THE RAKE×ベル＆ロス コラボ時計 ベリータンカー“ヴェスパー”発売！

卓越したデザインで知られるスイス製ウォッチ・ブランド、ベル＆ロスとTHE RAKEがコラボレーションした時計が発売される。そのコンセプトは、究極のマティーニ愛好家向けタイムピースというものだ。世界的バーテンダーのアレッサンドロ・パラッツィを迎え、コミュニティのシンボルを作り上げた。

 

 

by wei koh

 

 

スーツ  brioni　

 

 

 

　スリムなシルエット、非の打ちどころのない端正な着こなし、温かく親しみやすい物腰、そして夜のDJにふさわしいイタリアン・アクセントの深い癒しの声。アレッサンドロ・パラッツィは、キリスト教圏内において、最も有名なバーテンダーであろう。実際、彼の名前はマティーニ通の間では、救世主や預言者のように、畏敬の念を込めて語られている。

 

　彼はロンドンのメイフェアにある魅力的で居心地の良いデュークス・バーで、彼のシグネチャーであるマティーニを提供している。その名声は世界中に広まっている。パラッツィの魅惑的なドリンクを味わうために席を確保するのは、ニューヨークのイタリアン“Rao’s”や、東京の寿司レストラン“すきやばし次郎”に匹敵する難易度だ。

 

   多くのファンが、バーを自分だけのものにしたいと夢見ているに違いない。しかしパラッツィは、バーの豪華でふかふかの椅子を予約できた幸運な人たちを、いつでもオープンな雰囲気で迎えたいと思っている。

 

  パラッツィは言う。

 

「1960〜70年代に育った私たちの世代にとって、社会的平等の感覚はとても重要なのです。バーの目的は、プライベート・クラブにならないクラブを作ることでした。誰もが歓迎され、素晴らしい人たちと出会うことができ、最高の時間を過ごすことができる場所です」

 

 

 

 

 

他にはない最高のマティーニ

 

 　確かにデュークス・バーに入店するのは至難の業だ。行きたい人はたくさんいるのに、席数は限られている。おそらく、常連客にはある程度の優遇措置が取られているのだろう。これは、ミシュランの星を獲得したレストランや伝説的なバーの常である。しかし、いったん席に着けば、皆平等だ。そして決して急かされることはない。

 

　デュークス・バーには、マティーニを2杯以上続けて注文してはいけないというルールがある。これには理由がある。各ドリンクに使用されるスピリッツはすべて、ダブルサイズのマティーニグラスに注がれたときにベストな状態となるよう、凍結の一歩手前の温度に保たれているからだ。だから、氷で割ったカクテルとは比較にならない。マティーニが2杯以上必要だと考えるのは、新人の重大な過ちである。

 

　パラッツィが作り上げているバーの雰囲気には、人々をドレスアップさせる特別な何かがある。男性は例外なく、テーラード・ジャケットにシルク織りのネクタイを締めている。女性も美しく着飾っている。パラッツィ自身は、いつも完璧にカットされた白いジャケットを身に着け、ベルベットのイブニングスリッパーを履いている。

 

　彼は、マティーニ・グラスの香り付けに使ったベルモットの一滴を、まるでフリースローをするバスケット選手のように、美しくバーのカーペットに垂らしながら言う。

 

「何か特別なものをクリエイトするときには、その所作までエレガントに見せたいと思うでしょう？」

 

　こんな人物だからこそ、THE RAKEとアレッサンドロ・パラッツィが特別なプロジェクトをスタートさせたのは、ごく自然ななりゆきだった。

 

 

 

 

 

ユニークなコラボレーション

 

　私が時計業界で“友人”と呼ぶ人たちの中で、デュークス・バーを最も高く評価してくれたのは、ベル＆ロスの共同創業者カルロス・ロシロだった。ロシロはマナー、エレガンス、気品が紳士の嗜みだった、別の世紀からやってきたような男である。

 

　その着こなしは、都会的なスーツ・スタイルから、ツイード・ジャケット、ジレ、アスコット、ブーツといったカントリーシックな組み合わせまで、いつも完璧だ。

 

　ロシロはまた、私と同様に、カクテル文化に特別な情熱を傾けている。ふたりともロンドンにいるとわかったある晩、私は彼をデュークス・バーに連れていかなければと思った。そしてボンド映画に出てくるパラッツィの有名なカクテル、“ヴェスパー”を頼もうということになった。するとパラッツィが言った。

 

「実はヴェスパーの新しいバージョンを作ってみたのです。きっとお気に召すと思いますよ」

 

　運ばれてきたヴェスパーは、琥珀色に輝くその色からして、まったく違うものであることが一目でわかった。私たちは最初の一滴を口に含み、息を飲んだ。その味はまさに“至福”だったのだ。ロシロと私は顔を見合わせた。まるでお互いの心を読んだかのように、私たちは同じアイデアを思いついた。

 

「ヴェスパーにインスパイアされた、50本限定の特別な時計を作ったらどうだろう？」

 

　パラッツィも、このタイムピースのデザインに携わるべきだとも思った。

 

　早速、ベル＆ロスのもうひとりの共同設立者であり、クリエイティブ・ディレクターのブルーノ・ベラミッシュとも顔を合わせ、デザインに取りかかった。

 

 

 

 

　ベースは、ブロンズケースのベリータンカー クロノグラフに決めた。文字盤はヴェスパーの見事な琥珀色を反映させ、ベゼルにはタキメーターの代わりに“Thirstmeter（渇き計）”の目盛りを取り付けた。

 

　サブダイヤルは、ヴィンテージ・クロノグラフの文字盤からインスピレーションを得たが、マーカーをミニチュアのマティーニグラスに変えてある。

 

　THE RAKE×ベル＆ロス ベリータンカー“ヴェスパー”の仕上がりは、私たち全員がとても満足行くものとなった。ハンサムなクロノグラフである以上に、地球上で最も偉大なバーテンダーを中心としたコミュニティのシンボルとして、その存在価値があるのである。

 

 

 

 

The Rake × Bell & Ross Bellytanker ‘Vesper’は、2023年7月6日 15時（GMT）より、TheRake.comで独占販売されます。

 

 

Main photo:

creative direction & photography by brandon hinton

fashion direction by grace gilfeather

hair & makeup by grace hatcher

lighting by luke johnson