PATEK PHILIPPE “Minute Repeater Alarm Ref.1938P”
【パテック フィリップからのサプライズ】後にも先にもない、特別なトリビュート
January 2024
複雑な機構だが、操作は非常に容易。リュウズに統合されたプッシュボタンで、ミニット・リピーターモードとチャイム・モードを選択(3時位置のベル型の窓に表示)する仕組み。ダストカバーを開けると、手彫金による一文と「キャリバーR AL 27 PS」を鑑賞できる。ロジウムめっき22Kイエローゴールドのマイクロローターには、フィリップ氏のサインを模した黒漆塗りの彫金が施されている。世界限定30本。自動巻き、Ptケース、41mm。
2023年11月9日、パテック フィリップからサプライズがあった。1993年から2009年まで同社の社長として辣腕を振るったフィリップ・スターン氏の85歳の誕生日であるその日に、世界で30本の限定モデルが発表されたのだ。
フィリップ氏の生誕年をリファレンスに冠したこのモデルには、今後二度と使用されることのない新ムーブメントが搭載された。氏が深く愛したミニット・リピーター機構に、さらにその同一のゴングで選択した時刻を音で知らせる新しいアラーム機構を組み込んだものだ。ベースとなったのは、1989年のマニュファクチュール創業150周年に当時専務取締役だったフィリップ氏が発表した、ミニット・リピーターの象徴的な自動巻きムーブメント「キャリバー R 27」。新たなアラーム機構を組み込むため大幅な再設計を図り、227個の構成部品を追加、さらに4つの技術特許を出願している。
また、フィリップ氏へのトリビュートとして、本黒七宝の文字盤に七宝細密画により氏の肖像を描いている。41mmのプラチナ製のオフィサータイプのケースは、同じく創業150周年の際に発表されたリミテッド・エディション3960モデルを彷彿とさせる。そしてそのダストカバーには手彫金で“À mon père, 85 ans de passionhorlogère(我が父と85年間の時計製作への情熱に捧げる)”という、現社長であり息子であるティエリー・スターン氏からの一文が刻まれている。
パテック フィリップは親から子へと受け継がれるファミリーウォッチとして人気だが、この時計には父親の時計への献身を称える息子からの温かな愛が込められている。後にも先にもない、メモリアルウォッチなのである。