみてはいかがだろうか。

 

 

 

そわか

京都府京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル清井町480

TEL. 075-541-5323

https://sowaka.com