THE NEW LEXUS NX

LEXUS NX 350h “version L”:定番はいつも新しい

April 2022

レクサスの人気モデルNXがフルモデルチェンジした。

広くファンを持つだけに進化の中身は気になるところ。

果たして開発陣はNXをどう仕上げたのか。そこには定番モデルへの足がかりが垣間見られる。

 

 

 

text tatsuya kushima

photography manabu kamata(unit-kompas)

 

 

 

LEXUS NX 350h “version L”

LX、RX、クロスオーバーのUXといったSUVファミリーを形成するレクサス。その中でNXはスポーティな走りに磨きをかけた。

全長×全幅×全高:4,660×1,865×1,660mm/エンジン:2.5L直列4気筒+ハイブリッドシステム/最高出力:190PS@6,000rpm/最大トルク:243N・m@4,300-4,500rpm/車輌重量:2WD 1,760kg、AWD 1,820kg/燃費比率(WLICモード):20.9km/L(国土交通省審査値) Lexus

 

 

 

 毎年2回コレクションを発表するメゾン系アパレルや世界的な展示会で新作を発表する時計ブランドにも、定番と呼ばれる商品がある。個人的にはロレックスのサブマリーナーやオメガのスピードマスターなどはまさにそれだと思う。世代を超えて一度は憧れるモデルのトップランナーと言えるだろう。

 

 ただ、それとて初めから定番だったわけではない。先進的なデザインと画期的なテクノロジーがいつしか定番と呼ばれるようになった。

 

 新型レクサスNXを眺めていると、そんな気配を感じる。先代のデビューは2014年、今回はまだ2世代目に突入したばかりなのにそんな風格だ。理由は至ってシンプル。デザイン、それとサイズといった目に見える範囲は従来型と近い印象のまま中身を順当に進化させている。それは知れば知るほどフルモデルチェンジの名にふさわしい。が、もしかしたらクルマに詳しくない方にはその違いがわからないかも知れない。

 

 

コクピットはドライバーオリエンテッドに設計されている。運転席側に向いたセンターモニターや太いセンターコンソールがそれを物語る。

 

 

 

 具体的にはクルマの骨格と言われるプラットフォームがこれまでとは違う。トヨタ自信作のTNGAプラットフォームをベースにつくられた。目的は堅牢なフレームと軽量化。それを実現することで、我々乗員はこれまで以上にスポーティな走りと快適な乗り味を、とても高いレベルで体感することが出来るようになった。しかも、そこに最先端の運転支援システムが搭載される。将来の自動運転をも見据えた技術が惜しみなく注がれた。

 

 それじゃ大きく変えなかった部分はなぜそうしたのか。逆に広くマーケットに受け入れられているデザインを大きく変える必要性は本当にあるのか という疑問が湧く。なぜ皆が愛するものを時期が来たからって変えなくてはならないのか。サイズもそう。研究に研究を重ねた使いやすい大きさをあえて崩すことはない。

 

 といった内容を鑑みると、このクルマは前述したスイス時計の定番アイテムに似ている。“定番”のあるべき姿がここにもあるようだ。

 

 というように、2世代目にしてレクサスの定番モデルになるであろう片鱗を見せた新型NX。今回は内燃機関だけのモデルの他にハイブリッド、さらにはレクサス初のプラグインハイブリッドを用意した。これだけでも進化の度合いをおわかりいただけるであろう。近未来の定番モデルが今目の前に佇んでいる。

 

 

今回の目玉は450h+と呼ばれるプラグインハイブリッド。レクサス初のパワーソースだ。そして、写真は売れ筋モデルの350h。2.5Lガソリンエンジンとモーターのハイブリッドとなる。モーターのアシストはかなり力強い。