SHIMA KANKO HOTEL 02

“シマカン”での過ごし方

June 2020

志摩観光ホテルでの滞在には、上質な休息の先に“学び”と“文化”もある。館内ツアーでは、建築家・村野藤吾が遺した美意識の細部に触れられ、少し足を延ばせば、古式“手火山製法”を守り続ける鰹節の生産者にも出会える。静かなラグジュアリーの奥にある、背景や文化まで知ることで、この旅はより深く、豊かな余韻を帯びていく。

 

 

text yukina tokida

 

 

「ザ クラシック」のゲストラウンジ。サンセットをゆっくり眺めていられるよう、テラスにはゆったりとしたソファも完備している。

 

 

 

 こちらの記事でも触れたように、志摩観光ホテルにはホテル棟がふたつあるため、お酒やスナックを楽しめるゲストラウンジもそれぞれある。

 

「ザ クラシック」と「ザ ベイスイート」どちらに宿泊しても両方のゲストラウンジを利用することができ、木を多用した温かな雰囲気の「ザ クラシック」のゲストラウンジからは、英虞湾に面して客席が配されており、テラスにはゆったりとくつろげるソファも完備している。サンセットタイムには、絶好の夕焼けスポットでもある。沈んでいく夕陽を惜しみながら、その変わりゆく景色を肴にカクテルタイムを楽しみたい。

 

 さらに、伊勢志摩や日本の伝統文化に関する書籍が数百冊揃う「リーディングルーム」や、CD700枚、レコード80枚、そしてデンマークのDALI社の高品質スピーカーで音楽を愉しめる「リスニングルーム」も用意されており、ドリンクやスナックを楽しむだけでない、自分だけの贅沢な時を過ごすこともできる。

 

 

「リーディングルーム」からも、英虞湾を望むことができる。

 

 

DALI社の高品質スピーカーで音楽を愉しめる「リスニングルーム」。

 

 

 

 一方、大きな窓が配され、洗練された内装の「ザ ベイスイート」のゲストラウンジは、サミットの際に首脳たちも会議をした場所。最上階に位置しており、サミットの際に首相たちが集合写真を撮影した「屋上庭園」にもアクセス可能。夕刻には、日本の夕陽百選に選ばれた幻想的な景色が諸兄を迎えてくれるだろう。

 

 

「屋上庭園」。深呼吸をせずにはいられない開放的な空間だ。空が近い。

 

 

 

 いずれにおいても、時間によって異なるがシャンパーニュやワイン、ビールだけでなく、地酒や伊勢茶など、三重県ならではのドリンクも多数揃っているため、アフターヌンティやカクテルタイムに利用し、ホテルでの時間を堪能したい。

 

 志摩観光ホテルではアクティビティも充実している。ホテル所有のプレジャーボートで英虞湾をめぐる「ラウンジクルーズ志摩」や星空観察会、館内見学ツアー(不定期または要予約)など、思う存分自然に触れられるものから伝統文化、シマカンの歴史を体感できるものまでそのラインナップも豊富だ。

 

 「ラウンジクルーズ志摩」では「デイクルーズ」と「サンセットクルーズ」の2種類、オプションで船上パーティプランを選べる。いずれもチャータークルーズだ。期間限定で開催される乗合クルーズにおいては、「モーニングクルーズ」と「観月クルーズ」が用意されており、いずれも最少催行人数は2名。非日常的な時間を過ごしてみてはいかがだろう。

 

 

 

 

 ホテル全体が伊勢志摩国立公園内にあるため、周りに街灯が少ない志摩観光ホテルでは「星空観察会」もおすすめのアクティビティのひとつ。星空案内人による解説とともに夜空を眺めるひとときは、宇宙の神秘に改めて考えさせられる意義深い夜になること間違いなし。

 

 館内見学ツアーでは、歴史を振り返るだけでなく、レオナール・フジタの「野あそび」をはじめとする館内(まるで美術館を思わせるほどの作品数!)のアート作品の数々をスタッフによる解説とともに案内してくれる。毎日9時から開催されているため、一度はチェックしたい。

 

 また、ホテルによるアクティビティのほか、ホテル外の施設によるアクティビティもいくつかラインナップされている。なかでも海外からのゲストにも人気の高い「鰹節の燻小屋の見学ツアー」は要チェック。

 

 

 

 

 ホテルからクルマで約30分のところに、かつて鰹節の一大生産地として有名だった“波切(なきり)”が位置しているのだ。ここには、たった3軒のみとなってしまった現在でも、鰹節の生産を続ける数少ない鰹燻し小屋「かつおの天ぱく」がある。

 

 100年以上続くこの燻小屋では、三枚におろした鰹を、直火で約1カ月いぶす伝統製法で、かつお節が作られる。蒸篭をなんども入れ替えながら、火の入り具合を調整するなど、とても手間のかかる製法だが、鰹が一切無駄にならない燻し方だという。

 

 

 

 

 現在でも伊勢神宮へ献上されている別名“波切節”としても知られている鰹節は、志摩観光ホテル総料理長の樋口シェフも愛用している逸品。ツアーの最中にふるまわれるおかかご飯の芳醇な香りと味わいには、諸兄も驚かされることだろう。非常に人気の高いツアーであるため、早めに手配することをお勧めする。

 

 

 

 

 ホテルでは、この天ぱくの鰹節をはじめ、この地ならではの食材をふんだんに使った料理が饗される特別なイベント「伊勢志摩ガストロノミー ランチ賞味会」がフレンチと和食が隔月で開催されている。特別宿泊プランも用意されているため、この貴重な機会に、伊勢志摩が誇る豊かな食材が織りなす美食の数々に舌鼓を打ってみてはいかがだろう。

 

 

志摩観光ホテル

TEL. 0599-43-1211

www.miyakohotels.ne.jp/shima/index.html/

 

 

 

人々を魅了する“シマカン”へ

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