The 7 Best loafers for Rakish Men

歴史的名作揃い!高級ローファーBEST7

July 2024

text kentaro matsuo

 

 

 

 

 もともとは「loaf/ローフ(ぶらぶらする)」という言葉を語源とするローファーは、われわれの服装がカジュアル化していく今日、ますます注目されている靴だ。かつてローファーはカジュアル専用アイテムだったが、現在ではドレスアップとドレスダウンの両方に使える。スーツからジーンズまで、何にでも合わせられる。ポスト・コロナの時代において、万能といえる存在なのだ。

 

 そこで今回は、THE RAKEがおすすめする、7つの高級ローファーをご紹介する。生産国や作り手によって、さまざまな個性の違いがあるが、いずれ劣らぬ傑作揃いである。

 

 

 

 

John Lobb “Lopez”

ジョンロブ「ロペス」

 

 

 

 1866年創業のジョンロブは、150年以上の歴史を誇る英国の老舗である。ヴィクトリア時代から、脈々とビスポークシューズを作り続けてきた。1976年にはエルメス・グループ傘下となり、82年から既製靴の販売を始めた。エルメスのコネクションを使って、世界最高峰タンナーから優先的にレザーを仕入れることができるのが同社の強みである。

 

 「ロペス」は、ジョンロブのローファーの代名詞として知られる。もともとはロペスという名の人がオーダーしたビスポークシューズが由来で、スマートなシルエットと優美なラウンドトゥを特徴とする。英国製だが、多分にエルメス的なフランスの意匠を感じさせる。

 

 カジュアルはもちろん、スーツやジャケット・スタイルに合わせても、実に上品な仕上がりとなる。

 

 

 

 

J.M.Weston “Signiture Loafer #180”

ジェイエムウエストン「シグニチャーローファー #180」

 

 

 

 創業1891年、120年を超える歴史を誇るジェイエムウエストンは、フランスを代表するシューメーカーである。自らソール用レザーのタンナーを擁しているブランドは、ここしかない。#180はそんなジェイエムウエストンのシグニチャーローファーである。

 

 やや寸づまりなインステップを特徴とし、質実剛健な作りである。特筆すべきは、4mmピッチでサイズ展開をしていることで、ウィズに関しては6種類(A/B/C/D/E/F)を取り揃え、どんな足型の人にもぴったりの一足が見つかる。

 

 昨今再注目されているフレンチ・トラッドのキーアイテムでもあり、例えば、ポロシャツやボーダーシャツにジーンズかチノーズ、そして足元は#180というスタイルは、その典型である。

 

 

 

 

Alden “99162”

オールデン「99162」

 

 

 

 1884年、米国はマサチューセッツ州ミドルボロウで創業。矯正靴の分野も開拓したメーカーだけあり、その履きやすさはイージーそのものである。

 

 オールデンのローファーといえば、何といってもコードバン製だ。米ホーウィン社が供給する馬の尻の革のことで、その丈夫さにおいて右に並ぶものはない。ツルツル・ピカピカの表面感を持つが、実はこれはバックスを加工したものだ。

 

 昔からブルックス ブラザーズが自社ブランドのローファーをオールデンでOEMしており(有名なアンライニング仕様)、これによってオールデンの名は、世に知られるようになった。ローファーの語源は「ぶらぶらする」という意味だが、オールデンの製品はまさにその言葉にぴったりだ。ローファーは主に米国で発達してきた靴であり、これぞ本流といえる。

 

 

 

 

Edward Green “Piccadilly”

エドワード グリーン「ピカデリー」

 

 

 

 1890年、創業者エドワード・グリーンは、靴の街ノーザンプトンの小さな工房で、紳士用の手作り靴を作り始めた。それが今では、英国を代表するシューメーカーへと発展した。

 

 1983年、イタリアの靴デザイナー、ジョン・フルスティックが買収。ブランドはアップデートされ、現在のグリーンとなった。同社の特徴はエレガントなラインとコンパクトなヒールだ。オークバークされたソールの微妙な色合いも、ファンにはたまらない。

 

 グリーンを代表するローファー、「ピカデリー」は定番のコインローファーで、ヨーロッパでは大変人気が高い。使われているラスト184は、数十年のあいだ作り続けてられているロングセラーだ。アメリカ製などのローファーに比べ、細長いデザインとなっており、インサイド・ストレート&アウトサイド・カーブのフォルムは流れるようである。英国らしい端正さを備えた、ジェントルマンのために作られた靴だといえよう。

 

 

 

 

Berluti “Andy”

ベルルッティ「アンディ」

 

 

 

 1895年、アレッサンドロ・ベルルッティが1足の靴に自らの署名を施し、メゾン ベルルッティを創業した。4代目のオルガ・ベルルッティは卓越した審美眼で知られ、ヴェネチアレザーに、「パティーヌ」と呼ばれる技法で色付けし、これまでにないカラフルな革靴を生み出すことに成功した。

 

 ベストセラーの「アンディ」の名は、アーティスト、アンディ・ウォーホルからとられたものだ。1962年にベルルッティを訪問したウォーホルは、1足のローファーを注文したが、オルガは密かに全く別のデザインの靴を作り始めた。出来上がった靴のエプロンには大きな筋が入っていたが、オルガは有刺鉄線で体をひっかくのが好きな、「気の強い」牛のものだと説明した。ウォーホルはこの唯一無二の靴を大変気に入り、「これからは、気の強い牛の革から作った靴しか履きませんよ」と答えたという。

 

 

 

 

Gaziano&Girling “Antibes”

ガジアーノ&ガーリング「アンティーブス」

 

 

 

 ガジアーノ&ガーリングは、2006年、トニー・ガジアーノとディーン・ガーリングによって創立された。英国のシューメーカーとしては後発でありながら、流麗なデザイン、ビスポークを思わせるディテール(カラス仕上げ、フィドルバックなど)、素晴らしい履き心地で瞬く間に英国を代表する靴ブランドのひとつとなった。2018年には、あのチャールズ皇太子もノーザンプトンの工場を訪ねられ、同社の靴をオーダーされたという。

 

 「アンティーブス」はメーカーを代表するモデルのひとつで、最大の特徴は革をツイストして作られたサドルだ。発売当時こういった意匠は誰も見たことがなく、何もかもが出尽くした感があったクラシックシューズの意匠に、まったく新しいアイデアを持ち込んだ。この部分をよく見ると、薄い革を2枚貼り合わせてあり、どちらも表革が見えるようになっている。モカ部分の内部に入れられた繊細なスキンステッチも見どころである。

 

 

 

 

Gucci “Horsebit Loafer”

「グッチ1953ホースビットローファー」

 

 

 グッチは、1921年に、グッチオ・グッチによりフィレンツェにて創設された。乗馬のモチーフを取り入れたレザーグッズは大人気となり、イタリアを代表するブランドとなった。映画『ハウス・オブ・グッチ』(2021年)にもなった1990年代のお家騒動を経て、現在ではサンローラン、ボッテガ・ヴェネタなどを擁するケリンググループの中核ブランドとなっている。

 

「グッチ 1953ホースビットローファー」は、その名の通り1953年にデザインされた名作中の名作だ。数あるビットモカシンの元祖である。ビットとは、馬の口にくわえさせて、馬を制御する際に使用する馬具の「くつわ」のことを指す。

 

 底付けはシンプルなマッケイ式で、また木型に上からアッパーを被せるのではなく、下から被せてモカ部分で縫い上げるトゥボラーレ製法を採用しているため、足に吸い付くようなフィット感を実現している。インソールには1953年当時に使用されていたクラシックなタグが付けられている。