THE IMPRACTICAL CHOICE: COX & YEMAN BILLIARDS TABLE
史上最高級のビリヤード台：コックス＆イーマン
October 2021
金メッキが施された唯一の英国製ビリヤード台を紹介する。
かつて存在した最高級メーカー、コックス＆イエマン社によるもので、史上最も豪華なビリヤード台だといえるだろう。
text: BENEDICT BROWNE
Gilded English Antique Billiard by Cox & Yeman circa 1895 (Photo courtesy of Billiard Room Ltd)
このビリヤード台は、1850年エドワード・イエマンによって創業されたロンドンのメーカー、コックス＆イエマン社が、1895年頃、初代ブライス男爵ジェームズ・ブライスという貴族のために製作した特注品だ。金メッキが施された英国製のヴィンテージ品としては、現在知られている唯一の例である。
ジェームズ・ブライスは、エンジニアリングの世界で卓越した技術とノウハウを持っていたために庇護を受け、ロンドンでも有数の豪邸であるメリルボーンのポートランド・プレイス33番地に住んでいた。
ビリヤードの熱狂的なファンであったブライスは、自分の好みに合わせて自邸にさまざまな変更を加えたほどだ。例えば、この豪華なテーブルを置くために部屋にガラスのステンドグラスを施したり（今でも残っている）、ダイニングルームとミュージックルームの間を、ロンドンで唯一の油圧式で可動する壁で仕切ったりしていた。
このようにコックス＆イエマン社は、ウェリントン公爵、ベンガルのヌワブ・ニザム、ペルシャのシャー陛下などの王族や上流階級の人々にも愛用された世界最高級のビリヤード台を製造するメーカーだったのだ。
Gilded English Antique Billiard by Cox & Yeman circa 1895 (Photo courtesy of Billiard Room Ltd)
今回オークションに出品されたこのビリヤード台は金箔で覆われており、驚くほど高貴な魅力に溢れている。クッションや布はプロのゲームに適応する状態に修復されているが、構造や装飾はオリジナルのままであり、ミントコンディションである。
マホガニーに黒檀を張り付けた側面と脚部の仕上げはおかしなほど派手だが、そのおかげでオーナーは自信を持って粋な自慢ができるだろう。「24金でコーティングされた、ヴィクトリア朝時代のビリヤード台を持っています」、と。
今、あなたのリストには急を要する買い物があるかもしれない。しかし、もし自宅に置くスペースがあるのなら（参考までにサイズはH84×W371×D193cm）、ビリヤード台だけで簡単にゲストを驚かすことができる。
英国で最も優れたスポーツの発明品のひとつであるこの製品は、あなたの人生を豊かなものにしてくれるだろう。
£260,580.00（売買成立済）
