The Italian MarriageMaserati and Ermenegildo Zegna
イタリアの両雄が生み出す世界一センスのいいクルマと服
May 2017
エルメネジルド ゼニアがマセラティのために作ったのは、マセラティをイメージしたラグジュアリーかつスポーティなアイテムの数々である。プレミアム・レザー、ファイン・シルク、最高級コットンなどを使ったコレクションだ。クルマのシートにも使われていたアイコニックなシェブロン・モチーフ(開いたV字型のモチーフ)が多用されている。すべてのアイテムには、両社のコラボを示す、特別なラベルが付けられている。
レザーブルゾン、ジャケットからドライビング・グローブまで多彩なアイテムが揃うが、マセラティをイメージしているだけあって、そのどれもがスポーティで機能的だ。ドライビングにぴったりのアイテムたちである。しかし、単にスポーティであるだけでなく、ブラウン系を中心に色味を抑えてあり、非常にシックでもある。ハードなドライブを終えて、そのまま高級レストランにさえ入って行けそうなスタイルだ。
このあたりにマセラティとゼニアの、大きな共通点があるようだ。マセラティというクルマは、スポーツカーとして見ても、その動力性能は第一級だが、どこかジェントルでシックな雰囲気がある。本気を出せば相当に獰猛だが、普段は紳士なのである。そしてゼニアというブランドも、新素材を多用し、機能的な服作りを得意とするが、デザインはあくまでもソフィスティケイトされている。
これからクルマとファッションとの境界線は、ますます希薄になっていくだろう。今ではクルマもファッションも、自己表現の手段である。つまりお気に入りのジャケットを選ぶように、クルマをチョイスする時代が来ているのだ。マセラティとエルメネジルド ゼニアのコラボレーションは、そんな時代を象徴するプロジェクトである。