PUTTING THE 'STREET' BACK INTO STREETSTYLE

フィレンツェで撮影した
最高の“ストリート・スタイル”

March 2019

 

 

「私は最近、ファッションイベントや展示会、特にピッティ・ウォモにおいての“ストリート・スタイル”ということについて考えています。ストリート・スタイルは、確かにこの業界を変えました。われわれが洋服を見る方法や“エレガンス”の基準さえも塗り替えました。ピッティでのストリート・スタイルは、まだかなりベーシックなものですが、撮る人と撮られる人の関係はだんだんと変わっていきました」

 

「ピッティでは、来場者は入場時、会場内、そして退場する時まで、写真を撮られまくりです。ますます多くの人がピッティにやってくるに連れて、写真家にとって本当にいい写真を撮るのが、どんどん難しくなっていきました。そして私のストリート・スタイルに対する不満も募っていったのです。私はピッティ・ウォモというものに対して、ばかばかしさを憶え始めました」

 

「しかし、この街には依然として、ヨーロッパで、そして世界でも有数のファッショニスタたちが集まってきます。私は彼らのスタイルを、人々に紹介したいと考えました。ストリート・スタイルを、本来あるべき姿に戻したいのです」

 

 

「それで、私が一番好きなジェントルマンたち、実に自然で実にエレガントなファッショニスタたちに連絡をとって、写真を撮らせてもらうことにしました。私の友人のフランス人、ギローム・ボー(@gui_bo)と同じように、彼らの装いは非常に優雅です。彼らはピッティ・ウォモのエッセンスであり、世界最高のファッショニスタたちです。スタイリッシュであることが、彼らの間の共通言語なのです」

 

「それからもちろん、フィレンツェの街という舞台は欠かせません。この撮影のために、われわれは午前8時にポンテヴェッキオ橋の近くで落ち合いました。日付と時間はずいぶんと前に決めたので、当日霧となることは、誰にも予想出来ませんでした。中世の街並みが続く通りを散策した後、シニョーリア広場に行き、有名なダビデ像に挨拶してから、近くのホテルを訪れました。その上階でドリンクを飲みながら、ドゥオーモと霧の景色を楽しんだのです。葉巻を吹かし、世界のスタイルの状況について話し合いました」

 

「私のインスピレーションは主に映画からもたらされるのですが、その光景はまさにパーフェクトな舞台装置だと言えました。私の本職は混雑したピッティ会場内でスナップを撮ることだとわかってはいますが、せっかくフィレンツェという美しい街があるのですから、そこで撮影しない手はない。そう思って撮ったのが、これらの素晴らしくスタイリッシュな写真なのです」

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