THE ATTRACTIVENESS OF “TOFF&LOADSTONE”

トフ アンド ロードストーンが
ファッション関係者に人気の理由

May 2017

text kentaro matsuo
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 ことさら派手な宣伝をしていたり、目立つ意匠を取り入れているわけではないのに、ジワジワとその人気を広げているブランドがある。ジャパンメイドの鞄&革小物メーカー、トフ アンド ロードストーンだ。

 私のまわりにも、いつの間にか愛用者が増えている。しかも彼らのほとんどは、目の肥えたファッション業界関係者だ。毎シーズン、ブランドものを大量に見ているはずの彼らが、なぜトフ アンド ロードストーンの製品に惹かれるのか?

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 大きな理由は、トフ アンド ロードストーンが使っている金具の美しさにあるだろう。昨今、ブランドバッグに付いている金具の品質の低下は、目を覆いたくなるほどだ。金属にメッキを施してあればまだいい方で、なかには外見はピカピカで金属そっくりだが、中味はプラスチックというものも珍しくない。

 ところがトフ アンド ロードストーンが使っているのは、昔ながらの真鍮鋳物である。銅と亜鉛の合金である真鍮は黄銅ともいわれる古くからの素材で、ローマ時代にはすでに貨幣がつくられていた。水に強く腐食が少ないため、現在では水道管や建築パーツとして使われている。

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 これを高温で溶かし、砂型に流し込む鋳造(ちゅうぞう)という方法で加工する。水を含むと固まる砂の特性を生かしながら、均等に圧をかけ、何度も修正しながら完成させる。紀元前3500年頃のメソポタミア時代から始まった方法とされるが、トフ アンド ロードストーンの真鍮は、そんな伝統的な素材と製法を使って作られているのだ。

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 もちろん現代的手法と比べ、生産性は著しく劣る。しかし手間暇をかけることで、機械では真似することのできない美しい曲線が生まれるという。

 トフ アンド ロードストーンが好んで使う、もっちりとした肉厚のレザーに、この昔ながらの金具がよく似合う。生まれながらにして、アンティークのような風合いを持つ真鍮鋳物は、製品に添えると、革が持つ本来の美しさを引き立てるのだ。

 大量生産を身上とする現代のブランドが失ってしまったもの、それは「手作りならではの温かさ」だ。それを感じさせてくれるトフ アンド ロードストーンの製品が、日々ブランドを追うのに食傷気味になってしまった業界関係者に好まれるのは、私自身よく理解できることなのだ。

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トフ アンド ロードストーンのベストセラーであるブリーフケース。日々の通勤用として使い勝手がよさそうだ。ブラックの他、ダークネイビー、グレージュ、ダークグレイ、アーモンドベージュあり。カウハイド製。H30 × W41 × D8 cm ¥49,000 Toff & Loadstone

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人気の片手持ちクラッチバッグ。ソフトな山羊革を使用。財布や携帯など、デイリーグッズの持ち運びに便利。ブラック、ダークネイビー、グレージュ、ダークグレイ、オリーブグリーンあり。ゴート製。H21 × W28 × D5 cm ¥27,000 Toff & Loadstone

ティーアンドエル TEL.03-6455-5520
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