Scabal, A Prestigious Belgian Merchant

上質さの中に玄人好みの個性が光る!ベルギーの名門マーチャントスキャバルの魅力を語る

May 2023

ベルギーの生地マーチャント「スキャバル」のブランドイメージは、上質で高級な生地を揃えていることだ。常に都会的で、そこにはスキャバルらしさが詰まっている。
text yuko fujita
photography setsuo sugiyama(P1), jun udagawa(P2)

髙橋洋服店 高橋 純氏が語るスキャバルの魅力
「オーセンティックだからこそ ずっとマイクローゼットに残る生地」

高橋 純氏 髙橋洋服店1949年生まれ。銀座の髙橋洋服店の4代目店主。1975年に英国留学し、LONDON COLLEGE OF FASHIONのビスポークテーラリングコースを日本人として初めて卒業。ローマのルイジ・ガッロ氏のもとで修業した次男・翔氏も同店のカッターを務めている。

「ウチにはオーセンティックな生地しかないですよ」と開口一番。棚に積まれた生地は宝の山で、特にストライプの品揃えが素晴らしい。紳士服好きの心を大いにくすぐるありそうでないヒネリの利いた生地もあって、もちろんそれらもオーセンティックである。生地のセレクトが絶妙なのである。スキャバルに関しては、扱い始めて40年になるという。

「スキャバルの生地はそりゃみんないいですよ。言葉は悪いですけれども品質にアタリハズレがない。高価ではありますが安心感があるんです。ただ、スキャバルの生地は上を見たらキリがありません。先代からスーツは究極の作業服であると言われてきて、私たちはお客様の日常に寄り添った服としてスーツを提案しているわけですから、雲上の生地には手を出しません。今年はコレクションが刷新された“ロンドナー”を多く仕入れましたが、普段着にふさわしい、オーセンティックなよさを備えた生地だと思います。長年クローゼットの中にあっても飽きることがなく、でも今見て目新しさがあり、着ジワが入っても吊るしておけば自然とシワが伸びて消えてくれる。当たり前の条件をしっかりクリアしている、至極真っ当な生地だと思います」

My favorite Scabal
高橋 純氏がオススメするスキャバルの名作生地

KINGSTON BAY(キングストン ベイ)「夏はモヘアが好きです。モヘア10%混でウェイト240g/mのこちらは、程よくパリッとしていてシャリ感があり、肌に張り付かないので日本の夏に向いています。光沢が強すぎず、サマーウーステッドよりシワになりにくいのもいいですね」

COSMOPOLITAN(コスモポリタン)「スキャバルが今年出したサマーウーステッドの中で、いちばん好きな生地です。平織りのサマートロピカルで、サラッとしたタッチです。ウェイトは230g/mで、8カ月、10カ月使えるこういった生地はお客様にも昨今大変好まれています」

日本橋三越本店 山本紘士氏が語るスキャバルの魅力
「常に垢抜けているスキャバルの生地は高級感、エクスクルーシブ感がある」

山本 紘士氏 日本橋三越本店 紳士服・紳士雑貨 バイヤー1987年生まれ。東京モード学園のファッションデザイン科を卒業後、2010年にカッターとして三越に入社し、引退間近だった社内のベテランカッターたちの技術を継承。カッターひと筋でキャリアを積んできたが、新たにパーソナルオーダーサロンのバイヤーに就任。

 2010年の三越入社以来、オーダースーツ部門のカッターひと筋で研鑽を積んできた山本紘士氏は、今春よりなんと日本橋三越本店 パーソナルオーダーサロンのバイヤーに就任した。職人からバイヤーというあまり例を見ないキャリアとなるだけに、氏の着眼点・提案は大いに気になるところで、とても参考になりそうだ。

 着用しているスーツは、2018年に自身で型紙を起こして裁断したもので、絶妙な色合いのソラーロの生地は、スキャバルの「ゴールデン リボン」。他にない織り柄ピッチと、土臭さがまったくないところが大変気に入っているという。

「スキャバル全般に言えることですが、どの生地も垢抜けていて、高級感、エクスクルーシブ感が備わっているんですよね。それと、とことんラグジュアリーな生地になると、他メーカーの生地は仕立てる際にきれいに成形するのにとても苦労するのですが、スキャバルの生地は決して粗にならないし、きれいに仕立て映えがするんです。仕上がった服を見てお客様も驚かれますし、ここまできれいに仕立てられるんだなって、実はいつも私自身がいちばん驚かされているんです」

My favorite Scabal
山本 紘士氏がオススメするスキャバルの名作生地

CLASSICS(クラシックス)「クラシックスは経糸・緯糸ともに50番手の太い糸を使用している360g/mの生地なのですが、生粋の英国生地のような感じにはならず、どこか洗練されているんです。目付けのしっかりした生地が初めての人でも、入っていきやすいと思います」

IMAGE(イマージュ)「経糸と緯糸の色の入れ方が秀逸で、身体の曲線に沿わせたときに生まれるドレープがとても美しい、260g/mのとても上品な綾織り生地です。柄の太さや色のトーンも絶妙に計算されていて、お客様にも自信をもってオススメしています」

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