New Suites in ANA InterContinental Tokyo

ANAインターコンチネンタルホテル東京の新スイート「水スイート」に泊まってみた

August 2024

東京は赤坂で、”全日空ホテル”としても親しまれてきた「ANAインターコンチネンタルホテル東京」に新しいスイートルームが誕生した。そのニュースを聞きつけ、シャンパーニュをこよなく愛する熟練旅ライター長谷川あや氏が早速試泊。その快適なクラブラウンジ、そして客室の全貌をレポートする。

 

 

text aya hasegawa

 

 

 東京・赤坂の「ANAインターコンチネンタルホテル東京」。1986年6月、「東京全日空ホテル」として開業し、2007年4月に世界最大級のホテルチェーンIHG ホテルズ&リゾーツに加盟した同ホテルは、世界中で展開するインターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツのなかでもトップクラスの売上を誇る。

 

 

 

 

 その「ANAインターコンチネンタルホテル東京」が、現在、約9割の客室をリニューアルする大規模なプロジェクトを行っていることをご存じだろうか(2024年12月に完了予定)。「ラグジュアリールーム・リノベーション」と名付けられたプロジェクトでは、総客室数844室のうち759室を順次改装。改装が完了したフロアから新客室として販売する。このプロジェクトの目玉となるのが、既存のシングルルームと隣接するダブルルームをつなげるかたちでリニューアルをはかった、新スイートルーム「クラブインターコンチネンタル『水スイート』」(52平方メートル)だ。同ホテルのスイートルームは、「花鳥風月」をテーマとした客室名で統一されており、新たなスイートルームは自然の豊かな恵みを表す「水」を冠することになった。最終的には全60室が誕生するという。

 

 いったいどんな部屋なのだろうか。一部の部屋は、すでに稼働をスタートしているということで、早速、泊まりにいくことにした。

 

 

 

 

 客室のドアを開けると、まばゆく、そしてやわらかな光が目に飛び込んできた。「水スイート」は横長のレイアウトが特徴的で、窓の面積が大きいぶん、窓からの光を部屋全体に採り込むことができるそうだ。霊感など皆無の筆者だが、根拠もなく、「いい気が流れているなあ」なんて言葉が口をついた(笑)。明るくて、上品でとても心地いい。日中もいいが、都心のビル群の多彩な光たちが織りなす夜景も格別だ。茶色いお酒を傾けたくなる。もちろん、就寝時はオートブラインドで暗闇を確保できるのでご安心を。

 

 

 

 

 寝室とリビングエリア、そしてバスルームで構成される「水スイート」のコンセプトは、「展開する東京」。カーペットや壁、照明などには、日本の伝統と魅力的な文化を象徴する折り紙をモチーフにした幾何学模様のデザインが配されていた。

 

 

 

 

 グレーや藤色、水色といった落ち着きある日本の伝統色をベースにした、淡く、明るい色調で、シンプルかつミニマルなデザインの客室には、非日常と「和」が見事なまでに共存している。その色調の影響だろうか。52平方メートルという面積以上に部屋が広く感じられる。55インチの大型液晶テレビに高品質のサラウンドスピーカー、ゆったりとしたバスタブ、ハンスグローエ社製レインシャワー、仕事にも食事にも便利なラウンドテーブル、シモンズのマットレスなど、選りすぐりの設備が備えられていて、居心地も使い勝手も申し分ない。チェックアウト時間まで、部屋から出ずに、引きこもっていたいくらいだ。

 

 

 

 

 とはいえ、そんなことも言っていられない(笑)。「水スイート」に宿泊のゲストには、35階の宿泊客専用ラウンジ「クラブインターコンチネンタル」へのアクセス権がある。同ホテルの「クラブインターコンチネンタル」は、600平方メートルと国内最大規模。朝食(7:00~11:00)、アフタヌーンティー(14:00~16:00)、イブニングカクテル(17:30~19:30)の時間が設けられていて、その内容の充実ぶりにも目を見張るものがある。晴れた日には富士山も望める空間で、暮れゆく東京の街を眺めながらアペリティフを楽しむのは至福のひとときだ。

 

 

 

 

 さまざまな前菜とアルコールが用意されている、飲みすぎ食べすぎ注意報発令中のカクテルタイムだが、筆者が声を大にして言いたい(でもちょっと内緒にしたい(笑))のは、サステナブルなアプローチで知られ、何より大変美味なジャンパーニュのテルモンが用意されているということ。カクテルタイムの2時間ばかりとはいえ、テルモンがフリーフローでいただける場所を筆者はほかに知らない。このためだけに、定期的に「クラブインターコンチネンタル」にアクセスできる部屋に泊まりたいとすら思う。

 

 

 

 

 朝食はハーフブッフェで、メインは好きなものを選ぶことができるスタイルだが、筆者は、36階にレストランを構える、3つ星シェフ ピエール・ガニェール氏がプロデュースする、その名も「ピエール・ガニェール朝食」にロックオン! ここANAインターコンチネンタルホテル東京「クラブインターコンチネンタル」の限定のメニューだ。

 

 

 

 

 世界でここでしかいただけない(筆者しかり、多くの人が大好きな言葉だ(笑))スペシャルなメニューを前に、ご機嫌にスマフォで写真を撮っていると、隣席の外国人の男性が「これ、本当に美味しいよ」と声をかけてきた。たしかに、今思い返してもにやけてしまう美味しさで、遊び心にもあふれていた。さすが、フレンチの巨匠、ガニェール、やるじゃないか(笑)。見た目も華やかで、朝からテンション爆上がりだ。

 

 

 

 

 話は前後するが、宿泊日のディナーは、ホテル最上階37階の鉄板焼「赤坂」へ。店に入ると、クラブラウンジでいただいたテルモンで、すでにほろ酔い気分の筆者の目に、東京の象徴でもある東京タワーが現れた。

 

 

 

 

 旧東京全日空ホテル開業とともにオープンした「赤坂」では、ダイナミックな東京の眺望と共に神戸牛をはじめとした厳選された最上級の黒毛和牛や旬の魚介類、季節の野菜をいただくことができる。珠玉の素材が、料理になっていく過程を目の前で見ることができるのが鉄板焼の醍醐味だが、その背景に夜景が煌めいているのだ、愉快に決まっている。料理人との会話や、多彩なコンディメントも楽しい。締めのガーリックチャーハンをいただきながら、幸せをかみしめる。時にはこんなご褒美のような時間を過ごしても許されるはずだ。

 

 遠出は難しいけれど、リゾート気分を味わいたい、あるいは非日常的な空間で、リフレッシュしながらワーケーションに興じたい──。新スイートルーム「水スイート」は、さまざまな需要にこたえてくれる。今年も、夏季限定のガーデンプールも営業中だ(2024年の営業は9月30日(月)まで)。都会のど真ん中で、大人な夏を謳歌するのもいいんじゃないだろうか。個人的なおすすめは、「クラブインターコンチネンタル」でアペリティフを楽しんで、館内のレストランで食事をし、そのまま客室で寛ぐ美食ステイだ。同ホテルには、「赤坂」以外にも魅力的なレストランがいくつもある。食事の後は、中世ヨーロッパの佇まいを感じさせる家具や照明を配した、オーセンティックなメインバー「ダビンチ」で締めのお酒を堪能するのも悪くない、というか最高だ(笑)。もちろん、都会の光をたっぷりと取り込める客室で、おこもりを決め込むという選択も捨てがたい。

 

 今度はどんな過ごし方をしよう? 想像するだけで心が浮き立つ、愛すべきスイートルームが誕生した。

 

 

 

ANAインターコンチネンタルホテル東京

東京都港区赤坂1-12-33

TEL. 03-3505-1111

https://anaintercontinental-tokyo.jp/

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