Sushi Iigura at Janu Tokyo

ジャヌ東京「飯倉」:“黒シャリ”で味わう江戸前鮨

December 2024

麻布台ヒルズに、ラグジュアリーライフスタイルブランド『ジャヌ』の第一号ホテルとして誕生した「ジャヌ東京」。その2階にひっそりと佇む鮨割烹処「飯倉(いいぐら)」は、まるで隠れ家のような空間だ。カウンター席ではおまかせコースを、テーブル席ではアラカルトメニューから旬の食材を堪能できる、気分に応じて多様なシーンで楽しめる名店でもある。

 

 

text yukina tokida

 

 

 

 

 今年3月に、ラグジュアリーホスピタリティのパイオニアとして知られる『アマン』の世界初姉妹ブランドホテルとしてオープンした「ジャヌ東京」。イタリアの市場‘MERCATO’を彷彿とさせる開放的な店内に加え、テラス席も備えた「ジャヌ メルカート」やフロア中央にキッチンを構えるライブ感あふれる「ジャヌ グリル」、広東料理の技法で中国各地の伝統料理をアップデートしたコンテンポラリーチャイニーズや本格的な北京ダックを堪能できる「虎景軒(フージン)」など、8つもの個性溢れるレストラン&バーは開業当時から話題になっている。今回は、そのなかのひとつである、この場所の地名をその名に冠した鮨割烹処「飯倉(いいぐら)」をご紹介したい。

 

 カランカランとゲタの音を響かせながらカウンター内を行き来するのは、料理長の篠原邦宏(しのはら くにひろ)氏。国内外の数々の有名鮨店で修行を積んできた人物だ。

 

「新しいホテルにふさわしい、江戸前でありながら自由でエネルギッシュな新しいスタイルの鮨を提供したい」と篠原氏が語るように、同店では江戸前鮨の伝統を再解釈し、和食の技を融合させた料理を提供している。

 

 

左:開放的な店内。組子柄がシンプルな空間に映える。右:料理長の篠原邦宏氏。

 

 

 

 本麻の暖簾をくぐった先に広がる店内は、天井が高く、2面に大きな窓が配された開放的な空間。壁面を彩る組子柄や、緩やかな弧を描く樹齢300年の檜の一枚板のカウンター、手入れが施された盆栽など、随所に日本ならではの美意識が感じられる。

 

 同店の特徴は、カウンター席ではおつまみと握り、甘味までセットになったおまかせコースを、テーブル席ではアラカルトを楽しめること。おまかせだけの店も増える中、その日の気分によって選べるのが嬉しい。

 

 食材は全国からその時々のベストなものを調達。シャリには特にこだわりがあり、独自に調合した白シャリのほか、赤酢を使用した赤シャリ、玄米黒酢に赤酢を合わせた黒シャリの3種類を使い分けている。

 

 

※以下のメニューは仕入れの状況により異なる場合あり。


「ヒラメのお造り」。

 

 

 

 篠原氏のアレンジが光るおつまみも魅力的だ。例えば、ヒラメのお造りには、ペースト状にしたあん肝と燻製したピスタチオをトッピング。ピスタチオの香ばしさとあん肝のクリーミーさが、ヒラメの甘みと見事に調和していた。

 

 また、黒鮑を蒸し鮑(肝で作った肝ソースをかけて提供)、スープ、手巻きの3つのスタイルで楽しめるおつまみも絶品。なかでも、黒シャリの中に鮑の肝、シャリにトリュフで香りをつけ、奈良漬、そして蒸した鮑、あられを入れた、さまざまな食感を楽しめる手巻き寿司は飯倉のシグネチャーメニューでもありすごく印象的だった。

 

 他にも海老芋を添えた九絵の柚庵焼や伊勢海老真丈のお椀など、和食を意識した品も堪能できる。

 

 ペアリングメニューも用意されており、例えば日本酒は一品一品に合わせて、さまざまな酒をお猪口で提供される(全部で11種類ほどになるとか)。そしてノンアルコールで用意されているのが、日本茶ブランド「SABOE」のお茶。冷緑茶や阿波番茶、玄米茶、宇治の玉露、ほうじ茶、食後の抹茶までバリエーション豊かに楽しめる。

 

 

鮑の手巻き鮨。

 

 

指拭きはトンボ柄。戦国武将たちから「勝ち虫」として好まれていた紋様でもあるトンボを用いたのは、大将のこだわりのひとつ。

 

 

ガリは北海道の新生姜を使用。同じものをスライスとコロと2種類の切り方で提供している。

 

 

おまかせコースの握りは小肌からスタート。

 

 

写真はおまかせコースの甘味の一例。この日はさつまいものピューレとリンゴのコンポートを合わせた一品だった。テーブル席で楽しめる、和のテイストをプラスしたパンナコッタも自慢の一品だとか。

 

 

 

 ちなみに1月9日(木)までは、おまかせコースの「縁(えにし)」と「結(ゆい)」において、北陸や山陰地方の郷土料理「ズワイガニの蒸し寿司」やすだちポン酢と生こしょうをアクセントにプラスした「焼きのどぐろ 握り」をはじめとする、冬ならではの味覚を堪能できる品々も用意されている。メニュ-は2カ月ごとに更新され、その季節ならではの食材の味覚を存分に味わえる内容となっている。

 

 

 

 江戸前の技をしっかりと根底に残しつつ、和や洋のエッセンスをジャヌらしく絶妙に融合させた篠原氏。絶品の握りはもちろん、その創造的なアプローチが光る鮨割烹処「飯倉」は、国内外のゲストを魅了する一軒だ。

 

 

「飯倉」(ジャヌ東京2階)

ランチ:11:30〜15:00(L.O 平日14:00/土日祝14:30)

ディナー:17:30〜22:00(LO. 21:00)

www.janu.com/janu-tokyo/ja/experiences/dining/

※「縁」はディナータイムのみ、「結」はランチタイムのみの提供

※水曜日と日曜日は、「縁」と「結」の提供はなし

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