Scabal, A Prestigious Belgian Merchant

上質さの中に玄人好みの個性が光る!ベルギーの名門マーチャントスキャバルの魅力を語る

May 2023

text yuko fujita
photography setsuo sugiyama(P1), jun udagawa(P2)

スキャバルの今季のイチ押しファブリック①
LONDONER(ロンドナー)

今季コレクションが刷新された個性が光るスーパー140’s普通のストライプでは物足りないけれど、少し変化が欲しい、そんな方たちにオススメしたいのが、今季デザインが刷新されたスキャバルのマスターピースファブリック「ロンドナー」だ。スーパー140’sのウールを使用した、経緯双糸の英国製生地で、色糸を足したり、微妙に変化をつけたトーンに仕上げていたりと、他ブランドではなかなか見られない、いい匙加減の変化をつけた生地が揃っている。250g/m。

 個性をわかりやすく数値で表現できる生地は、それによって相手に強く印象づけられるので、高番手でも低番手でも、昨今のビスポーク人気のなかで脚光を浴びやすい傾向にある。ただ、ビスポークの世界では、そういった強い個性の生地よりも、逆に個性を搔き消した“フツウの上質”を求める向きも一定数あり、例えば、スキャバルの「ロンドナー」なんかは、まさにその“フツウの上質”を好む人たちに愛されている生地である。

 ロンドンの都会的なエリートビジネスパーソンをイメージしたという同生地は、スーパー140’sのウールを使用しており、ウェイトは250g/m。“140”はもちろん上質だが、数値としては決して突出しているわけではない。が、実際に生地に触れると、玄人好みの魅力がしっかり備わっているのが感覚でわかる。数値には表れない原毛の品質のよさが、素晴らしいタッチとして指先から伝わってくるのだ。それも、サラッとしていてこれ見よがしなところは一切ないのに、である。上品な光沢を湛え、美しいドレープが光の反射でさらなる美しさを醸し出す。

 ベルギーの名門スキャバルのマスターピースファブリック「ロンドナー」は、今季3年ぶりのデザインリニューアルを果たした。デザイン面での個性がキラリと光るところは、新デザインにおいても健在だ。柄を表現する色糸のあしらい方が上手かったり、チェックの格子のサイズやバランスが絶妙で、ありそうでないところを的確に突いている。

 P1でご登場いただいた日本橋三越本店のバイヤー山本紘士氏はこんなことを言っていた。

「オーセンティックな柄ものは既に持っていて、新鮮さを加える意味でもちょっとした個性を生地に求めているお客様って多いんです。でも決して強すぎる個性が欲しいわけではありません。そういった方たちに提案したいのが、ロンドナーです。日常使いに適した上質さで、さりげない個性を備えた、とても貴重な生地なんです」

スキャバルの今季のイチ押しファブリック②
RHAPSODY(ラプソディー)

新色を加えてより華やかになったジャケット用ファブリックスキャバルの「ラプソディー」はヘリンボーンなど定番の柄をラインナップしながら各デザインの色バリエーションを豊かに揃えている。昨今のトレンドという観点からも注目したい生地である。オーセンティックでありながら、使い勝手のよさを感じさせる懐の深さも魅力だ。例えば写真のスーパーファインメリノウールのネイビーヘリンボーン(260g/m)の色味ひとつをとっても赤味も青味も強すぎず、色合いの美しさ、照り具合が絶妙!

 スキャバルのバンチブックで今季もうひとつオススメしたいのが、ジャケット用生地コレクションの「ラプソディー」だ。ウール・シルクのヘリンボーンからスタートする同コレクションは、シルク混ならではのとても上品な光沢を備え、イエローからターコイズ、パープルまで幅広い色がラインナップされている。大変しなやかなタッチで、夏の装いを楽しむのにもってこいの生地である。

 次に続くのは、上の写真で紹介している、スーパーファインメリノウール100%によるヘリンボーン柄。「ラプソディー」の中で、THE RAKEが最も気に入っている生地である。こちらはウール・シルクのタイプよりも落ち着いた感じの色調が揃っており、ヘリンボーンのピッチも広くなっている。英国で織られており、上質な原毛の甘い雰囲気を感じさせるしなやかなタッチがとても素晴らしい。ヘリンボーン柄そのものはクラシックであるものの、仕立て上がりのしなやかな生地が光の反射で生み出す優雅さは、それだけで我々を新鮮な気持ちへと導いてくれる。ブルー、ブラウン、グリーンのトーンも色合いのまとまり方が絶妙で、大変美しい。使い勝手がとてもよさそうで、軽やかで上質なテーラージャケットに仕立てると、見るからに重宝しそうである。

 オーセンティックでありながら、上質で常にスキャバルらしさを感じさせる。「ロンドナー」然り、社会的立場のある人が着るのにふさわしいデザインが揃っているのが、スキャバルの強みである。

SCABAL FAIR INFORMATION

5月24日(水)〜6月6日(火)日本橋三越本店 本館2階
パーソナルオーダーサロン
伊勢丹新宿店 メンズ館5階
メイド トゥ メジャー・オーダーメイド
上記店舗・日程にて、スキャバルフェアが開催される。期間中はさまざまな生地が並び、貴重なスペシャルなラグジュアリー生地なども揃う予定だ。エグゼクティブにふさわしい生地が充実しているブランドゆえ、この機会にぜひ。

スキャバルジャパンTEL.06-6232-2755

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